クロスバイクのフォークを交換する手順5は、新しく購入したフォークのコラムに、スターファングルナットを圧入します。
スターファングルナットとは
スターファングルナットは、フォークコラムの内側に圧入されている、星型のパーツです。
ヘッドキャップのボルトと連結して、フォークを引き上げることで、ヘッドチューブとフォークを圧着させて、フォークとフレームを固定させる役割がある必須パーツです。
必須パーツですが、スターファングルナットをフォークに圧入してしまうと不可逆なので、通常は新しいフォークにはスターファングルナットは圧入されておらず、フレームに組み込んでポジションを調整する際に圧入する必要があります。
新しいフォークには新しいスターファングルナットを圧入する必要がある
スターファングルナットの圧入は、自転車家さんなどでクロスバイクやロードバイクを購入した際には自転車屋さんが亜s行をしてくれますが、フォークだけ購入して自分自身で交換しようと思うと、スターファングルナットの圧入も自分自身で行う必要があります。
コラムをカットする際にもスターファングルナットは位置調整が必要
また、新しくフォークを交換する時だけでなく、クロスバイクやロードバイクに乗っていると、ポジション調整のためハンドルの高さを下げることがあります。
ハンドルの位置を低く調整するためにはステムの位置を下げる必要がありますが、単純にステムの位置を下げるだけだとステムの上にコラムが飛び出した不恰好な状態になってしまいます。
なので、飛び出した余分なフォークコラムはカットすることになるのですが、ここで気を付けておかなければいけないのが、スターファングルナットの位置です。
スターファングルナットは、コラム上辺から15mmほど下がった場所が定位置になるため、フォークコラムをカットする分だけスターファングルナットを下に移動させないといけないのです。
例えば、フォークコラムを2cmカットしたなら、スターファングルナットの位置も2cm下げないと機能しなくなってしまうのです。
スターファングルナットの圧入に使用する道具
スターファングルナットを圧入するには専用工具を使用します。
「スターファングルナット圧入工具」や「アンカーナットセッター」などと呼ばれる工具です。
これらの道具な出番があまり無いので、専用工具を使わずにホームセンターなどで「長ネジ」や「ワッシャー」などを購入して代用する、DIY工具を使用した方法があります。
インターネットで見つかるスターファングルナットの圧入方法のほとんどは、このDIY工具を使用した方法が紹介されています。
DIY工具でも作業はできるが。。。
実際問題で、僕自身もDIY工具を使用した方法で圧入をしたことがあります。
下記の記事は、その様子をまとめたものになります。
しかし、個人的には、DIY工具を使用するよりも、専用工具を使用することを推奨します。
というのも、DIY工具は、フォークの叉から長ネジを差し込んで、スターファングルナットを引き下げる方法で作業をするわけです。
DIY工具ではより慎重な作業が必要になるからです。
テキトーにやってしまうと、スターファングルナットは引き下げ過ぎるという失敗を犯してしまう可能性があり、しかもスターファングルナットを引き下げ過ぎると元に戻せません。
つまり、作業を失敗するとフォーク自体が駄目になってしまうため、作業にはかなり神経を遣うことになるのです。
その点、専用工具である「スターファングルナット圧入工具」を使用すれば、定位置で止めるためのストッパーがあるなど、必要以上に圧入されないような仕組みになっているので、安心して作業ができるのです。
スターファングルナットの圧入作業
準備するもの
● スターファングルナット >
● スターファングルナット圧入工具 >
● ハンマー >
● パイプカッター >
● 金ヤスリ >
スターファングルナット
スターファングルナットは数百円で購入できます。
注意点としては「コラムに合ったサイズ」のスターファングルナットを使用する必要があります。
GIANT社のESCAPEシリーズなど、多くのクロスバイクの場合は、1 1/8"サイズのものを選択すれば、間違いはないと思います。
手順1 コラムをカットする
スターファングルナットを圧入する位置は、コラムの上辺から約1.5mm程度の場所なので、先に圧入してしまうとコラムをカットすると位置が変わってしまうことになるので、圧入作業は、コラムの長さを調整した後になります。
コラムは余裕を持った長さでカットする
コラムの長さは、フレームのヘッドチューブの長さで変わるので、フレームが同じであれば、基本的には元々使用していたフォークのコラムの長さに揃えれば良いと思います。
