シマノのスポーツバイク用のコンポーネントに新しいジャンルとして加わった「グラベル/アドベンチャー」のコンポーネントについて、僕自身が「グラベルって何?」なのかをきちんと理解するために、情報を整理してみました。
グラベル/アドベンチャーのコンポーネント
2021年3月現在でグラベル/アドベンチャーの中のコンポーネントはGRXのみが展開されていますが、パーツ構成を読み解いていくと、GRXの中で3つくらいにグレードが分かれていると考えて間違いないようです。
グラベルとは砂利道走行のためのコンポーネント
グラベルとは、砂利道を指す言葉で、自転車のジャンルとしては、ロードバイクのように舗装された道路を走るためだけではなく、荒れた道や山道なども走行することを前提にしたロード系のスポーツバイクのことを指し、グラベルロードなどと呼ばれます。
シクロクロスなどはグラベルロードの中の中に含まれるような自転車で、レース仕様のグラベルロードというような認識で合っているかと思います。
フレームの基本的な設計はロードバイク寄りかと思われますが、山道や悪路を走破しやすいように、操作性、ギア構成などが悪路走行に最適化されたコンポーネントとしてGRXシリーズを展開しているようです。
詳しくは上記の動画やシマノの公式で確認できますが、一部は英語のページしかなかったりもするので、一体何が違うのかを解説を交えてまとめていきます。
シマノの公式ページ
https://bike.shimano.com/ja-JP/product/component/grx.html
https://gravel.shimano.com/
https://gravel.shimano.com/en/technologies/
https://gravel.shimano.com/en/components/
バリエーション
グラベル用コンポーネントのGRXは下記の三種類で展開しています。
ロード用コンポーネントのようにグレード別けはされていませんが、実質は、最上位にDi2モデル、中間グレードに11速モデル、下位に10速モデルとなっていて、さらに細かく見れば5段階くらいでグレード別けができそうです。
GRX Di2 11speed
ロード用コンポーネントのDURA-ACEやULTEGRAでもおなじみの電動シリーズのDi2はグラベル用コンポーネントでも展開されています。
GRX Di2 11speedのパーツ
● フロントディレイラー FD-RX815-F
● クランクセット FC-RX810-2 / FC-RX810-1
● ボトムブラケット SM-BB72-41 / SM-BBR60
● リアディレーラー(DI2 仕様) RD-RX815 / RD-RX817
● カセットスプロケット CS-M8000 / CS-R8000 / CS-HG800-11
● チェーン CN-HG701-11
● シフト/ブレーキレバー ST-RX815-R(L)
● ブレーキ(油圧ディスクブレーキ) BR-RX810-F(R)
● ディスクブレーキ ローター SM-RT800
● ディスクブレーキホース SM-BH90-JK-SSR
● フロントハブ HB-RS770
● フリーハブ H-RS770
● ホイール WH-RS770 / WH-RS370-TL / WH-RX570-TL
パーツ解説
フロントディレイラー FD-RX815-F
ロード用コンポーネントとの違いは、太いタイヤを履かせた時でも干渉しないようにチェーンラインが2.5mm延長されています。
また17T フロントレンジに対応。
フロントの歯数の差が最大17Tに対応しているということかと思います。つまりダブル構成のフロントギアでインナーの歯数が少ないと、アウターからインナーにギアを変更した際にチェーンの上下移動が大きくなるので、ディレーラーの長さが長くないと干渉してしまう。ということかと思います。
クランクセット
● ダブルの歯数構成: 48-31T
● シングルの歯数構成: 42Tまたは40T
フロントギアが二枚あるダブル仕様のFC-RX810-2とシングルのFC-RX810-1の2種類。フロントシングルが選択できるのも、グラベル用ならではですね。
