クロスバイクをブルホーン化する際に最も不安なのがエアロブレーキレバーとVブレーキの互換性です。
通常Vブレーキはフラットバー用のブレーキレバーを使用していますが、ロードバイクなどのキャリパーブレーキと比べるとワイヤーを引く量が多くなります。しかしエアブレーキレバーは基本的にキャリパーブレーキなどで使用されるブレーキレバーなので、ワイヤーの引き量は少なくなります。
そのため、エアロブレーキレバーなど本来キャリパーブレーキで使用されるブレーキレバーをVブレーキで使用する場合は、何らかの調整が必要になることが考えられます。
果たしてクロスバイクをブルホーン化してエアロブレーキレバーを使用した時にVブレーキはきちんと動作するのか、その互換性などについて調べてみることにしました。
ブルホーンのブレーキレバーとVブレーキの互換性
Vブレーキはカンチブレーキやキャリパーブレーキよりもワイヤーを引く量が多い
クロスバイクのESCAPE Airをブルホーン化するにあたって最も大きな問題だったのがブレーキの問題でした。
というのも、一般的なクロスバイクに装備されているブレーキはVブレーキなのに対して、ブルホーンバーのバーエンドに取り付けられるブレーキレバーのほとんどがカンチブレーキかキャリパーブレーキしか対応しておらず「Vブレーキには非対応」となっているのです。
ブレーキレバーを握った時にワイヤーが引かれる量が、カンチプレーキやキャリパーブレーキとVブレーキとでは違うというのがその理由です。カンチブレーキやキャリパーブレーキよりもVブレーキの方がワイヤーの引く量が多いのです。
そのためカンチプレーキやキャリパーブレーキ用のブレーキレバーをVブレーキで使用するとワイヤーを引ききれないのでブレーキが掛けられないということになります。
かと言って通常のクロスバイクのフレームにはカンチプレーキやキャリパーブレーキは装着出来ないので、Vブレーキを使用する前提で対応策を考えなければいけません。
クロスバイクのブルホーン化やドロップハンドル化でつきまとう問題
この問題はクロスバイクをブルホーン化する際だいの問題ではなく、ドロップハンドル化を考えている人にとっても同様です。
ドロップハンドルで使用されるブレーキレバーでVブレーキを引くためにはVブレーキに対応した専用のブレーキレバーを選択するなどの方法をとらなくてはいけません。
キャリパーブレーキ用のレバーでVブレーキを動作させる方法
ワイヤーの引き量を調整するアジャスターを使用する
クロスバイクをブルホーン化したくてもブレーキが効かないような自転車には乗りたくないのでブルホーン化は諦めようと考えたりもしました。
しかしいろいろ調べてみると、ワイヤーの引き量を調整するアジャスターを使用すれば、カンチブレーキやキャリパーブレーキ用のブレーキレバーでもVブレーキは動作させられるという情報を見つけることができました。
これはVブレーキ横にアジャスターを取り付けてワイヤーの引き量を調整する方法で、最も簡単に調整できる方法の一つではありますが、アジャスターが意外に大きく目立つため、あまり格好良いものではない感じがします。
ショートアーム(ミニVブレーキ・コンパクトVブレーキ)なら可能性あり
実はVブレーキにはマウンテンバイクで使用されているアームが長いもの(107mm前後)と、クロスバイクなどで使用されているアームが短いもの(90mm前後)の2種類があります。
アームの短いVブレーキはショートアームとかミニVブレーキ・コンパクトVブレーキなどと呼ばれていて、通常のVブレーキよりもワイヤーの引き量が少なく、キャリパーブレーキやカンチブレーキ用のブレーキレバーでも動作させられる可能性があると考えられます。
ちなみGIANTのESCAPEシリーズに装備されているVブレーキはコンパクトVブレーキです。
Vブレーキの一般的なアームの長さ
Vブレーキ:105mm程度
コンパクトVブレーキ(シマノ:ロード):90mm程度
ミニVブレーキ:85mm程度
僕が愛車のクロスバイクのESCAPE Airをブルホーン化しようと考えた時には既にブレーキは交換済みでシマノのBR-R573という105グレードのVブレーキを使用していましたが、BR-R573もコンパクトVブレーキの仲間になります。
道路交通法の自転車のブレーキの制動力の基準は?
