中国の四大都市の1つである深センに行って来ました。
深センは世界でも最も急速に発展して来た都市としても有名で、元々は小さな村だったのが、わずか20年程度で人口1400万人を越える東京以上の大都会に成長しています。
そんな大都会、中国の深センの交通事情は日本とはかなり違っていて、いろいろと興味深いことも多かったので、日本との違いや現地の様子などをレポートしてみたいと思います。
中国深センの基本情報
中国には6約7年振り6度目くらいの訪問でした。
それまでの訪中は全て上海で、深センには初めてでした。
深センは香港の北側にある都市です。中国全土で見れば南部に位置する都市で香港のベッドタウン的に発展して来た街とも言えると思います。
元々は小さな農村だったため、よくある中国の都市のように古い仏閣などの観光資源のようなものはなく、基本的にはビジネス街となっているため、日本人が深センに行く場合には観光ではなくビジネス目的がほとんどのようです。
深センへの行き方ですが、深センへの直行便はあるものの、成田発で一日一便しかない(2017年現在)という事情があり、一般的に日本から深センに行く場合には、羽田発の便も多い香港経由で深センに行くのが普通です。香港からから1時間程度で深センに入ることができます。
深センは上海と同様に大都会ではありますが、高層ビル群が建ち並ぶその脇に古い街並や住宅が存在する上海とは違い、どちらかと言えば全てがこの数十年で建てられたと思われるような新しい街という印象で、急速な成長によって出来た都市なのだと感じました。
とにもかくにも高層ビルも人も自動車も何もかも多く、香港のベッドタウン的なイメージで訪れた人にとってはその大都会っぷりに驚くのは間違いありません。
僕は東京で20年以上暮らしているので「ちょっとやそっとの都会っぷりでは驚かない」と思っていましたが、田舎者に戻ってしまうほどの深センの大都会っぷりに圧倒されてしまいました。
ちなみに上記写真に写っている高くて白いビルは写真ではあまり高さを感じませんが平安国際金融中心と呼ばれるビルで、高さ600mもある世界屈指の高層ビルだったりします。東京スカイツリーが634mなのでほぼ同じ高さと思うと如何に高いかがイメージ出来るかと思います。
こんな調子で都庁レベル(243m)の高さのビルがゴロゴロしているのが深圳の景色だったりするのです。
中国深センの交通事情
僕は一週間程度海外に行くような時には海外でも車の運転が出来るように国際運転免許証を申請してから渡航するようにしてはいますが、中国に行く場合には申請はしません。
というのも、中国はタクシーの料金が非常に安いというほかに、根本的な問題として中国の自動車の運転は非常に荒く、恐らく普通の日本人のドライバーだと安全に運転するのはまず不可能だと思えるからです。それほどまでに中国の道路交通事情はカオスを極めています。
例えば、信号機はありますが、歩行者や自転車の場合「危なく無ければ赤でも渡る」というのが基本的な考えのようですし、あらゆる方向から人や自転車、バイクなどがやってくるため、一体どんなルールに従っているのかすらも理解できません。
それに加えて自動車も自転車も歩行者もバイクもやたらと多いので、こんなカオスな中を無事故で走れる自信は全くありません。
5日ほど滞在すればなんとなく馴染んできますが、馴染むまでの間は歩道を歩くのさえおぼつかないようなカオスさがあります。
上記の動画を見ていただけるとあらゆる方向からいろいろな乗り物が行き来するのがお分かり頂けるかと思います。
そして中国の人はひたすらクラクションやベルを鳴らします。危ないから鳴らすのではなく存在を教える為にひたすら馴らし続けて走るというような状態です。
中国深センの自転車事情
多くの人がシェアサイクルを利用している
2017年現在で中国の都市部では自転車シェアリングと呼ばれる自転車をシェアして乗るサービスが生活の中の必需品レベルと思えるほどに普及していて、深圳でも同様に街の至る所に大量のシェアサイクルが置かれていました。
動画の中の黄色やオレンジ色の自転車などは全てシェアサイクルです。自転車に乗っている人のほとんどがシェアサイクルを利用しているかがお分かりいただけるかと思います。
実際問題でものすごい数のシェアサイクルが街なを埋め尽くすほど溢れているのです。
中国では歩きスマフォする人が少ない?
