クロスバイクやロードバイクのカスタムと自転車情報

ESCAPE Airと自転車ライフ

ニュース・話題 時事 道路

日本が誇るサイクルルート(ナショナルサイクルルート制度)について思うこと

投稿日:

日本における自転車の走行環境と言えば、諸外国と比べると未整備な印象で、自転車後進国などと言われたりもしています。

しかしそんな自転車後進国な日本でも、世界にも誇れるような素晴らしいサイクリングルートもあるわけです。

そんな素晴らしいサイクリングルートを国内だけでなく、世界にもアピールして、世界中のサイクリストに訪れてもらい、自転車を通じて新しい日本を発見してもらうことを目的とした制度として「ナショナルサイクルルート制度」というものが令和元年から国土交通省の自転車活用推進本部により開始されました。

ナショナルサイクルルート制度とは

優れた観光資源を有機的に連携したサイクルツーリズムの推進により、日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るために、一定の水準を満たすルートを対象として「ナショナルサイクルルート」に指定する。

概要としては上記のような感じで、将来的には全国のナショナルサイクルルートのネットワーク化が構想されているようです。

ナショナルサイクルルートに指定されるには一定の水準を満たす必要がある

ナショナルサイクルルートに指定されると国土交通省のお墨付きで「素晴らしいサイクリングルート」として認められることになります。

きちんとPRされるようであれば、日本国中のサイクリストだけでなく、世界各国からのサイクリストの訪問が期待できるため、サイクリングルートがある自治体などは積極的にナショナルサイクルルートに指定してもらいたいはずです。

しかしナショナルサイクルルートとして指定してもらうには、どんなサイクリングルートでも指定してもらえるというわけではなく、定められた基準を満たさなければいけないという条件があります。

ナショナルサイクルルートの指定要件

ナショナルサイクルルートに指定されるには「ルート設定」「走行環境」「受入環境」「情報発信」「取組体制」の5つの観点で指定した指定要件を満たしているかどうかを評価されることになります。

ルート設定

サイクルツーリズムの推進に資する魅力ある安全なルートであること。
ルート近傍の主要アクセスポイントである空港、鉄道駅、道の駅等に、サイクリストの受入施設となる「ゲートウェイ」を整備することが必要。

必須項目

・ルートの延長が概ね100km以上であること(ただし、離島・島しょ部は除く。)
以下のいずれかを満たすルートであること
+地域を代表する観光地(歴史・文化・景勝地等)を有機的に連携していること。
+国際的に著名な観光地を有機的に連携していること。
+魅力的な景観の地域を通過していること。
+複数の地形条件を通過して地形の変化を楽しむことができるルートとなっていること。

・自動車交通量が概ね10,000台/日以上の幹線道路において車道混在となる区間を避けたルートであること。
・自転車で通行できない区間がないこと。
・狭小幅員のトンネルを含まないルートとすること。

推奨項目

・生活道路を避けたルートであること。
・子どもを含め、幅広い世代が楽しむことができるよう、急勾配が連続する区間を避けたルートであること。
・ルート名称は、簡潔にルートの特徴をよく表し、日本人、外国人双方に分かりやすい名称であること。

走行環境

誰もが安全・快適に走行できる環境を備えていること。
誰もが迷わず安心して走行できる環境を備えていること。

必須項目

・都市部(DID地区)においては、自転車専用道路又はガイドラインに基づき市区町村の自転車活用推進計画における自転車ネットワーク計画に位置付けた上で、適切に歩行者・自動車と分離された自転車通行空間が整備されていること。
・郊外部(DID地区以外)においても、自転車専用道路又はガイドラインに基づき、適切に歩行者・自動車と分離された自転車通行空間が整備されていること。
・トンネル、橋梁部、急勾配箇所の現地に注意喚起の看板等の案内表示がされていること。
・自転車損害賠償責任保険等の加入を義務(努力義務を含む)付ける条例が制定されていること。