道路交通法での自転車の制動力の基準
道路交通法施行規則第9条の3では自転車のブレーキの制動力の規程では下記のように定められています。
時速10キロメートルでの制動距離3メートル以内(乾燥した平坦な舗装路面)
この基準が守れないブレーキの場合、整備不良として処罰の対象となります。
つまり、この規定の範囲で停止することが出来れば、パーツの互換性や組み合わせはどうであれ、法律的には問題の無い制動力があるという判断が出来るものと思われます。
カンチブレーキやキャリパーブレーキ用のブレーキレバーでVブレーキが動作するかの制動テスト
ブレーキテストするための準備物
ブレーキテストを実行する前にサイクルコンピューターとメジャーを準備しました。
僕が普段使用しているサイクルコンピューターはGPSを使用したステルス10ですがGPSを使用したサイクルコンピューターの特徴として低速になると速度計測があやしくなるので、低速でも安定しているストラーダ・ワイヤレス(STRADA WIRELESS)を使用しました。
キャットアイ(CAT EYE) サイクルコンピューター STRADA SLIM ブラック CC-RD310W スピードメーター 自転車
10km/hという速さ
日頃クロスバイクに乗る際に10km/hという低速度では滅多に走ることがありません。というのも楽に走っても20km/h程度はすぐに出てしまうからです。
実際に10km/hで走ってみるとかなりゆっくりとしたスピードです。
停車した状態から走行を開始してフラツキがなくなるあたりの速度がだいたい10km/hくらいです。
車道を走る場合には10km/hという速さで走ることはまずありませんが、人がそこそこ歩いている自転車歩行車道を走る場合は10km/hくらいになるかもしれません。
10km/hで走行してブレーキテストした結果
夜中の写真だったので手ブレしてしまっているのはご容赦ください。
写真の手前に引いた赤いラインがブレーキを掛けるタイミングの目安としたアスファルトのヒビ割れのある部分です。そして自転車の位置は実際に停止した位置です。
後輪を見ると、丁度ブレーキを掛けたあたりを踏んでいるのでブレーキを掛けてから自転車一台分くらい移動したことになります。
ラインから前輪までの距離をメジャーで計測してみると約120cmでした。
というわけで道路交通法の基準である3メートル以内というのは余裕でクリアできました。
キャリパーブレーキ用のブレーキレバー(エアロブレーキレバー)でクロスバイクのVブレーキの制動テストのまとめ
実のところ実験前は道路交通法で定められている基準をを守れていないんじゃないかと不安でした。というのもフラットバーの時に使用していたVブレーキ用のブレーキレバーの時と比べると明らかに制動が弱くなったと感じていたからでした。
しかしながらテストしてみた結果は余裕の1メートル前半。恐らくですがフラットバーのVブレーキ用のブレーキレバーであれば50cm程度でも止まれるんじゃないかと思います。このあたりがキャリパーブレーキは緩やかな制動なのに対して、Vブレーキはガツンという制動の差にも関係するかと思います。
逆に道路交通法で定められた基準を守れない3メートル以内で止まれないようなブレーキはかなりユルユルなブレーキで恐くて乗れないレベルかもしれません。
今回のテストで基準に達していなければ新しい対策を考えてしっかりブレーキが利くように改良しようと考えていましたが基準内に収まっていたので一安心です。
しかしながら、ブレーキの制動は速度だけではなく荷物や乗る人の重さよって結果も変わるものと思われるので、ブレーキの制動は最低でも基準値の半分くらいの1.5m程度の制動力があるのが望ましいと思います。もちろん常日頃から安全の確保出来る程度の速度を意識しながら走るということも大切です。
プロファイルデザインのエアロブレーキ3/One ALはミニVブレーキと互換性あり
僕が使用しているプロファイルデザインのエアロブレーキ3/Oneがミニブレーキと互換性があるのか気になったのでメーカーに直接確認してみました。
メーカーからの回答は
「キャリパーブレーキ用に設計はしてあるけれど、ブレーキケーブルアジャスターを使用すれば互換性はあります」との回答を得られました。
Vブレーキ用のブレーキレバーではブレーキレバーとブレーキワイヤーの接合部にアジャスターが備わっていてブレーキワイヤーの張り具合を微調整させられます。またキャリパーブレーキなどの場合はブレーキ側にアジャスターが備わっているためエアロブレーキレバーにはアジャスターが有りません。
そのためVブレーキとキャリパーブレーキ用のブレーキレバーの組み合わせではアジャスターが存在しないことになり、ブレーキワイヤーの張り具合を微調整できないため互換性を持たせられないという問題が出てきます。そこで別売のアジャスターを使用して互換性を持たせるということが必要になるというわけです。
アジャスターはいろいろなメーカーから出ていますが、シマノのSM-CB90などは回転してワイヤーを微調整できるだけなくワイヤーを解放する機構も備わっているので、Vブレーキを開放する際に便利でおすすめです。僕自身もこのアジャスターを使用しています。
つまり、僕の制動テストの結果でも示されている通りで問題無く使用出来るってことです。
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