クロスバイクのESCAPE Airのホイールをミドルクラスのロード用ホイールであるFulcrum Racing3に交換してみました。
早速、週末に70kmほど乗ってきた結果、ホイールを交換することによっていろいろな違いを感じられたので、その違いをまとめてみます。
これからクロスバイクのホイールやタイヤを交換してみようかと考えている方の参考になれば幸いです。
クロスバイクのホイールをロード用ホイールに交換した結果
漕ぎ出し
クロスバイクのホイールをロード用ホイールにしたことで漕ぎ出しが軽くなったという話をよく聞きます。
僕自身もその点に大きな期待をしていたので「漕ぎ出しが劇的に変わった!」と書きたいところですが、実はあまり変化がありませんでした。
むしろ漕ぎ出しに関しては、僕の愛車であるGIANT社のクロスバイクESCAPE Airの純正ホイールであるSPIN FORCE SL Wheelset 20Hの方が軽いかったというのが実際の所です。
最初は「何かの間違いかな?」「気のせいかな?」とも考えましたが、ストップ&ゴーを繰り返していくうちにそれは次第に確信になりました。漕ぎ出しの軽さに関して言えば、SPIN FORCE SL Wheelset 20Hの方がFulcrum Racing3よりも絶対に軽いです。
正直なところ、漕ぎ出しからホイールの性能差を堪能できると思っていたので拍子抜けでした。まさかESCAPE Air純正の安物ホイールの方がミドルクラスのホイールであるFullcrum Racing3よりも漕ぎ出しが軽いとは・・・。
しかしながらこの評価はESCAPE Airのホイールが特殊だからで、一般的なクロスバイクに装備されているホイールには当てはまらない評価になりそうです。
というのもGIANT社のクロスバイクESCAPE Airは街乗りをコンセプトに軽量化したクロスバイクです。
街乗りは信号の数も多くストップ&ゴーも多いので、その負荷を減らすためにホイールもスポーク数を減らすなどして軽量化が図られていて、総合的な性能はともかくもストップ&ゴーに関してはかなり楽に感じられるホイールになっています。
つまり、クロスバイクのESCAPE Airはもともと漕ぎ出しが軽くなるように設計されたクロスバイクなので、ホイールを交換することで逆に重く感じてしまうのは仕方がないことなのだと思います。要するに目的が全く違うホイールなので、比較自体がナンセンスということでもあります。
SPIN FORCE SL Wheelset 20Hは一般販売されていないホイールですが、せっかくなので詳しい情報は下記に詳しくまとめてあります。
走り出し〜20km/h付近の違い
漕ぎ出しこそ、ESCAPE AirのホイールSPIN FORCE SL Wheelset 20Hの方が軽いと感じましたが、fulcrum Racing 3が重いかなと感じるのは最初の数メートルだけです。
純正ホイールの場合は加速する感じはほとんどなく、普通にペダルを踏んでいる範囲では速度も17km/hあたりで伸びなくなってしまっていたのですが、ロード用ホイールのfulcrum Racing 3の場合、10km/hを超えたあたりからスルスルと加速する感じで20km/hくらいまでは一瞬で到達できます。
さらに純正ホイールの時にはペダルを踏むのをやめるとエンジンブレーキが効いているかのようにすぐに減速してしまっていたのですが、ロード用ホイールのfulcrum Racing 3の場合は速度が落ちることもなくスルスルと滑るように走るのです。
俗に言う「良く回るホイール」であれば当たり前のことなのかもしれませんが、この滑るように走る感じは純正ホイールのSPIN FORCE SL Wheelset 20Hでは全く無かった感覚でした。
この違いが感じられるだけで数万円払ってでもクロスバイクの純正ホイールからロード用ホイールに交換する価値はあると感じさせてくれます。
「あ、なるほど。だからみんな高いホイールを欲しがるんだ」と、その理由に気付いてしまうのです。
20km/h〜30km/h付近の違い
GIANT社のクロスバイクのESCAPE Airの純正ホイールであるSPIN FORCE SL Wheelset 20Hの時は無理の無い状態でペダルを踏んでいる状態の速度、いわゆる巡航速度は22km/hくらいでした。
25km/h以上を維持するためにはそれなりに踏み込む必要がありましたし、ペダルを踏むのを止めた途端に一気に減速してしまう感じがありました。
それがロード用ホイールのFulcrum Racing3に換えると、すぐに20km/h以上のスピードが出るようになり、巡航速度も25km/h程度になりました。踏めば踏んだだけしっかりと前に進むというような感じでグングン走るのです。
ペダルを踏めば前に進むのは自転車だから当たり前のように聞こえるかもしれませんが、純正ホイールの時は20km/h程度の速度になると、そこから先はペダルを踏んでも踏んでも全く加速しない感じで伸びが感じられなかったのです。
しかしロード用ホイールのfulcrum racing 3の場合はペダルを踏んだら踏んだ分だけ速度が乗る感じがあるのです。
30km/h〜40km/h付近の違い
GIANT社のクロスバイクのESCAPE Airの純正ホイールの時は30km/hを超えるような速度は坂道じゃないとなかなか出せないスピードでした。もちろん必死にペダルを踏めば30km/hも出せるには出せるのですが、維持するのは到底困難な速度でした。
30km/h出たとしても、ペダルを踏むのを止めると一気に減速してしまうので、クロスバイクで出せる速度は30km/hが壁になるのかなと思ったものでした。