・未舗装区間がないこと。ただし、快適性の劣らない自然地の未舗装区間等を除く。
・ルート全線で統一された仕様により、ルート名、自転車ピクトによる経路や距離に関する路面表示が設置されていること。
・ルート全線で統一された仕様により、ルート名、自転車ピクトによる経路や距離に関する案内看板が設置されていること。
・海外のサイクリストでも認識可能な多言語(日英2か国語以上)やピクトグラムでの案内となっていること。
・ナショナルサイクルルート指定後に自転車活用推進本部事務局がナショナルサイクルルートの共通仕様として示すロゴマークを設置すること。

推奨項目

・情報板等でドライバーに対して当該道路がサイクリングルートとして活用されており自転車通行に配慮する旨、注意喚起を図ること。
・交差点では安全な通行を確保した上で、極力、一時停止の規制がなく、迂回する必要がなく通行可能であること。
・道路管理者等にてルートの管理基準(清掃・補修の水準)が設定され、維持管理の実施体制が明確であること。
・サイクリストから走行上問題がある(路面の陥没や突起、草や落ち葉等)箇所について、意見を収集して早期に補修等の対応できる仕組みが構築されていること。
・起点及び主要な目的地(主要都市や代表的な観光地等)までの距離を示す案内が一定間隔に設置されていること。
・ルート沿線のゲートウェイ・観光施設・拠点(サイクルステーション)への案内(方面・距離等)が当該施設への分岐部及び一定の間隔にあること。。

受入環境

多様な交通手段に対応したゲートウェイが整備されていること
いつでも休憩できる環境を備えていること
ルート沿いに自転車を運搬しながら移動可能な環境を備えていること
サイクリストが安心して宿泊可能な環境を備えていること
地域の魅力を満喫でき、地域振興にも寄与する環境を備えていること
自転車のトラブルに対応できる環境を備えていること

必須項目

・ルートの存する域内にある主要アクセスポイント(空港、鉄道駅、道の駅等)に、必要な機能を備えた「ゲートウェイ」が整備されていること。
・レンタサイクル又はシェアサイクルが利用可能なこと。
・必要な情報(ルートマップ、宿泊施設、サイクルステーション、見所、食事、緊急サポート)が入手可能なこと。
・必要な物品(タイヤチューブ、パーツ、携行食等)が購入可能なこと。
・手荷物用のロッカー、着替えスペースが完備されていること。

・空気入れ等の出発前の準備・調整に必要な工具の貸出があること。
・ゲートウェイとルートの間のアクセスルートが整備されており、そのアクセス方法もわかりやすく案内されていること。
・サイクリストが必要とする機能を備えたサイクルステーションがルート上に概ね20kmごとに整備されていること。
・トイレが利用できること
・空気入れの貸出しをしていること

・水分補給(自動販売機・飲料水の提供)が可能であること
・休憩スペース・設備(屋根付きのテーブル・椅子)があること
・サイクルラックが設置されていること
・必要な情報(ルートマップ、宿泊施設、休憩施設、見所、食事、緊急サポート)が入手可能なこと
・ルート直近にサイクリストが必要とする機能を備えた宿泊施設が概ね60kmごとにあること。

・室内(フロント、ロビー、客室等)で自転車の預かり・保管が可能であること
・フロント等にて荷物の保管が可能であること
・洗濯が可能であること
・緊急時の事故対応等のため、自転車専用道路等に緊急車両の侵入が可能な環境が整備さていること。または、概ね2kmごとにアクセスが可能な環境が整備されていること。
・緊急時の連絡体制やサポート可能な施設情報がルートマップ及びホームページなどに記載されており、サイクリストが困らない情報提供がなされていること。

推奨項目

・シャワー等が利用可能なこと。
・ゲートウェイにおいて、自転車を組み立てるスペースが屋内(もしくは屋根のある空間)に確保されていること。
・ゲートウェイまでの自転車の運搬サービス(鉄道・バスなどでの輪行、航空機による輪行のための専用ボックスの提供や保管サービス、自転車託送サービス等)が利用可能であること。
・ゲートウェイと宿泊施設等間で自転車や荷物の託送サービスが利用可能であること。
・物品販売(チューブ、携行食、モバイルバッテリー等)がされていること

