自転車によく似た電動バイクが問題になっているらしい。
ここで言う電動バイクとは、いわゆる「ペダル付き原付き自転車(モペッド)」のことで、確かに、最近街を歩いていると、電動バイクに乗った人を見かけることが多いように思います。
電動バイク自体はルールさえ守れば問題はないのでしょうが、電動バイクに乗っている人のほとんどが、電動バイクを自転車と同じように乗っていて、ヘルメットを着用していなかったり、歩道を走行するなど、法律的も問題と思われるような乗り方をしていて「どうして取り締まらないんだろう」と思うことが度々あります。
そんな気になるモペッドについて、一体どうなっているかについて調べてみました。
ペダル付き原付き自転車(モペット)
ペダル付き原付き自転車(モペット)とは
ペダル付き原付き自転車は、その名前の通りで、自転車のようなペダルを備えた原動機付き自転車で、モーターとペダルを兼ね備えていることからモペットと呼ばれている乗り物です。
モペッドは、自転車と同じようにペダルを踏むことで前に進むことができるようになっていて、電動アシスト自転車のような補助機能が備わっています。
この機能自体には問題はないのですが、問題はペダルを踏まなくて原動機だけで走行できるバイクと同じような機能も備わっているという点で、速度も30km/h以上出るようなものがほとんどです。
モペッドについての詳しい歴史については、もっと詳しく書く必要がありますが、本題とはズレてしまうため、個々では割愛します。はwikipediaに詳しく書かれているのでそちらを参考にしてもらえれば良いと思います。
電動アシスト自転車とは全く違う乗り物
電動アシスト自転車は、ペダルを踏まなければアシスト機能が働くこともないので、走行することができません。
また、アシスト機能も速度とともに弱まるように設計されていて24km/h以上になれば、アシスト機能が切れるような仕様になっていて、原付きバイクなどと明確に区別されています。
なので、ペダルを踏まなくても前に進む点や、アシスト機能が24km/h以上になっても来れないなどの点で、見た目は似ているものの、電動アシスト自転車とは全く違う乗り物であることが分かります。
モペットは原付バイクだが積極的な取り締まりがされていない現状
モペットは自転車ではなく、扱い的には「原付バイク」になっているのですが、法律の整備が追いついていない(抜け穴がある)こともあり、取り締まりが難しいという問題があるようです。
モペット自体はかなり昔から日本にもあるのですが、電動化が進み、従来品よりもシンプルな構造で見た目が電動アシスト自転車との区別が難しくなったことや、安価で手軽に入手できるようになったことが、問題化に拍車が掛かっている一因になっているかと思います。
原付きバイクに乗るための条件
原付バイクの場合、自転車とは違って、従わなければいけないルールが多くなります。
● 原付バイクの免許
● 免許の携帯
● 自賠責保険への加入
● サイドミラー、方向指示器の装備
● ナンバープレート
● 前照灯
● 後尾灯
● ウインカー
● 速度計
● ヘルメットの着用
● 車道走行
ぱっと書き出すだけでも下記のようなルールが定められているわけですが、近頃街で見かけるモペッドに乗っている人は、ヘルメットを着用していなかったりしていて、明らかに道路交通法違反なわけですが、なかなか取り締まりが出来ないという現状があるようです。
見た目が電動アシスト自転車と似ている
モペットは電動化されて見た目が電動アシスト自転車と近くなり、パッと見では区別が難しくなっている店で、警察等が居た場合に、シレーっと自転車を漕いでいるフリをすれば気づかれずに素通りできてしまうのではと思います。
実際問題で、走っている様を見ると違和感がありますが、自転車に乗っているぞという演技をされると判別は難しいでしょうね。
見た目で自転車モードなのか原付きモードなのかが区別できない
さらには、自転車モードなのか、原付きモードなのかの区別ができないという問題があります。
仮に警察が呼び止めたとしても「自転車モードで走っていたけどなにか?」と言われてしまえば、それ以上は踏み込むことができず「ぐぬぬ。原付きモードでは走っては駄目ですよ」と注意をするくらいが関の山になってしまうというわけです。
現状でモペッドに乗っている人たちも、そのあたりを理解した上で乗っていて、仮に取り締まられたとしても「自転車を装えばヘーキ、ヘーキ」、「最悪の場合でも免許が必要だとは知らなかった」というような感じで言い逃れできるというような感じが見受けられます。
違反や事故の場合は
たとえ自転車であったとしても信号無視などの場合は当然のように取り締まられるべきですが、残念ながら現状の警察の取り締まり具合では、よくて注意で、多くの場合はスルーしてしまうものと思います。
しかしながら、モペットによる事故なども増えていることから警視庁などでも注意を喚起しています。
参考 「ペダル付電動自転車」の走行(使用)に注意してください!|警視庁
