クロスバイクを購入したら行なう定番の改造カスタマイズと言えばホイールの交換かと思います。ホイールは簡単かつ、最も違いを実感出来るパーツなので、多くの人が最初に実践する改造カスタマイズでもあります。
僕自身もクロスバイクのESCAPE Airを購入して数ヶ月後には別のホイールに交換して「おおぅ!ホイールが違うとこんなに走りが違うのか!」と感動したのを今でも覚えています。
ちなみに僕が現在使用しているホイールはFulclum Racing 3というホイールでミドルクラスの入り口あたりのホイールです。
ESCAPE Airの純正ホイールであるSPIN FORCE SLとの比較になると、価格的に考えても、多くの面でFulclum Racing 3の方が性能が上だと思いますが、停車状態からのスタートに関しては「SPIN FORCE SLの方が軽かったな」と思えるホイールでした
ESCAPE Airのコンセプトであるストップ&ゴーを繰り返すシティライド中心で考えれば、まさに最適なホイールだったんじゃないかと、今でも考えたりします。
ESCAPE Airの純正ホイールであるSPIN FORCE SL
GIANT SPINFORCE SL Wheelset 20Hと呼ばれるのがESCAPE Airの純正ホイール。特に何の変哲もない無印とも言えるようなホイールです。
僕を含めた多くのユーザーの評価としては「華奢なホイール」で「走り出しこそ軽くて快適」なものの「30km/h付近になると全くスピードが乗らなくなってしまう」ようなホイールです。まぁ東京の都心のような場所で30km/hで走り続けることはあまりないので、20km/h程度で快適であれば何の問題もないとも言えるわけで街乗りメインで考えれば良くできたホイールです。
クロスバイクに乗っている人がホイールを交換する際に定番として選択するShimanoのWH-RS100が鉄下駄であるならば、SPIN FORCE SLはサンダルとでも例えれば良いのかもしれません。
シマノ(SHIMANO) リアホイール WH-RS100 700c 10/11段 QR:163mm EWHRS100RCB
SPIN FORCE SLの重量
ホイールの重量はホイールのスペックの指標として非常に重要な要素です。SPIN FORCE SLの重量は前輪後輪合わせて1800g程度のようで、安物ホイールにしては軽量なホイールになると思います。
一般的にはホイール重量と価格は反比例して、重量が軽くなれば価格は高くなります。なので前後合わせて1800g程度のホイールになると価格は30,000円クラス〜のものになってくると思いますが「軽量=性能が高い」というわけではないというところがミソでもあります。
重量だけ見ると「おぉ、結構良いホイールじゃん!」と喜んでしまいたくなりますが、実際はそうでもありません。しかしながら完成車で6万前後の自転車に付いているホイールと考えれば良く出来たホイールかなと思います。
SPIN FORCE SLのスポーク
ESCAPE Airの純正ホイールであるSPIN FORCE SLに使用されているスポークは20本。SPIN FORCE SL 20Hというのが、要するに「スポークが20本ですよ」ということです。ちなみにHはHoleのHだと思います。スポーク穴が20個ってことですね。
ESCAPE R3に装備されているSPIN FORCEは24本とかになるらしく、SPIN FORCE SLが20本なのは、おそらく軽量化を意識した結果だと思われます。
スポーク本数を減らすと軽量化はできるものの、衝撃等になどには弱くなるとかで、スポーク折れをし易いなんていう話も聞きますが、僕自身は初めてのスポーツサイクルということで、過剰なまでに衝撃を避けて丁寧に乗っていたこともあり折れたりはしませんでした。
バテット・スポーク
写真では分かりませんが、バテット・スポークと呼ばれるスポークが採用されています。スポークの外周部分が折れやいのですが、その部分のみを太くして強度を保ち、他の部分は細くなっているスポークです。これにより必用な強度を保ちつつも軽量化を図っているというわけですね。
わずか数グラム程度の違いでしょうが、前後で40本もあるわけですから2g変われば80gも変わるわけで、軽量化のためにはこのような細かな工夫がされているわけですね。
SPIN FORCE SLのハブ シールドベアリング
SPIN FORCE SLの前輪はシールドベアリングと呼ばれるもので、ベアリングが密封(シール)されているタイプ。
GIANTの公式サイトでは
フロントハブに高性能なカートリッジベアリングタイプを採用しました。この新しいホイールにより、ライダーはまたがって最初のひと漕ぎから軽い走りを体感できます。
とあり、シールドベアリングの方が回転性能も上がるようです。
ちなみにシールドベアリングじゃない場合はカップアンドコーンと呼ばれるタイプのベアリングになるようで、ESCAPE Airの場合、後輪がカップアンドコーンになっています。
シールドベアリングは基本的にノーメンテナンスでも大丈夫、というかメンテナンスが難しいのに対して、カップアンドコーンは分解出来てメンテナンスもし易いなどの特徴があるようです。
一般的に、シールドベアリングの方が高額なものが多いそうで、高級高性能ハブとして有名なGOKISOなんかもシールドベアリングハブになっています。
では、カップアンドコーンの方が性能が低いかと言えばそういうわけでもないようで、Shimanoなんかはあえてカップアンドコーンにこだわっていて、DURA-ACEのホイールなんかもカップアンドコーンタイプですし、一概にどちらがどうとは言えないようです。
とにもかくにもこれからホイールについていろいろと学んでみようかと思う僕にとっては、シールドベアリングとカップアンドコーンを一度に弄れるというのは嬉しいポイントです。
SPIN FORCE SLのホイールの組み方
前輪 ラジアル組み
前輪は左右ともにハブから放射線状に組んだ、いわゆるラジアル組みと呼ばれる組み方をしています。
ラジアル組はて「横方向の剛が低く」「トルクがホイールに伝わりづらい」「空気抵抗が低い」などの特徴があり、前輪で組む事が多い組み方です。確かに完組みホイールを確認してみるとほとんどの前輪はラジアル組みになっています。
後輪 ラジアル組みと4本組みイタリアン
後輪は、左側(非スプロケット側)がラジアル組で放射状に組まれているのに対し、スプロケット側は4本組みになっています。
4本組みになっています・・・って分かりづらいですね。
わかりやすく解説するために奥側のスポークを消してみました。
ハブの穴に注目して1本目と4本目のスポークがクロスする組み方を4本組みと呼びます。そんなわけでSPIN FORCE SLは、いわゆる4本組みイタリアンと呼ばれる基本中の基本的な組み方となっているようです。
ESCAPE Airの純正ホイールSPIN FORCE SLまとめ
今まで、ESCAPE Airの純正ホイールSPIN FORCE SLに対して「なんとなく柔らかいホイールだな」などとわかったような気になっていましたが、一通り調べてみると、ホイールに対して知らなかったこともいくつかあったりして「なるほど」と思う事も多かったです。
ESCAPE R3との差別化のためにESCAPE Airは軽量化する必要があり、ホイールも軽量化を意識した仕様になっているようで、軽量化のためにスポークを減らすなどした結果として剛性などが犠牲になっているホイールなのだなと改めて思うのでした。
なので見た目がほとんど同じで、数字上のスペックにも大差が無いように見えても、ホイールの組み方や種類によって性格が分けられているというメーカーの工夫が垣間見られて非常に面白い調べ物でした。
自転車ライフをより一層楽しむ為には、このあたり知識もみっちり身につけていくべきだなと思ったので、不足している情報は、自分自身の勉強も兼ねて別記事にしてまとめたいと思います。