ところが、ロード用ホイールのfulcrum racing 3に換えた途端に30km/hくらいは余裕で出せるようになったのです。道路状況にもよりますが、30km/h〜をしばらく維持しながら走り続けるのも無理ではなくなった感じです。
40km/hくらい出せることも珍しくなく、もっと鍛えれば45km/hなどで走るロードバイクの人達にも負けないんじゃないかと思わせるような可能性を感じることができました。
ペダルを踏むのをやめてもスピードがほとんど落ちず、逆にスルスルと滑るような感覚で前へ進むので、慣れるまでは恐いとさえ思ったものでした。
ロード用ホイールに交換した前後のクロスバイクの速度の比較
● ホイール:SPIN FORCE SL Wheelset 20H → fulcrum racing 3
● 巡航速度 24km/h → 27km/h
● 道路の条件が良い場合 27km/h → 32km/h
● 少し頑張って 30km/h → 35km/h
● 全力 35km/h → 40km/h
というような感じで、あらゆる場面で3~5km/h速度が増した感じです。特に高速域での速度維持がしやすく、速度の変化以上に違いを感じることができます。
ちなみにロード用ホイールなどは円高の時に海外通販のWiggleなどで購入すると安く変えます。実際に僕もWiggleで購入しました。購入までの流れは下記のページで紹介していますので参考にして下さい。
ロード用ホイールに換えて見えたロードバイクの世界の入り口
自転車好きな人達と自転車のスペックの話をしていると頻繁に出て来るのが「剛性」という言葉。
僕はこの剛性の意味がなかなか理解出来ずにいましたが、ホイールをfulcrum racing 3にしたことで、ペダルを踏んだ力がきちん推進力に変換されているのを感じることができるようになりました。
剛性がなければ力を加えてもパーツがたわんだり歪んだりしてパワーをロスすることになりますが、しっかりとした剛性があればパワーをロスすることなく動力に変換することが出来るというわけで、その分スピードが出やすくなるということです。
ホイールをロード用ホイールにして初めて「なるほど、剛性とはこういうことか」と納得することができました。
ホイールを換えた瞬間に純正ホイールでは絶対に感じることができなかったキビキビした走りになり、まるで背後から押されているかのように自転車が勝手に走り出してくれるような推進力を感じるのです。
ロードバイクに乗る人たちがパーツやホイールのグレードにこだわり、少しでも高いスペックのパーツにしたいという気持ちがようやく理解できたのと同時に、ハイエンドのフレームとパーツで組み上げたロードバイクに乗ったとしたら、一体どんな走りができるのかという興味が否が応でも湧いてきます。
クロスバイクのホイールをロード用ホイールに交換したことで、なんとくなその先にあるロードバイクの世界が見えるようになりました。
クロスバイクのホイールをロード用ホイールに交換するカスタマイズは必須
非常に満足度が高い改造カスタマイズ
正直なところ、僕のクロスバイクは既にコンポーネントをロード用コンポーネントであるシマノ105に交換していたので、ノーマルな状態のクロスバイクと比べると、それなりにスピードアップも出来ていたので純正ホイールでも特に不満は無かったのです。
しかし、身の周りの自転車乗りの方々から「ホイールを換えると全く別の自転車になる」などの意見を毎日のように聞かされていて、沸々とわき上がるロード用ホイールが欲しいという欲望を抑えることができなくなり、ロード用ホイールの購入に踏み切りました。
実際問題でクロスバイクと同じくらいの金額を出して新しくロード用ホイールを購入するのは思い切りが必要でしたし、購入する前までは「本当に効果があるのかな・・・」「必要ないよな・・・」と直前まで随分悩みました。
しかし、いざロード用ホイールに交換して走ってみると「もっと良いホイールを買っておいても良かった。もっと早くにロード用ホイールにしておけば良かった」と思うほどで、今までの改造カスタマイズの中でもホイールの交換とタイヤの交換は圧倒的な変化と満足感を得られた改造カスタマイズでした。
走りの性能だけでなくホイールを換えれば見た目の印象も随分変わりますし「俺のクロスバイクのホイールはロード用!」などと自転車に乗っている時の気分の良さもあります。
そんなわけでクロスバイクのホイール交換は他人にもお勧めしたくなる改造カスタマイズなのです。
ホイールをロード用ホイールに交換するのは手軽な割に非常に効果の大きな改造カスタマイズなので、クロスバイクの性能を劇的に変えたい場合は特におすすめです。必要なのは高いホイールを購入する思い切りだけですね。
ちなみに僕が購入したロード用ホイールのfulcrum racing3はシマノ10速用11速用ですが9速や8速でも使用することができます。
シマノの11速用ホイールに8速/9速/10速/12速のカセットスプロケットは取り付けられるのか?|クロスバイク・ロードバイク
クロスバイクのホイールの予算は本体価格が目安
今回のロード用ホイールの改造カスタマイズ費用は総額で6万円程度でした。クロスバイクがもう一台買えてしまう値段です。
そんなわけで購入前には少し(というかかなり)迷ったりもしたわけですが、これだけ性能が変わるということを知ってしまうと「7万円出して良かったなあ」と思えてしまうから不思議です。
それどころか「Fulcrum Racing3でこれくらい違うのだから、倍の値段のFulcrum Racing zeroだとどれくらい性能が違うんだろう」などと、さらなる上のホイールに興味を持ち始めるから困ったものです。
こうして人は次々に沼にハマっていくのでしょうね。
2021年現在でクロスバイクの本体価格とほぼ価格が同じで、おすすめの定番ホイールと言えば、シマノのWH-RS500かと思います。