ロードバイクやクロスバイクなどのカゴの無い自転車に乗る際には、荷物は極力少ない方が快適なサイクリングが出来ます。
なのでなるべく身軽な状態で自転車に乗りたいと考えるわけですが、通勤や通学など、日常のシーンで自転車に乗ろうとすると、荷物を持ち運ぶ必要がある場面も多いです。
かと言ってロードバイクやクロスバイクにはシティサイクルのようにカゴを取り付けたりしたくもありませんし、ハンドルに買い物袋をぶら下げるというのも、ロードバイクやクロスバイクでは危なくて現実的ではありません。
そんなわけで、ロードバイクやクロスバイクの場合、荷物はバッグに入れて持ち運ぶのが一般的です。
自転車用のバッグと言ってもいろいろなタイプがありますが、ちょっとそこまでの街乗りサイクリングの際の荷物を持ち運ぶ手段として非常に便利なバッグがメッセンジャーバッグです。
メッセンジャーバッグとは
メッセンジャーバッグとは、その名の通りで自転車で手紙や書類などを運ぶ「メッセンジャーが愛用しているバッグ」あるいは「メッセンジャーが使用するために開発改良されたバッグ」です。
メッセンジャーは書類を配達するために一日に何度もバッグの中から荷物を取り出したりする必要があります。ある意味時間との勝負をしている仕事なので、荷物の出し入れを効率よくスムーズに行えた方が、より多くのお金を稼げることに繋がるのです。
そこで荷物の出し入れがスムーズに行えるような特徴がメッセンジャーにはあるのです。
例えば、自転車に乗っている時は背中にバッグを背負い、自転車から降りて手紙を取り出すときにはクルリと背中から胸元までバッグを素早く移動させらるような構造になっていたり、書類の出し入れがしやすいように、バッグの中身には仕切りがなく、大きな取り出し口を備えていたりします。
また、メッセンジャーは肩掛けタイプのバッグですが、一般的な肩掛けバッグの場合、ロードバイクやクロスバイクにのように前傾姿勢で乗るような自転車にだと、バッグが背後からずり落ちて身体の前へ移動してきてしまうという問題があります。
メッセンジャーバッグの場合は、肩掛けストラップに、ずり落ち防止のストッパーが備わっていて、どんなに激しく自転車を漕いだとしてもバッグが前面に回ってくることがありません。
こんな感じで、メッセンジャーバッグはロードバイクやクロスバイクに乗る人のために考えられた自転車用のバッグなのです
そんなわけでクロスバイクやロードバイクに乗っている人で、メッセンジャーバッグを使用している人も多いですし、実際おしゃれ自転車に乗っている人はメッセンジャーバッグを背負っていたりして「街乗りのおしゃれな自転車バッグ=メッセンジャーバッグ」というようなイメージがあります。
メッセンジャーバッグの特徴
メッセンジャーバッグはロードバイクやクロスバイクなどの自転車に乗る際に使用しやすいように、普通の肩掛けバッグには無い自転車で使用することを前提にした特徴があります。
メッセンジャーバッグは背中で固定できる
メッセンジャーバッグはストラップを袈裟掛けにする肩掛けタイプのバッグです。
通常の肩掛けバッグの場合は、ロードバイクやクロスバイクなどのような前傾姿勢がきつい状態で乗る自転車で使用すると、次第に背中側から腹側にバッグがずり落ちてしまいます。
その状態では走行できないので、ずり落ちるたびに直すのですが、何度直してもすぐにずり落ちてしまうので、自転車に乗る際に使用するバッグとしては不向きなバッグとなります。
一方で、メッセンジャーバッグの場合は、肩掛けストラップに小さなストラップ(クロス・ストラップ)が付いているので、バッグがしっかりと背中で固定されてズリ落ちないようにすることができます。
小さなストラップですが、なかなか良く考えられている機能で、メッセンジャーバッグには必須の機能の一つです。
余談ですが、普通の肩掛けタイプのバッグをメッセンジャーバッグと同じ様にずり落ちないようにするための「クロス・ストラップ」が単体で商品化されていたりもします。
僕自身も実際に使用していますが、カメラストラップなどで使用するとカメラを背中で固定できるようになり大変重宝しています。
クロス・ストラップについて興味がある方は下記の記事でまとめていますので、参考にしてください。
メッセンジャーバッグは基本的に防水仕様
本職のメッセンジャーが運ぶものは主に手紙などの書類です。しかも天候関係なく依頼があれば書類を運ぶわけですから、雨が降っても書類を濡らしてしまうわけにはいきません。メッセンジャーにとって水濡れは責任問題でもあるのです。