そして注目したいのが、下記のモペットに関する事故のニュースです。
自転車そっくりの原付きで人身事故 ウーバー配達員を書類送検へ
「モペット」などと呼ばれるペダル付きの原付きバイクに無免許で乗り、歩行者に重傷を負わせたなどとして、兵庫県警は20日、フードデリバリー「ウーバーイーツ」配達員の男(25)=神戸市東灘区=を自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)や自動車損害賠償保障法違反(無保険)などの疑いで書類送検した。
<中略>
上り坂を時速約20キロで進む様子が防犯カメラに映っていたという。男は「インターネットで買った。免許が必要だとは知らなかった」と話しているという。
2021/8/20(金) 11:07 朝日新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/65a9fb8d9b40d9140f2edbf7b96dff00ddf17f25
上記の記事からわかることは、防犯カメラの映像を調べたことにより、おそらくペダルを踏むこと無く坂道を登っていた姿が映っていたことから、自転車としてではなく原付バイクとして乗っていたことの証明になったのではないかなと思います。
海外の電動アシスト自転車の多くはモペット
日本で電動自転車と言えば、ママチャリに代表される電動アシスト自転車のことを指しますが、海外の場合の電動自転車の多くはモペットのことを指すものと思われます。
なので、海外メーカーの電動アシスト自転車を調べると、その殆どが最高速度が30km/h以上でモーターで走行できる電動バイクのような感じです。
高速で走れるようになってからは、欧米では免許が必要になっているようですが、お隣の中国をはじめとしたアジア圏では免許が無くても乗れる国も多く、日本にモペットを持ち込み、自国と同じ感覚で自転車と同じように乗ってしまう外国人が多いようです。
そして、上記のように、日本の道路交通法の穴があることから、野放しに近いような状況になって、徐々に社会問題化しているというわけです。
ちなみに中国などでは随分前から庶民の足レベルでモペットの利用者が多く、自転車シェアリングサービスが普及する以前は、街を走行する自転車のほとんどがモペットという状況がありました。
新しいモビリティとしての動き
海外メーカーのモペットを輸入したりして傍若無人に乗り回している不届き者がいる一方で、日本のメーカーでもモペットを開発する会社があり、こちらはきちんと筋を通して新しいモビリティとして、法律的な問題をクリアしようという動きがあります。
その代表とも言えるのが、和歌山発の「モビチェン」で、警察庁などと連携しながら開発や実証実験が行うなどして開発してきた「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」を取り付けることで電動バイクと自転車の切り替えを認めるという通達が警察庁より公表されました。
自転車なのか原付バイクなのかが判る仕様
Photo via:https://glafit.com/news/pr20210702/
「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」は、自転車として走行している際にはナンバープレートが隠れるような仕組みを持たせたもので、従来までのモペットで問題になっていた「自転車として走行しているのか、原付バイクとして走行しているのかが判らない」という問題を解決するためのアイテムです。
参考 日本初!自転車と電動バイクの切り替えが認められる サンドボックス制度を活用し、glafitバイクが名実共に「自転車×電動バイク」のハイブリッドバイクに
今後はモペットの取り締まりが強化されることを期待したい
街でよく見かけるモペットでナンバーをしっかりと取付けているようなものに見たことは一度もなく、ほとんど全てがナンバー無しで、表向きは自転車のフリをして使用しているように思えます。
このような状況に対して、警視庁なども注意喚起として、モペットは道路交通法上「原動機付自転車」であること、要するに、ナンバープレートや、免許証などが必要になることを喚起していますし、注意喚起の文言の最後には下記のような一文が記載されています。
電動モーターを作動させず、ペダルを用い、かつ、人の力だけで走行させる場合も「ペダル付電動自転車」の本来の使い方に当たることから、道路交通法上、原動機付自転車の「運転」に該当します。
参考 「ペダル付電動自転車」の走行(使用)に注意してください!|警視庁
要するに、言い逃れができないように対策をしているように思われます。
ただ、実際問題として、事故や明確な違反がない限りは積極的に取り締まっているような感じがなく、残念ながら野放し状態とも言えるような状況です。
今後はどんどん取り締まりを強化してほしいなと思うのですけど、現行の自転車の取り締まりなどと同じくあまり期待はできそうにありませんね。