軽量な金属の素材と言えば「チタン」です。
その軽量さ故に、航空機やスポーツ器具など、軽量化が重要なものの多くで「チタン」が使用されています。
なので、クロスバイクやロードバイクなどの自転車の場合でも、究極の軽量化を目指したりする場合は、ボルトの一本一本をチタン製のボルトに交換したりするわけです。
そんなわけでチタンはとても軽い金属という印象がありますが、意外と知られていないのは、実は、チタンはアルミよりも重たい金属なのです。
アルミよりチタンの方が重いという事実
アルミよりチタンの方が重い
アルミとチタンの重さを比較すると、アルミよりチタンの方が重いんです。
「え? チタンの方が軽いんじゃないの?」
だって、チタンは航空機にも使われているし、ゴルフクラブなんかもチタンヘッドになると軽さをアピールするものがほとんどです。
それにチタン製の製品は価格も高くて性能が良いという印象があります。
クロスバイクやロードバイクだって軽量化しようと考えれば、ネジやボルトをチタン製に交換するのが常道ですし、アルミよりチタンの方が軽いと思っていたんですけど・・・
いえいえ、アルミよりチタンの方が重いんです。
チタンの方がアルミより軽いと思っている人は多い
物理系や製造系の人が聞くと「アルミよりもチタンの方が重い」なんていうのは常識レベルの知識と思われますが、僕は随分と長い間「アルミよりもチタンの方が軽い」と思っていました。
きっと僕と同じように「チタンの方がアルミより軽い」と思っている人は多いと思うのです。
例えば、僕が日頃の仕事で取り扱っている製品の部材が、ある日アルミからチタンに変更になりました。
それをお客さんに説明すると「チタンになったんですか。じゃあ軽くなったんですね!(ニッコリ)」と、かなりの方から言われるのです。
それでも、チタンは本当にアルミより重たいのでしょうか・・・?
そんなモヤモヤした疑問があったので、ハッキリさせるためにチタンとアルミの重さや、なぜチタンが軽いと思われているのかについて調べてみました。
アルミとチタンの重さを比較をしてみる
アルミとチタンの比重
アルミ:約2.71
チタン(純チタン):4.51
アルミとチタンの比重を比較してみると上記のような感じです。
比重の数値が大きい方が物質としての中身が詰まっているというわけで、同じ体積で比較した場合、比重が大きい方が重くなります。
つまり、アルミよりもチタンの方が比重が大きいので、チタンの方が重いのです。
直径1cm、長さ100cmの延べ棒で比較
比重の比較だとイマイチ分かりづらいので、どのくらいの重量差がでるのかを「直径1cm、長さ100cmの延べ棒」で比較してみましょう。
アルミ:約212.84g
チタン:356.57g
アルミよりチタンの方が断然重たいということが解ると思います。
僅差ではなく、かなりの重量差があるのですね。
参考 ちょこっと重量計算
チタンはアルミよりも軽いというイメージがある理由
軽量化するならカーボンとチタンだから
クロスバイクやロードバイクにとって軽量化は、カスタマイズ系の人にとっては究極の遊びとも言えるカスタマイズです。
数グラム軽量化するのにウン千円という費用が必要なんてことはザラです。
軽量化のためなら金に糸目はつけない精神で乗り越えていくのが、軽量化への情熱だったりするのです。
軽量化のためには、まずカーボンパーツに換えられるものは全てカーボンに換えて、他に換えるパーツがなくなれば、次はボルト類をチタン化して、さらなる軽量化へと突き進むなんていうのが基本的なパターンかと思います。
しかしチタンのボルトって高いのです。
アルミ製のボルトだと数百円で何十本も購入できるのですが、チタンだと4本で2,000円程度!