少し話は逸れますが、動画で注目していただきたいのは歩きスマフォをしている人の数がかなり少ないという点。
もちろん歩きスマフォをしている人は居るには居ますが日本と比べると随分と少ない印象です。
これはスマートフォンが普及していないからというわけではありません。むしろ中国は国家政策レベルでスマートフォンと連携したサービスを推し進めているような節があり、買い物はもちろんあらゆるサービスの料金もスマートフォンで済ませてしまうくらいキャッシュレスな世の中になっているので、誰もがスマートフォンを持っているはずなのです。
しかし歩きスマフォをしている人が少ないです。
恐らくですが、中国の交通情況から考えると歩きスマフォをしていると「死ぬ」からだと思います。
自転車の走り方
深センの交通情況がかなりカオスだったので「深センにはきちんとしたルールが存在するのかどうかも判らなかった」というのが正直なところですが、一応、深センの人達の自転車の乗り方を観察してみた結果、下記のような通行をしていることが判りました。
歩道の走行
自転車は歩道も走行して良いようです。自転車だけでなく、ペダル付きの電動自転車も歩道を走行して良いようでした。もちろん双方向通行です。
日本との大きな違いは、歩道がかなり広く取られている点、また建物前の駐車スペースも相当広いので、人や自転車が多くてもそれほど通行の妨げになるわけではありませんでした。自転車は右側、歩行者は左側などというルールは無いようでその時の情況に従うようではありますが、多くの歩行者は自転車を気にしなくて良い駐車スペースを歩くなどしていました。
上にも書きましたが自転車は歩道を通行する際にも常にチリンチリンとベルを鳴らして自分の存在を知らせながら走るのが一種のマナーでもあるようです。
車道の走行
中国でも自転車は車道を通行しても良いようです。
中国の車道は日本とは逆で右側通行になり、基本的には車と同じ方向で通行する必要があるものと思われます。
危険度レベルで言えば日本よりも遥かに危険と思われるので、車道を通行している自転車自体が少ないのですが、そこは中国で、そんな危険な中を逆走する自転車も少なくありません。
自転車の交通マナー
自転車の交通マナーと言う点では日本でも度々問題に挙がりますが、中国の自転車の交通マナーもなかなか凄いものがありました。
信号を守らない、二人乗り、三人乗りなどは当たり前に見られる行為でしたが、最も驚いたのは車道を逆走する自転車でした。
車道を逆走する自転車なら日本でもよく見かけるマナー違反ではありますが普通の逆走ではありません。車道のセンターラインを逆走してくる自転車が居るのです。これには流石に目を疑ってしまいましたが、わりと普通に見かけるレベルで居ることに更に驚かされました。
上記の写真は車道のセンターを逆走してきて交差点で停車しているお姉さんです。
ちなみに、自転車のマナーと言えば灯火の問題もありますが、驚くことにシェアサイクルにはライトが付いていないため、必然的に夜間は無灯火走行となり、灯火して走行している人はかなり少数になります。
中国深圳のスポーツバイク
中国深センのスポーツバイク
僕が滞在していたのは深セン市の南山区という場所でしたが、6日間の滞在中でロードバイクを見かけたことは一度もありませんでした。
クロスバイクやマウンテンバイクは少しですが見かけることはありましたが、前述したようにシェアサイクルが圧倒的な数で街を占拠していることもあり、クロスバイクやマウンテンバイクに乗っている人事自体がそれほど多くはなく、見かけたとしても日本で見かけるようなロードバイクやクロスバイクとは少し違っていたように思います。
しかしながら全く見かけなかったかと言えばそうではなく、市街地から少し離れた海辺の公園などではサイクリングコースがあり、そこでサイクリングを楽しむ多くの人の中に、少ないながらもロードバイクを確認することができました。
スポーツバイクのメーカーは?
市街地で見かけたクロスバイクなどのメーカーは恐らく中国大陸内部の自転車メーカーだと思いますがどれも日本では見た事の無いメーカーばかりでした。
数少ないながらも見かけたロードバイクのメーカーはいずれもGIANTでした。
中国は海外製品に高い税金を掛けることで有名ですが、恐らく自転車メーカーのフレームなども高い税金が掛けられていて、日本で買うよりも高くなっているものと思われ、中国大陸自体で海外メーカーのロードバイクがあまり普及していないのではと思われます。
また、深圳で見かけたロードバイクに乗っている人のほとんどは、サイクルウェアを着用し、ヘルメットも着用していて日本と同じスタイルなのですが、1つだけ違う点がありました。
ロードバイクに乗っている人の殆どがラジオか何かから音楽を大音量で流しながら走っているのでした。もしかしたら深圳あたりで流行っているサイクリングのスタイルなのかもしれません。
中華カーボンホイールやフレームのメッカは深セン
ミドルクラスのホイールとして人気の中華カーボンメーカーの大手のいくつかは深センに拠点があります。
たとえばICAN(アイカン)やIMUST(アイマシト)、Degfu、Hongfuなどの有名メーカーは全て深センを拠点としています。
いずれも同じような場所に会社がありますが、中心部からは少し離れた場所になるため、残念ながら今回の訪問では立ち寄ることができませんでした。
ICAN(アイカン)についての情報は下記の記事でまとめていますので参考にしてください。
中国深センの自転車事情まとめ
中国深センの自転車事情はとにもかくにも自転車シェアリングに尽きる感じです。
自転車シェアリングは非常に便利なサービスなので、旅行者でも簡単に利用出来れば良いのですが、旅行者として利用する場合、手続きや支払い方法がややこしいなどの問題があり、現地人向けのサービスと思っておいた方が良いと思います。
日本のようにサイクルショップを見かけることもスポーツバイクを多く見かけることもなく、どちらかと言えば、自転車は生活の中の移動手段の一つとして乗ることはあっても、スポーツや娯楽として乗るという人はそれほど多く無いという印象でした。
全体的に新しい街の割に、意外と自転車に対しては優しい街づくりはされていないというのも原因の一つかもしれません。
何はともあれ、自転車シェアリングをはじめとして、日本とはまた違った自転車文化のある中国深センの自転車事情はなかなか興味深いものでした。
日々目まぐるしく変化をしていく中国深センで今後どのように自転車文化も変化していくのか、今後も注目していきたいところであります。
「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing)
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