歯数はロード用コンポーネント歯数構成は53-39T前後が標準なので、ロード用と比較すると、かなり軽いギアが使用できるようになっていて、荒れ地走行や坂道の多い場所の走行に適した仕様になっています。
ボトムブラケット
Photo via:https://bike.shimano.com/ja-JP/product/component/grx-di2/SM-BBR60.html
ボトムブラケットはロード用のULTEGRAとありますが、製品ページ内ではGRXとあり、どちらのグレードなのかよく判りません。(シマノの公式ではこういうことがよくありますね)。圧入式とねじ込み式の2種類。
リアディレーラー
● RD-RX815:スプロケットのギアが最大34Tに対応
● RD-RX817:スプロケットのギアが最大42Tに対応
例えばRD-RX817だと、ロードバイクでは見ることが絶対にない11-42Tみたいな超ワイドレシオなスプロケットも使用できるわけです。これだけを見てもワクワクしてしまうようなスペックです。
カセットスプロケット
CS-M8000
マウンテンバイク用DEORE XTグレード。
11-40T, 11-42T, 11-46T
CS-R8000
ロードバイク用ULTEGRAグレード。
11-25T, 11-28T, 11-30T, 12-25T, 14-28T, 11-32T
CS-HG800-11
11-34T
グラベル用の基本となるスプロケットのようです。
チェーン
カセットスプロケットが、マウンテンバイク用、ロードバイク用などが使えるようになっているため、GRXのチェーンは11速であれば、どちらでも互換性があるようです。
シフト/ブレーキレバー
Photo via:https://www.youtube.com/watch?v=6hZegX5liUg
荒れ地走行を基本とするので、ブラケットは滑りづらい素材や形状にになっています。
ブレーキ
ブレーキはディスクブレーキのみ。こちらも荒れ地走行を基本として考えられているためだと思います。
ホイール
ロード用のホイール(ULTEGRAと105)とグラベル様にワイドなタイヤが履かせられる700Cと650Bに対応したGRX用のホイールがあります。
GRX 11speed
GRX 11speedのパーツ
基本的にはDi2と共用できるパーツがほとんどですが使用できるバーツに違いもあるようです。
● シフト/ブレーキレバー ST-RX810-R(L) / ST-RX600-R(L)
● ブレーキレバー BL-RX810-L / BL-RX600-L / BL-RX812-R(L)
● フロントディレイラー FD-RX810-F
● クランクセット FC-RX810-2 / FC-RX810-1 / FC-RX600-11 / FC-RX600-1
● ボトムブラケット SM-BB72-41 / SM-BBR60 / BB-RS500 / BB-RS500-PB
● リアディレイラー RD-RX810 / RD-RX812
● カセットスプロケット CS-M8000/ CS-M7000-11 / CS-R8000 / CS-HG800-11 / CS-R7000 / CS-HG700-11
● チェーン CN-HG701-11 / CN-HG601-11
● ブレーキ BR-RX810-F(R) / R-RX400-F(R)
● ディスクブレーキ ローター SM-RT800 / SM-RT70 / SM-RT64
● ディスクブレーキホース SM-BH90-JK-SSR
● フロントハブ HB-RS770 / HB-RS470
● フリーハブ FH-RS770 / H-RS470
● ホイール WH-RS770-TL / WH-RS770-TL / WH-RS370-TL / WH-RS370-TL
● ペダル PD-ME700 / PD-ES600 / PD-M530
パーツ解説
シフト/ブレーキレバー
ST-RX810が上位グレード、ST-RX600が下位グレードというような位置づけのようです。
ブレーキレバー
Photo via:https://www.youtube.com/watch?v=6hZegX5liUg
ロード用コンポーネントにはない、サブブレーキ BL-RX812-R(L)レバーがラインナップされています。