とっても高いというのが実際のところです。
その代わり、クロスバイクやロードバイクで使われているボルト類を全てチタンボルトに換えてしまえば、塵も積もれば山となり、ボルトだけでも100gくらいは軽量化出来るのではないかと思います。
そんなわけで予算を度外視した究極の軽量化の際にチタンが使用されるので、チタンはすごく軽いというイメージがあるんですよね・・・
チタンフレームと言えば高級フレームだから
自転車のフレームの素材と言えば、アルミとカーボン、そしてクロモリが主流かと思います。
カーボンは最近の主流であり、少しグレードの高いロードバイクのフレームなどでは標準の素材ですし、クロモリはクラシカルな自転車で多く使われている素材です。
そしてクロスバイクなど価格が手頃な自転車のフレームにはアルミが使われています。
しかし、中には高級な素材であるチタンを使用したフレームも存在します。
その代表とも言えるのがDE ROSAのTITANINOですね。
しかしチタンボルトと同じ様に、チタンフレームはすごく高価なのです。
DE ROSA自体が他のメーカーと比べて全体的に高めな価格設定というのもありますが、フレームだけで60万円を越えるなど、かなり高価格なフレームになります。
もっとお手頃なチタンフレームと言えば、パナチタンとも呼ばれるPanasonicのチタンフレームがありますが、それでもフレームだけで37万円で、カーボンフレームなどと比較しても高価なフレームであることが判ります。
けして「価格=性能」とは言えないのは分かっていますが、一般的な感覚ではどうしても「高価=高性能=軽量」と思ってしまうもので、アルミよりも高価なチタンのフレームの方が軽いという印象になってしまいます。
また、実際にチタンフレームの自転車はアルミフレームの自転車と比べれば軽量なことが多く、余計に話がややこしくなってしまうのです。
クロスバイクやロードバイクではアルミフレームは重たいというイメージがある
実のところ金属の中ではアルミは軽いんです。
なのでクロスバイクやロードバイクなどの重量が重要視される製造物では、金属フレームの素材としてアルミが選ばれたりもするわけです。
アルミは価格も安くて、加工しやすいという性質なので、最も身近な金属素材の一つかと思います。
しかし前述したように、自転車のフレームにはカーボンなどアルミよりも軽い素材が使われることもあり、自転車の世界ではアルミはカーボンなどと比較されるため「アルミ=重い」というイメージが付いてしまっているのだと思います。
もちろん、チタンに関してもカーボンと比較すれば全然軽くないのですが、フレームで考えるとあまり一般的ではないことや、完成したフレームで考えればアルミよりも軽量ですし、世間一般的にチタンは軽いというイメージがあると思うので「チタンフレーム=軽い」というイメージになっているかと思います。
チタン製はアルミ製よりも軽く作れるというのが本当の理由
チタンはアルミよりも金属として比重が高く、重量も重い素材です。
しかしそれはあくまで素材として重いということで、それを加工して作る「製造物」になると話は違ってくるのです。
ポイントは素材の強度です。
チタンはアルミよりも強度がある金属です。
なので、同じ強度のフレームを作る場合、アルミ製のフレームに比べるとチタンフレームは素材を薄くすることができるのです。
つまり、強度があるため、素材の量を減らせることから、同じ強度のフレームを作る場合であれば、結果としてチタンフレームはアルミよりも軽量化できてしまうというわけです。
もちろん自転車のフレームだけでなく、冒頭に書いた航空機やゴルフクラブなども同じような理由で、アルミを使うよりも軽量化できるので、チタンの方が軽いということになるのです。
要するに、製造物の場合は、単純に素材の重さで判断するのではなく、強度も併せて考えないといけないってことですね。
なるほど、勉強になりました。
ちなみに僕のクロスバイクも軽量化のためにクイックリリースはチタン製のものに変えています。
目立たないパーツではありますが、チタン=高級というイメージもあるので、なんとなく気分が良いのもチタンならではの魅力かと思います。
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チタンに関する記事
https://escape.poo.tokyo/skewers-qickrelese/"