クロスバイクのフォークをカーボンフォークに交換しました。
フロントフォークの交換は、クロスバイクの改造カスタマイズの中では、比較的難易度の高い改造カスタマイズになります。
単純にパーツを入れ替えれば作業が終了するというものでもないので、作業前からいろいろな下調べを行う必要があります。
また、クロスバイクで使用されているVブレーキに対応したカーボンフォークも、現状で選択肢がほとんど無く、取り付けるカーボンフォークの選定でも頭を悩ますことになるかと思います。
僕自身がクロスバイクのフォークを、カーボンフォークに交換しようとした際に、フォークの交換方法について調べているうちに知らなかったこともたくさん出てきましたし、実際に作業を行うと、思わぬ失敗をするような場面もありました。
いくつかのトラブルもありましたが、無事にクロスバイクのフォークを交換してカーボンフォークに交換することが出来ました。
僕と同じ様に、クロスバイクやロードバイクのフォークの交換を考えている人は多いと思うので、作業の参考になればと思い、クロスバイクのフォークの交換方法について調べたこと、実際の作業方法などについてまとめてみました。
下記はフロントフォークをカーボンフォークに交換するための情報や手順についての記事の一覧です。
まずはこのページの記事を読んだ後に、下記の記事を読むとより理解が深まると思います。各記事へのリンクはこの記事の終わりにも掲載しています。
クロスバイクのフォーク交換のための事前準備
下調べ
クロスバイクのフォークを交換するためには、まず下調べをして、基本的なパーツの仕様や、作業方法などを知っておく必要があります。
クロスバイクの改造カスタマイズの中でもトップクラスの難易度と工程の多さになりますし、圧入と呼ばれる厄介な作業も含まれるため、事前の下調べ無しで作業を行うのは無謀と思われます。
まずはフォークを交換する際に関係する「ヘッドパーツ」の構造を知るところから始めましょう。
構造を理解しておけば、効率的に作業をおこなうことが出来るようになります。
また、自転車のフォークにはいろいろな規格があり、規格を間違えると取り付けできないので、「フォークの規格の違い」についても理解する必要があります。
規格が違っても取り付けられるものもありますが、ヘッドパーツを対応したものに交換する必要があるなど、さらに工程が増えることになるので、フォークの交換だけを目的にしているのであれば、なるべく同じ規格のフォークをを選択した方が無難です。
クロスバイクのフォーク交換に関する基本的な知識は、下記の記事でまとめてあります。
フォークの交換に必要な工具など
フォークの交換には、六角レンチやパイプカッターなどの工具の他に、専用工具などのいくつかの工具が必要になります。
圧入などの作業は、ホームセンターで買い揃えられるパイプなどを使用するDIY工具でおこなうこともできます。
専用工具を使用するのか、DIY工具を使用するのかで揃える工具も変わってきます。
また、ヘッドパーツの交換などをおこなう場合も、別途専用工具が必要になります。
下記の記事では、同じ規格のフォークを使用して、ヘッドパーツは変更しない方法で、必要な工具についてまとめています。
Vブレーキ対応のカーボンフォーク
Vブレーキに対応したカーボンフォークは少ない
クロスバイクのカーボンフォークの交換の際に、最も頭を悩ましたのがフォークの選定でした。
というのも、クロスバイクのフォークにはVブレーキが取り付けられているのが一般的ですが、市場に出回っているカーボンフォークのほとんどが、ロードバイクなどで使用されているキャリパーブレーキ対応のフォークになり、Vブレーキに対応していません。
Vブレーキ対応のカーボンフォークの種類は、ものすごく限られているのです。
キャリパーブレーキ対応のカーボンフォークには、Vブレーキは取り付けできないので、限られた選択肢の中からVブレーキ対応のカーボンフォークを選ぶか、Vブレーキを諦めて豊富な選択肢の中からキャリパーブレーキ対応のカーボンフォークを選ぶかの選択になります。
キャリパーブレーキ用を選択すると前後でブレーキが違ってしまう
選択肢の多いキャリパーブレーキ対応のカーボンフォークの方が、スペックが良いものも多く、コラムまでカーボンで作られたフルカーボンフォークなども見つけることができます。
価格もVブレーキ対応のカーボンフォークに比べて安いものが多いです。
ただし、キャリパーブレーキ用のフォークには、Vブレーキは取り付けできないので、Vブレーキを諦めてキャリパーブレーキを別に準備する必要があるのと、前輪はキャリパーブレーキ、後輪はVブレーキという、ある意味ハイブリッドな仕様になってしまうため、そこをどう考えるかで、選択が分かれるところになります。