しかし、その場合でも実際に組み付けてステムやスペーサーなどを取り付けた状態で確認した方が良いでしょう。
短くカットし過ぎると失敗してしまうこともあるので、まずは少し余裕を持たせた長さでカットするのが良いと思います。
コラムをカットする道具や方法は、コラムの材質によって変わります。
アルミコラムの場合は、ハンドルをカットする際に使用するような「パイプカッター」でカットできます。
カーボンコラムの場合は、パイプカッターは使用できないので、「ソーガイド」と「金鋸」を使用してカットすることになります。
アルミコラムにしろ、カーボンコラムにしろ、無理のない程度に圧力を掛けつつ根気よく作業すれば、5〜10分程度でカットできるものと思います。
ちなみに、削りカスはそれなりに出ますし、有害物質と思われるので、防塵マスクや保護メガネをして作業することをお勧めします。
特に金属の削りかすが目に入ると大変なことになってしまうので、注意しましょう。
アルミコラムをカットする道具
カーボンコラムをカットする道具
フレームにフォークをセットして微調整
コラムをカットできたら、一旦ヘッドチューブにコラムを通して、ステムやスペーサーなど、必要なパーツを取り付けた状態で、長さの確認をします。
この時点で、正確にカットする長さを確認してから、必要に応じてコラムを再度カットします。
コラムの長さの目安としては、少なくともステムの上に5mmのスペーサーが入れられるくらいの余裕を持たせた方が良いでしょう。
1.5cmくらいコラムが長くても、それほど見苦しくはならない範囲だと思うので、後々ステムを交換する予定がある場合などは、ステムの種類によってもサイズが異なるので、多少は余裕のある長さにしておくとステムを変更した時にも安心かと思います。
ヤスリがけでバリ取り
カットしたコラムは、バリを取るためにヤスリがけしてください。
カーボンコラムの場合は、繊維のホツレを防ぐために、瞬間接着剤で切断部分をコーティングするのが定番です。
もちろん保護メガネは忘れないように。
スターファングルナット圧入工具でスターファングルナットを圧入
スターファングルナット圧入工具を使用すれば、特に難しいことを考えなくても、ハンマーでひたすら叩き込めば、所定の位置までスターファングルナットを圧入することができます。
「圧入」と言うくらいですから、力一杯叩く必要がありますし、すぐに入らないなどの苦戦を強いられることもあるかと思います。
最後まで集中力を切らさずに、慎重に作業をおこなってください。
当然ながら、大きな音も出るので、集合住宅などで作業する場合は日中の方が良いでしょう。
この時点で、挫折する人も多そうです。
スターファングルナットを圧入しなくても良い方法がある
一般的にアルミコラムにはスターファングルナットを圧入した方法になるので、スターファングルナットを基本に解説をしてみましたが、実はスターファングルナットを使用しなくても良い方法もあります。
実はカーボンコラムの場合は、コラムが割れてしまう可能性があるので、スターファングルナットは圧入できませんが、それでもフォークを固定することができます。
つまりは、カーボンフォークと同じ方法をとることで、スターファングルナットを圧入しなくても良くなるのです。
スターファングルナットを圧入しないプレッシャーアンカーを使用する方法
スターファングルナット以外に、「プレッシャーアンカー」と呼ばれるパーツを使用する方法があります。
この記事の本題は「スターファングルナットの圧入」なので、プレッシャーアンカーを紹介すると元も子もない感じですが、僕のようなDIYで作業をする人にとっては、実際問題で圧入はとても大変な作業なので、プレッシャーアンカーが絶対的におすすめになるのです。
プレッシャーアンカーとは
プレッシャーアンカーは、いくつかの小さな金具が一体になったパーツで、センター部分のボルトを締めると、金具が広がり、コラムの内側に圧着するというものです。
プレッシャーアンカーは、スターファングルナットの圧入ができないカーボンコラムなどで使用するものですが、アルミコラムのフォークにも使用できます。
スターファングルナットと比べると、価格は少し高いですが、作業も簡単ですし、専用工具も必要ないので、諸々工具まで買い揃えることを考えれば、プレッシャーアンカーで作業する方が断然おすすめです。
ちなみに僕が購入したのは、フロアポンプのヘッドパーツで抜群の評価を得ている、KUWAHARA HIRAMEが製造しているプレッシャーアンカーになります。
精度も高く、丁寧に作られたパーツなので、安心して使用できると思います。
なので、僕がこの工程で行った作業は、コラムのカットまでとなります。