自転車の事故でも高額な賠償命令が出されるなどで、自転車でも保険に加入しておいた方が良いという流れになり、多くの自治体でも自転車保険の加入を義務化するなどの動きになっています。
そんな中で、多くの保険会社からも自転車に特化した保険が販売されるようになっています。
自転車保険は、基本的にはいずれも似たような補償内容になってはいるのですが、タイプが分かれていたり、補償のバランス(損害賠償請求、入院日額など)の振り分けが異なっていたりして、どんどん複雑化しています。
結果として「一体どの自転車保険に加入すれば良いのかわからない」というような状況になっているので、自転車保険を選ぶポイントについて解説してみます。
自転車保険の種類と補償内容と選び方のポイント
自転車保険と一口に言っても、補償内容によっていくつかの種類があります。
相手に怪我をさせてしまったり、誰かの自動車などを傷つけてしまったり、あるいは自転車事故で怪我をしてしまい、入院するなどした場合の補償がされる「自転車損害賠償責任保険」や、自転車の盗難などに備えた「盗難保険」、自転車の故障などに備えた「車両保険」など分かれます。
また、自転車損害賠償責任保険でも、掛け金や補償内容には違いがあり、その内容を吟味して自身に適した保険を選択する必要があります。
自転車損害賠償責任保険
自転車による事故を起こして加害者になってしまった場合、被害者に対して補償できる保険(個人賠償責任補償)があります。
自治体になどによって加入の義務化が進められているのは、この自転車損害賠償責任保険です。
例えば、自転車に乗っている際に、歩行者に接触して転倒させてしまい相手が骨折したり、自転車のハンドルが自動車に接触して傷つけてしまったりした場合の賠償に対して補償できるようになります。
補償内容のメインの部分は、被害者への損害賠償に対する補償になりますが、多くの自転車保険には自身が自転車に乗っていて怪我をした場合などの傷害保険や医療保険も加味されたような保険になっています。
自転車保険の掛け金の相場
自転車保険も通常の保険と同様に複雑化しており、補償の内容を手厚くすればするほど掛け金も高くなっていきます。
多くの保険で「入り口」的に月額200円程度の安い自転車保険(ライトプラン)も用意されていたりしますが、補償内容的には多くの人が必要とするような内容を外していたりするので、結局は一通りの補償が網羅された保険(スタンダードプラン)か、さらに補償を手厚くした保険(安心プラン)を選択することになります。
この場合、補償内容の違いによって掛け金の違いはありますが、個人向けのプランの場合、ライトプランであれば、年額3,000円〜4,000円、標準的な保険で、年額5,000円〜7,000円、最も補償の手厚いプランで年額12,000円程度が相場となります。
● 個人ライトプラン 年額3,000円〜4,000円
● 個人スタンダードプラン 年額5,000円〜7,000円
● 個人安心プラン 年額12,000円程度
補償内容の比率の違いで必要な保険を検討する
同じような掛け金であっても、補償内容はそれぞれの保険で異なっている場合があり、内容を吟味して自身に必要な補償内容の保険を検討する必要があります。
例えば、個人賠償責任補償の金額が高く、傷害保険の金額(入院日額)が少なかったり、逆に個人賠償責任補償が少なく、傷害保険の金額が高かったりの違いがあります。
要するに、個人賠償のために備えるのか、怪我をした場合に備えるのかで選択する保険が異なってくるというわけです。
自動車保険や火災保険などの特約として、個人賠償責任保険に加入していたりすれば、個人賠償責任補償をあまり考えなくても良いでしょうし、傷害保険に加入しているのであれば、個人賠償責任補償の方を重要視した保険を選ぶという感じです。
個人賠償責任補償の金額については、近年の判決では高額な賠償命令が出るようになっているので2億円以上の補償がされるものを選択しておけば、最悪の場合でも心配がないと思います。
補償対象が個人か家族か
多くの自転車保険のバリエーションとして、補償内容の違いの他に、保証の対象となるのが、個人なのか家族なのかという違いがあります。
子供から大人まで乗れる自転車ならではの違いで、一人暮らしの人であれば個人プランで良いでしょうし、家族が居る人であれば家族プランの方がおすすめになります。
例えば、小学生などが自転車に乗っていれば、不注意で自動車にぶつけてしまうということもあると思いまし、事故に備えるなら、家族プランにしておいた方が安心です。
また、家族プランにすると、かなり割引が効くので個々で加入するよりもお得になります。
このあたりは、既に個人賠償責任保険に加入している場合でも関わってくるところで、対象が個人だけだとすると、家族プランの自転車保険に加入しておくという選択肢が出てきます。
自転車のみの補償か、損害賠償全般の補償かの違いに注意
自転車保険の中には、自転車乗車中の事故しか補償しないものと、自転車を含めて全般的な個人賠償責任について補償するものとがあります。
自転車保険という意味では、自転車に乗車中の事故さえ補償できれば良いという考え方もできますし、保険料も安くなりますが、実際問題で保険料はそれほど大きく変わりません(年額で最大でも数千円程度)。
なので、保険選びの際には自転車乗車中のみ補償されるような保険は切り捨てて考えても良いと思います。
示談交渉サービスの有無
保険選びの大きなポイントとして示談交渉サービスの有無は大切です。
示談交渉サービスが無ければ、契約者が被害者と直接示談交渉をする必要があり、保険金が支払われるまでに不慣れな手続きや作業が必要になります。
ただ、現状で、ほとんどの自転車保険には示談交渉サービスが付帯していると思うので、あまり気にする必要はないと思いますが、補償内容の確認事項として留意しておく必要はあります。
ロードサービスの有無
多くの自転車保険の補償内容を見ると、自動車保険や火災保険に特約としてある個人賠償責任保険の補償内容と重複するため、後から自転車保健に加入する必要の無い人も意外と多いというのが実際のところです。
このあたりで、保険会社としても自転車保健ならではの保証サービスを付加している場合が多くなっており、その代表的なサービスがロードサービスになります。
ロードサービスは、遠くに出かけた際に、パンクやチェーン切れなどにより、自走できなくなった場合に、自転車をピックアップして自宅まで届けてくれるサービスで、ロードバイクなど長距離を走る自転車に乗っている人にとっては大変助かるサービスになっています。
そのため、個人賠償責任補償に加入していたとしても、ロードサービス目的で自転車保険に新たに加入する人も多くいます。
自転車の盗難保険と車両保健について
自動車やオートバイの場合は盗難保険も多くありますが、自転車の場合はそれほど多くの保険が無いというのが実情です。
自転車はよく盗難に遭うものではありますが、車体価格が高くないこともあり、需要が少ないというのもその理由かと思います。
なので、一般的には、購入から一年以内に盗難された場合などに対して、メーカーが購入金額の数割を負担して新しい自転車を購入できるようなメーカー手動の盗難保険があるくらいです。
しかしロードバイクなどに代表されるスポーツバイクの場合は50万円以上する自転車も珍しくなく、可能であれば盗難保険にも加入しておきたいところです。
同様に自転車でも事故に遭ってしまうと、車両が破損してしまい乗れなくなるなどの問題もあります。破損した車体に対して補償が受けられる車両保険に関しても、自動車やオートバイの場合は充実していますが、自転車の場合はには、選択肢が無いので、限られた保険の中から適当な保険に加入することになります。
自転車の盗難保健や車両保険については下記の記事で詳しく解説と紹介をしていますので参考にしてください。