ロードバイクやクロスバイクでは定期的なメンテナンスが必要で、メンテナンスには工具が必要です。
自転車の必須工具と言えば、ヘキサゴンレンチ(六角レンチ)ですが、2020年あたりから星の形をしたトルクスねじを一部で採用した自転車も増えてきていることから、トルクスレンチも自転車の必須工具の一つになりつつあります。
今回はそのヘックスレンチの中でも高品質なEIGHTのトルクスレンチTXB-S8MCについてレビューしてみます。
トルクスネジ
トルクスネジとは
トルクスとは、アメリカのテキストロン・カムカー社が開発したネジの規格です。
一般的のようなネジがメスになったT型と、出っ張ったE型があり、いずれも、ネジと工具の接合部分が星型になっているのが特徴です。
一般的な+や-、六角ネジと比較するとトルクの伝達効率が高い、摩耗や割れが少なく、ナメづらいなどで耐久性が高いなどの特徴があり、自動車部品などで使用されることが多い規格でもあります。
またT型のトルクスネジには、中央部に突起を持たせて、通常のトルクスレンチでは回せない特殊な「いじり止めトルクスねじ」があり、ユーザーに分解されると困るようなコンピューター製品などで多く使われています。
ちなみににトルクスはアメリカのAGT社の商標で、一般的にはヘックスローブなどと言われたりします。
日本ではあまり見かけることのなかったネジなので、感覚的に新しい規格のネジのようにも思えてしまいますが、19637年から使用されているネジでもあります。
自転車にもトルクスネジが使用されるようになってきた
自転車で使用されるネジのほとんどは六角レンチで回せる六角ネジですが、自転車でも一部のネジでトルクスネジが使用されるようになってきています。
ディスクブレーキのローター部分、クランクのチェーンリングなどで使用されていることが多いです。最近ではステムなどのパーツでも見かけることが多いのでそのうちトルクスネジに置き換わってしまうかもしれませんね。
トルクスネジのサイズ
自転車でよく見かけるサイズはT25もしくはT30(シマノのチェーンリング)あたりが主流で、そのサイズ以外で見かけることはほとんどありません。
逆に言えば、T25とT30だけあれば自転車のメンテナンスでは用事が足りてしまうので、セットなどで購入する必要はないかもしれません。
しかし、工具にこだわりを持っている僕としては、できるだけ良い工具を購入したいと思い、まずは定番のPB SWISS TOOLSを物色。ヘックスローブレンチセットのPB 410 H RBがありますが、残念ながら最も太いレンチでT25となるため、自転車で使われるT30が無いことでPB SWISS TOOLSの購入を見送りました。
T30まで備えたトルクスレンチはないかを調べた結果、興味を持ったのはEIGHTという工具メーカーのトルクスレンチTXB-S8MCでした。
EIGHTの最高級トルクスレンチTXB-S8MC
工具メーカー EIGHT
EIGHT(エイト)は、大阪に本社を置く日本のメーカーで、主に六角レンチを製造しています。
創業は1958年3月で半世紀以上の歴史があり、AGT社とライセンス契約を結んでいるので、商標である「トルクス」を名称とトルクスレンチの使用が認められています。
MECHANIC COLLECTION
EIGHTがMECHANIC COLLECTIONと銘打ち、高品質なシリーズとして展開しているもので、2021年9月現在で、六角レンチセット(TLC-S7MC)と、このヘックスレンチセット( TXB-S8MC)があります。
MECHANIC COLLECTIONはJISやISO規格よりも厳しい基準で製造された工具で、EIGHTの工具の中でも最高品質を誇る工具で、お値段もちょっとお高いシリーズです。
エイト MECHANIC COLLECTION テーパーヘッド ヘキサレンチ EXロング TLC-S7MC
サイズ(六角):6mm、5mm、4mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm
価格:7,370円(税込)
エイト MECHANIC COLLECTION ボールポイント トルクスレンチ TXB-S8MC
トルクスレンチが8本セットになったもので、今回はこのトルクスレンチセットのレビューになります。
サイズ(トルクス):T8、T10、T15、T20、T25、T27、T30、T40
価格:9,471円(税込)
ちなみにこのヘックスレンチセットとトルクスレンチセットは、自転車メーカー・輸入代理店であるライトウェイプロダクツジャパンの取り扱い製品です。
高品質でサイズの多いトルクスレンチセット
個人的にはPB SWISS TOOLSが好きな工具メーカーなので六角レンチなどは全てPB SWISS TOOLS社のものを使用しています。
なのでトルクスレンチもPB SWISS TOOLS社の製品を購入しようと思ったのですが、残念ながらトルクスレンチセットにT30が含まれていなかったため、自転車整備用途で使用するには不便を感じてしまうということから、別のトルクスレンチを探した結果、Eightのトルクスレンチにたどり着きました。
実際問題でそれまで個人的にはあまり聞いたことのないメーカーではありましたが、日本のメーカーの作る日本製の工具というところで品質が担保されていると思われることや、トルクスレンチのセットのサイズもT8~T40まで幅広く揃っている工具はなかなか無いというところで、購入するに至った感じです。
EIGHT トルクスレンチセット詳細
外観と大きさ
EIGHT トルクスレンチセットの大きさは、自転車整備で扱いやすい手のひらに収まる大きさです。
ケースは専用ケースでプラスチック製でEIGHTの別グレードのトルクスレンチでも使用されています。
専用のプラスチックケースは使い勝手が悪い
個人的には、プラスチックケースはフタ部分を開閉を繰り返すと割れて取れてしまう(そもそも開閉が煩わしい)のと、レンチが完全にフリーで固定されていない状態なので、逆さになると全てのレンチが抜け落ちてしまいます。
けして使い勝手が良いものではないので、別売りでも良いのでもっと使い勝手の良い専用ケースを販売して欲しい。
レンチのサイズ
レンチのサイズはT8、T10、T15、T20、T25、T27、T30、T40の8種類。
ちなみに、自転車で頻出するT25とT30です。
レンチ
レンチにはそれぞれ持ちて部分に滑り止めとしてローレット加工がされていて、見た目からも「あぁ、これは良いものだなぁ」と、品質の良さが伺えます。
佇まいもなかなか良い感じで、所有億を満たしてくれます。
本体の柄の部分にはサイズなどが刻印されているのですが、一番太いT40のレン地でも残念ながらかなり見えづらい(特に老眼だと厳しい)ので、あまり実用的ではありません。
贅沢を言うのであれば、多少のコストアップがあったとしても、サイズごとに色分けされて、レーザー刻印がされていれば、使い勝手がかなり違っただろうなと思います。
先端部分
先端部分も美しい形状です。
長い方の持ちての先はボールポイント形状になっています。
工具は高級品が絶対におすすめです
現状でトルクスレンチのセットを探すといろいろなメーカーの製品を見つけることができます。
その中でEIGHTのトルクスレンチは値段が高く、ちょっと躊躇してしまう価格ではあるのですが、工具の類は精度と価格の関係は殆どの場合で比例しているので、工具を購入する際には、その工具メーカーの中で一番ランクの高いものを選んだ方が良いと思います。
工具は精度や耐久性が非常に重要ですし、実際、高級でも定評のあるメーカーの工具は、精度が高いだけでなく、非常に使いやすく、所有欲も満たしてくれるものが多いので、それなりの価格がするものを選択した方が結果的に安く付くことになることが多いと思います。