・工具等の貸出しをしていること
・wifiの提供をしていること
・ルート上の迂回(ショートカットや危険個所・峠道の回避)を図るための移動手段としてサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどが設定されていること。
・上記の手段について、利用者が計画を立てるのに必要な情報が提供されていること。
・サイクリストの体力や経験・実力による「走行できる距離」を勘案し、拠点までの自転車回送サービスとしてのサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどが設定されていること。
・上記の手段について、利用者が計画を立てるのに必要な情報が提供されていること。

・自転車など大型荷物を含む宅配の発送、受け取りが可能であること
・洗車施設があること
・日帰り利用も可能なシャワー設備があること
・サイクリストに向けに地域の魅力を紹介するツアーガイドなどが実施されていること。(日英2か語以上に対応していること)
・ルートを活用した幅広い層を対象としたイベント(ツーリングイベントやレース等)が定期的に開催されていること。
・ルート近くにトラブル発生時に必要な補修部品、自転車用品などが販売されていること。

・ルート近くにトラブル発生時に利用できる自転車修理サービスや自転車の出張修理などのサービスが実施されていること
・上記のサービスについて、利用者が緊急時に利用するために必要な情報が提供されていること。
・トラブル発生時に利用できるメンテナンスのサービス拠点まで、自転車を搬送するサイクルタシーなどのサービスが利用可能であること。
・上記のサービスについて、利用者が緊急時に利用するために必要な情報が提供されていること。
・緊急通報が可能なように、携帯電話のカバー圏に全線が含まれていること。含まれていない場合には一定間隔で緊急連絡が可能な公衆又は非常電話が存在すること。
・救急箱・担架・AED機器などの緊急支援物品が途中のサイクルステーションに一定間隔以内で整備されていること。

情報発信

誰もがどこでも容易に情報が得られる環境を備えていること

必須項目

・ホームページ、SNS及びパンフレットなどで以下のような必要な情報発信をしていること。
・インバウンドに対応した多言語(日英2か国語以上)で情報発信をしていること。
・以下のような内容が記載されたルートマップが作成されていること。
+ルートの経路・距離・高低差・勾配・路面状況・危険個所、利用者別等推奨コース、ゲートウェイの場所と機能、サイクルステーションの場所と機能、地域の拠点・立寄スポット・周辺の観光スポット、ルートの紹介(写真等)、レンタサイクル・宿泊施設・Wi-Fi利用環境・ルートで利用できるサイクルトレイン等・ガイドツアー・緊急時サービス(自転車修理、医療施設等)・自転車宅配・荷物輸送等サービス情報、アクセス方法(公共交通アクセス等)、ホームページ等のURL
・インバウンドの旅行者でも理解できるものであること。
以下のような場所で容易に入手できること。
+観光案内所、サイクルステーション、複数の交通拠点(道の駅、鉄道駅、空港、フェリーターミナル、バスターミナル等)、宿泊施設
・データをホームページ上にアップし、PCまたはスマートフォンで閲覧できるとともに、PDF等でダウンロード可能であること。

推奨項目

・サイクリストが持ち運びやすく、水濡れに強い仕様になっていること。
・海外の自転車展示会、旅行関係のイベント等に出展し、PRを積極的に実施していること。

取組体制

官民連携によるサイクリング環境の水準維持等に必要な取組体制が確立されていること

必須項目

・官民が連携し一体的に協議・検討・議論を行う常設の協議会、事務局が設置されていること。
・上記の協議会が定期的に開催されていること。
・指定されたナショナルサイクルルートに関する水準維持等に向けた取組内容を都道府県・政令市の地方版自転車活用推進計画に具体的に位置づけること。

定期的な評価で新規ルートの追加や削除も考えられる

ナショナルサイクルルートに指定されると、その後はずっと安泰というわけではなく、上記のような指定要件のため、指定された当初から状況が変わってしまうことも十分考えられるため、3~5年ごとに状況に変わりが無いかの確認がされ、指定要件を満たさなくなったルートに付いては削除もあるようです。