僕の場合は、「Vブレーキに統一したい」という思いがあり、Vブレーキ対応のカーボンフォークにこだわっていました。
下記の記事では、Vブレーキ対応のカーボンフォークを紹介しています。
ちなみに現状ではワンバイエスのカーボンフォークしか選択肢が無いような状況です。
フロントフォークをカーボンフォークに交換するメリットと効果
フロントフォークを、アルミやクロモリ製からカーボンフォークに交換すると、なめらかな乗り心地に変わるなどの変化が得られます。
これは、カーボンの特性が影響するためで、アスファルトなどの路面の凸凹から伝わってくる振動が吸収されることによる変化です。
結果として、長時間、自転車に乗る場合などで、疲れが軽減されるなどのメリットが得られます。
カーボンフォークに交換することで得られるメリットや、効果については下記の記事で解説していますので参考にしてください。
https://escape.poo.tokyo/category/maintenance-customize/fork/
クロスバイクのフォーク交換作業
カーボンフォークの購入
Vブレーキ対応のカーボンフォークについては、選択肢が少なく、メーカー的には「ワンバイエス」と「TNI」の2メーカーくらいしかありません。
ワンバイエスのカーボンフォークの方が有名なので、スペックなども詳しく出ていますし、実例もいくつか見つけることが出来ます。
しかし、TNIのカーボンフォークについては、実例はおろか、スペック的にも詳しい情報が見つけられなかったため、実際にクロスバイクに使用できるものかどうかの判断で随分悩みました。
最終的に僕は、TNIのカーボンフォークを購入したのですが、実際問題で自身のクロスバイクに取り付け出来るかどうかが不確定なまま購入に踏み切りました。
駄目なら駄目で「それも経験」と割り切って、人柱的に購入してみようと思った次第です。
結果的には問題なく使用できるものでしたが、自転車の改造カスタマイズのパーツ選定ではよくある問題でもあります。
そんなわけで、TNIのカーボンフォークについて、下記の記事で詳しくレビューをしています。
STEP1:フォークの取り外し
クロスバイクのフォークを、フレームから取り外す工程です。
作業自体はフォークをフレームから引き抜くだけなので、それほど難しくはありませんが、ブレーキなどのパーツを取り外す必要があるので、Vブレーキの取り付け方法などは事前にしっかりと記録しておかないと、フォークを交換して取り付ける際に判らなくなってしまうこともあります。
作業前には必ず写真を撮影するようにしておきましょう。
下記の記事では、フォークをフレームから抜くところまでを解説しています。
STEP2:クラウンレース(下玉押し)の取り外し
フレームから取り外したフォークのコラムの根本部分に、クラウンレース(下玉押し)と呼ばれるパーツが圧入されています。
クラウンレースにはいくつかの種類があり、フレームのヘッドチューブに圧入されているヘッドパーツと互換性がなければ使用できません。
ヘッドパーツを交換しないで流用する場合には、クラウンレースも同じものを使用する必要があります。
そのため、フレームから取り外したフォークのコラム根本に圧入されているクラウンレース(下玉押し)を取り外す作業をおこなうことになります。
クラウンレースの取り外しには、専用工具を使うのが推奨ですが、カッターナイフとハンマーを使用した方法でも可能です。
ちなみに、GIANT社のクロスバイクの場合は、クラウンレースだけをGIANTストアで注文出来るので、GIANT社のクロスバイクであるESCAPE R3などの場合は、この作業を行わずに、パーツを購入することで解決することも出来ます。
クラウンレースの取り外し方法については、下記の記事で解説しています。
STEP3:ヘッドパーツの取り外し
フレームのトップチューブにセットされている「ヘッドパーツ」を取り外して綺麗に清掃します。
ヘッドパーツには、ベアリングなど細かなパーツがいくつか重なっているので、取り外した順番や上下が判らなくならないように、取り外した順に並べておくのが作業のポイントです。
メンテナンスがなかなか出来ない部分でもあるので、この機会にヘッドチューブとヘッドパーツのクリーニングも、併せておこなうと良いと思います。
おそらくグリースもかなり真っ黒になっていると思われるので、ウェスなどで綺麗に汚れを拭き取るようにしましょう。
もしも、交換するフォークのコラムの規格がオリジナルのフォークと異なる場合には、ヘッドパーツもコラムの規格と合わせる必要があるので、ヘッドパーツを全て交換する必要があります。