ハンドルのポジションの問題で、道路状況によってはブラケットに手を置くよりもフラット部分に手を置きたい場合(いわゆるトップハンドルポジション)にもブレーキを掛けられるようにするためのパーツです。
クランクセット
下位グレードとしてFC-RX600-11がラインナップされています。
ボトムブラケット
上位のグレードとしてDi2でも使えるSM-BB72-41とSM-BBR60があり、下位グレードとしてBB-RS500とBB-RS500-PB(Tiagraグレード)がラインナップされています。
GRX 10speed
単純にGRXの下位グレードの構成と考えて良さそうです。
GRX 10speedのパーツ
● シフト/ブレーキレバー ST-RX400-R(L)
● フロントディレイラー D-RX400
● クランクセット FC-RX600-10
● ボトムブラケット BB-RS500 / BB-RS500-PB
● リアディレイラー RD-RX400
● カセットスプロケット CS-HG50-10 / CS-HG500-10
● チェーン CN-HG54
● ブレーキ BR-RX400-F / BR-RX400-R
● ディスクブレーキ ローター SM-RT64
● ディスクブレーキホース SM-BH90-JK-SSR
● フロントハブ B-RS470
● フリーハブ FH-RS470
● ホイール WH-RS370-TL / WH-RX570-TL
● ペダル PD-ME700 / PD-ES600 / PD-M530
シマノのグラベル用コンポーネントGRXについての私感とまとめ
ロードバイクと全然違う
グラベルロードのコンポーネントについて調べる前まではグラベルロードは単純に「ロードバイクを荒れ地走行に適したようにした自転車」というような、ものすごくザックリした説明しかできないレベルの理解だったので「ロードバイクもグラベルロードも似たような自転車」と思っていました。
しかし、改めて調べてみると、全然違いますね(笑)
用途も全く異なってくると思うので、ロードバイクとグラベルロードの二台持ちを考えてしまいたくなるくらいの違いがあります。
非常に自由でカスタム性が高い
個人的なイメージとしてロードバイクは割とガチガチに固まったイメージで、突き詰めていくと使うパーツもみんな似たような装備になってくるので、カスタム性は低いと思っているのですが、グラベルロードはロードバイクとは全く異なり、自分がどのように走行したいのかによって、全くパーツの選択をする必要があり、カスタマイズ性が非常に高い自転車なのだなと思います。
ロードバイク寄りでもマウンテンバイク寄りでもOK
例えば、ロードバイク寄りにしたければ、ギア構成もロードバイクに近いものが選択できますし、ホイールもロード用のホイールが選択できます。逆にマウンテンバイク寄りにしたければ、ワイドレシオなギアを選択して太いタイヤを履かせることも出来てしまいます。もちろん、良いところ取りをした中間的な装備でも良いわけです。
グラベルロードと言っても、パーツの組み合わせで、自分の用途にカスタマイズでき、人それぞれに全く異なるスペックの自転車を組み上げられるというもので、構成を考えるだけでもすごくワクワクしてしまいます。
ドロップハンドル化したクロスバイクの延長がグラベルロードかな?
グラベルロードはロードバイクとマウンテンバイクの良いところをとって、荒れ地でも舗装道路でも快適に走れるようなオールマイティな自転車と言えそうですが、コンセプトとしてはクロスバイクに非常に近いのかなと思います。
違いは、グラベルロードはロードよりのフレーム設計になっていると思われるのに対して、クロスバイクはマウンテンバイク寄りのフレーム設計(もちろんメーカーの考え方によって違ってくるとは思いますが)になっているくらいとのころで、基本的にはハイブリッドな自転車というところでは共通していると思います。
極端な話、クロスバイクをカスタマイズしていくとドロップハンドル化したりするわけですが、グラベルロードはまさにその進化系というか、究極のところなのかなという気がします。
そして僕自身がグラベルロードに魅力を感じてしまうのも、カスタマイズ性が高いとか、路面状況をロードバイクほど気にしなくて良いなど、クロスバイクに通ずる部分が多くあるからなのかなと思います。
ロードバイクにするのか、グラベルロードにするのか、悩みますねぇ。