意外と指定要項が多いので、ナショナルサイクルルートに指定されるのは、一朝一夕にできることではなく、それなりの準備期間が必要になると思われます。

ナショナルサイクルルート

2019年11月現在でナショナルサイクルルートに指定されているのは以下の3ルート。

クロスバイクやロードバイクに乗る人ならば、誰でも知っていると思われるレベルの3つのルートがナショナルサイクルルートととして指定されています。いずれにしてもサイクリストならば一度は走ってみたいルートかと思います。

逆に言えば、この3つのルートを国内・海外のサイクリストにPRしたいがためにナショナルサイクルルート制度を開始したんじゃないかと思われるくらいのルート選びです。

つくば霞ヶ浦りんりんロード

・延長:176km
・JR岩瀬駅~JR土浦駅および霞ヶ浦湖岸一周(茨城県)
https://www.ringringroad.com/

参考 → つくば霞ヶ浦りんりんロードのレンタサイクルでロードバイクに乗ろう

ビワイチ

・延長:193km
・琵琶湖岸一周(滋賀県)
https://www.biwako1.jp/

しまなみ海道サイクリングロード

・延長:70km
・JR尾道駅(広島県)~サンライズ糸山(愛媛県)
https://shimanami-cycle.or.jp/rental/course

ナショナルサイクルルート制度まとめ

ナショナルサイクルルート制度を知ったのは、何かのニュースにを見ている流れで目にしたのがきっかけで「ナショナルサイクルルート制度ってなんぞや?」というのがナショナルサイクルルート制度を調べてみる切っ掛けでした。

「どうせまた建前だけのしょうもない制度なんだろうな」と思いつつも、調べてみると、意外に厳しい要項や、誰からも文句の出ないようなメジャーなサイクルルートを指定してきていることからも、国土交通省の本気度が伺える感じです。

実際問題で、最近知り合ったオーストラリアから来た方は「日本に来たのはしまなみ街道に行って自転車に乗りたいからだ」と言っていまからだ、僕が思っている以上に、指定されたサイクルルートは海外の方にとって魅力的なものになっているようなので、うまく転がればナショナルサイクルルート目的に日本にやってくる外国人観光客(インバウンド)の増加が期待できるのかもしれません。

ナショナルサイクルルート制度自体がどう考えても最初に指定された3ルート在りきだとは思いますが、実際に日本が誇る3大ルートで、ロードバイクやクロスバイクに乗るようなサイクリストであれば、誰でも知っているレベルで有名なルートですから、これ以上はないルートの選定がされているかと思います。

僕自身もナショナルサイクルルートに選定される以前から「一度は走ってみたい」と思っていたルートなので、もともと整備されているルートではあるのでしょうが、ナショナルサイクルルートに指定されるための要項は細かく、本当にこれらの必須項目や推奨項目がクリアになっているようなコースであれば、有名なルートでなくても「きっと楽しいだろうな、気持ち良いだろうな、走ってみたいな」と思えるような「ハズレ無し」のルートになるんじゃないかと思います。

条件が結構厳しいので、コースはどうしても平野部か沿岸部に限られることになるのでしょうし「他に該当するコースはあるのかな?」と思うくらいで「次はどのルートが選ばれるのか?」というのが個人的には最も気になるところだったりします。

第二次候補に関してはまだ先の話のようですが、ルート選定のバランスを考えれば、北海道、東北、九州から選定したいところかと思います。

例えば、北海道では北海道開発局が「北海道のサイクルツーリズム推進」を進めていますし、東北では、震災復興を掲げたツールド東北のコースがありますし、九州では国土交通省 九州運輸局が「九州一周サイクリングルート設定に向けたマーケット調査事業」を行っていますから、第二次候補としてこれらのコースが選ばれる可能性は高いんじゃないかと思います。

ナショナルサイクルルート制度で、インバウンドが増えることを期待するのはもちろんですが、日本の自転車環境が改善されていく切っ掛けの一つになってくれると良いなと思います。

参考・引用

ナショナルサイクルルート制度を創設!
資料
九州一周サイクリングルート設定に向けたマーケット調査事業 事業報告書
ツールド東北
北海道のサイクルツーリズム推進

-ニュース・話題, 時事, 道路

Copyright© ESCAPE Airと自転車ライフ , 2019 All Rights Reserved.