今回の作業では、同じ規格のフォークコラムを使用しているので、ヘッドパーツの交換作業自体はおこなっていませんが、下記の記事では、ヘッドパーツの規格の違いについて、そしてヘッドパーツの交換方法についても解説しています。
STEP4:クラウンレースの圧入
オリジナルのフォークコラムから取り外したクラウンレースを、新しいフォークのコラムに圧入する作業です。
圧入作業なので、専用工具を使用するのが推奨ですが、、クロスバイクの改造カスタマイズでは、ホームセンターで買い揃えられる「塩ビパイプ」などを使用して圧入する方法がポピュラーでもあります。
なので、僕も、先人たちに倣って、塩ビパイプを使用したDIY工具での作業をおこなっています。
結論としては、作業の正確さや手間などを考えれば、専用工具を使用した方が良いと思います。
圧入の難易度はパーツの相性で変わる
圧入作業の難易度は、使用するクラウンレースとフォークコラムとの相性もあると思われ、簡単に圧入出来る場合もあるようですし、かなり苦戦するパターンもあるようです。
いずれにしても、圧入作業ですから、多少手間の掛かる作業にはなると思います。
僕の場合は、非常に苦戦する結果となり、フォークの交換作業の中で最難関とも言える作業になりました。
ちなみに、「割り入り」と呼ばれる「切れ目」の入ったクラウンレースを使用すると、圧入作業は非常に楽におこなえるようです。
割り入りのクラウンレースは、カーボンコラムのフォークで使用されるクラウンレースですが、規格さえ合っていればアルミコラムのフォークでも使用できるものと思われます。
下記の記事では、クラウンレースの圧入について解説しています。
STEP5:コラムのカットとスターファングルナットの圧入
フォークとフレームを固定するためのパーツとして、フォークのコラム内部には、「スターファングルナット」と呼ばれる星型のパーツが圧入されています。
新しくフォークを購入した場合は、コラム内部にはスターファングルナットは圧入されていないため、スターファングルナットを圧入する必要があります。
スターファングルナットの圧入作業は「長ネジ」を使用するDIY工具での作業方法がポピュラーですが、やはり専用工具を使用した方がより簡単で確実に作業が出来ると思います。
作業の手順としては、フォークをフレームにセットして、基本的なポジションを確認してから、余分なコラムをカットします。
その後に、スターファングルナットの圧入となります。
スターファングルナットの圧入はプレッシャーアンカーを使用すると楽
下記の記事では、スターファングルナットの基本的な圧入方法についても解説していますが、作業自体はプレッシャーアンカーと呼ばれるパーツをスターファングルナットの代わりに使用しています。
プレッシャーアンカーは、スターファングルナットの使用できないカーボンコラムのフォークなどで使用されるパーツですす。
コラム内部に圧着させて固定することができるパーツで、再利用や位置調整が簡単におこなえるものです。
スターファングルナットに比べると価格が高くなりますが、圧入などの厄介な作業を省略できるのでおすすめです。
STEP6:ブレーキ調整など
圧入や、コラムカットなど、フォークの交換に必要な全ての作業が終われば、フォークをフレームから取り外した時の逆の手順でフォークをフレームにセットしなおせば、フォークの交換作業は終了します。
フォークをフレームに戻したら、ブレーキのパーツをフォークに取り付ける必要がありますが、慣れないと苦戦してしまう作業かもしれません。
そこで便利なのが「ブレーキシューチューナー」です。
ブレーキシューチューナーを使用すると、確実に効率よくブレーキの調整作業が出来るようになり、おすすめです。
この工程でのポイントは、ヘッドパーツを順序どおりに戻すことと、グリスアップをしっかりとすることになります。
フロントフォークをカーボンフォークに交換したレビュー
カーボンフォークに交換した後の見た目の変化など
フロントフォークをカーボンフォークに交換したことによる一番の変化は、フォークがカーボン柄になったことによる見た目の変化だと思います。
カーボンフォークのクロスバイクというだけでもちょっとした特別感がありますから、見た目の変化では大変な満足度が得られるものと思います。
また、実際に走行してみた結果として、カーボン素材のパーツに変更した際の特徴でよく言われるように、カーボンは振動を吸収するので、細かな振動が滑らかになり乗り心地が良くなったようにも思います。
コラム部分がアルミなので、正直なところそれほど大きな実感としては感じませんでしたが、それでもある程度の距離を走ってみた時に体感できるレベルの違いはあります。
下記の記事では、クロスバイクのフォークをカーボンフォークに交換したことによる見た目の違いや、実際に走行してみた感想、総評などをまとめています。