そんなメッセンジャーのハードな用途に応えられるように、多くのメッセンジャーバッグは防水仕様になっているのはもちろんのこと、ファスナー周りなど水が侵入しやすい部分にも防水加工がされていたりします。
なので、少々の雨に降られたとしても、バッグの中まで水に濡れてしまうということがなく、雨の中でも安心して使用できるという特徴があります。
防水機能は雨対策だけではなく、背中の汗対策としても機能します。
背中にメッセンジャーバッグを背負って自転車に乗っていると、背中と密着した部分にはどうしても汗をかいてしまいますが、防水仕様のメッセンジャーバッグであれば内部にまで汗が浸透して中の書類などを濡らしてしまうという心配もありません。ノートパソコンやタブレットなどの電子機器の持ち運びにも安心です。
メッセンジャーバッグは肩掛けストラップの伸縮が自由自在
仕事で書類を運ぶメッセンジャーは、一日に何件も書類を届けるわけで、その度にバッグから手紙を出し入れしなければいけません。これを普通の肩掛けバッグでやろうとするのは非常にストレスで面倒なものです。
そこで、メッセンジャーバッグは、ストラップを締めたり緩めたりが瞬時にできるようになっていて、しっかりと身体に密着させたり、緩めて背中からくるりと身体の前にバッグを移動させたりできるようになっています。
この機能はメッセンジャーという仕事をしていなくても非常に便利で、コンビニなどに立ち寄った際に背中のバッグから財布を取り出す場合などで重宝します。
メッセンジャーバッグはバッグの口が大きく間仕切りが無い
メッセンジャーが書類を運ぶ際に、たくさんの書類の中から目当ての荷物を見つけやすくするために、メッセンジャーバッグには一般的なバッグのような間仕切りがありません。
間仕切りがなくバッグを大きく開けるので中身を確認しやすくするための工夫です。
負荷が軽減する大きい肩パッド
メッセンジャーバッグは肩掛けのバッグなので、リュックサックのように両肩ストラップのあるバッグに比べると肩への負担が大きくなります。その負荷を軽減するために、メッセンジャーバッグのストラップの肩部分には大きめの肩パッドがあるものが多いです。
これによって、重量のある荷物でも、負荷が少なく疲れづらくする工夫がされています。
メッセンジャーバッグが適した用途
メッセンジャーバッグはメッセンジャーのためにデザインされたバッグなので、同じ用に前傾姿勢で自転車に乗るロードバイクやクロスバイクに乗る人が使用している場面をよく見かけます。
しかし、ロードバイクやクロスバイクでも乗り方は人それぞれなので、全ての人にメッセンジャーバッグが適しているわけではなく、走行距離を基本に選択するのが正しいと思います。
15km未満が最適
メッセンジャーバッグを使用するのに最適な距離は、15km未満くらいの短い距離で、それほど重くない荷物を運ぶ場合にベストな距離になります。
逆に100kmを越えるようなロングライドや、のんびりポタリング、荷物が多い場合などの用途ではメッセンジャーバッグは不向きなバッグだと言えるでしょう。
長距離には不向き
肩掛けバッグは左右どちらかに重量が偏ってしまうので、バランスを取るために余計な力が入ってしまいます。
少しの負荷だと最初は気になりませんが、長距離になればなるほど負担は蓄積されていき、最終的には致命的と思えるほど大きな負荷に変わってきます。
長距離を走る場合は、どこかに負荷がかかったり、バランスが悪くなると、それをカバーしようとして別の場所にも負荷がかかるようになるので、左右のバランスが取りやすいバックパックなどの方が調子が良いのです。
僕も過去に100kmのサイクリングにメッセンジャーバッグを背負って走ったことがありましたが、途中から背骨がズレてしまいそうな辛さが出てしまい、60kmくらいで挫折してしまったことがあります。
荷物が多い場合は不向き
メッセンジャーバッグはバッグの容量に対して半分程度以下の荷物を運ぶのに適しています。
要するにバッグが変形して身体にフィットさせることが出来る程度の容量までがベストになります。
というのも、身体にフィットさせられるくらいの分量だと、荷物の重さを背中全面で支えられるので身体への負荷が少なくて済むのです。
しかし、多くの荷物を入れてしまうと、背中の一点でしか荷物を支えられなくなり、その分の負荷が肩掛けストラップの方にきてしまい、肩への負担が大きくなってしまうのです。
メッセンジャーバッグはたくさんの荷物が入れられるので、ついつい多くの荷物を入れたくなってしまいますが、あまり多くの荷物を入れない方が良いバッグでもあります。
つまりは、メッセンジャーバッグは街乗り向きのお気軽な感じで使えるカジュアルなバッグということになります。