自転車のパンク修理用ガスを装った「シバガス」というものがあります。
「シバガス?なにそれ?」と思う方も多いと思うので解説してみます。
シバガスは、笑気ガスと呼ばれるもので、歯科医などで麻酔用として使用されるガスです。
ロードバイクやクロスバイクなどがパンクした際に使用する、自転車のパンク修理用のガスボンベと同じような容器じ充填された状態で販売されています。
2015年まではネットなどで販売されていましたが、脱法ドラッグとして乱用されているということで、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、2016年2月18日に指定薬物に指定されました。
指定薬物になると、医療などの目的を除き、製造や販売、所持、使用などが禁止されるため、流通もされなくなりました。
しかし、それ以前に購入してそのまま保管している場合もあるかと思います。
万が一間違って自転車のパンク修理用として購入して、そのまま所有している人は注意が必要です。
ちなみに、自転車修理用のガスボンベは下記のようなもので、インフレーターとも呼ばれ、中身はシバガスではなく、CO2が充填されているのが一般的です。
シバガスって何?
「シバガス」とは商品名のようです。
元々は、イギリスの若者の間で流行したのが発端のようで、自転車タイヤの空気補充用ガスの名目で販売されていたりします。
しかし、一般的な自転車タイヤ補充ガスの中身であるCO2(二酸化炭素)とは違い、シバガスには亜酸化窒素(一酸化二窒素)が充填されています。
パッと見で自転車タイヤ補充用のガスボンベに似ていて区別がつきませんが、よく見ると一般的な自転車のパンク修理用のガスボンベとはラベルデザインのイメージが全く違い、いかにもアンダーグラウンドな製品だということが判ります。
もちろん、多数出回っているものと思われるので、パッケージは上記のような、いかにもなデザインではないものもあると思います。
亜酸化窒素とは
亜酸化窒素は、吸入すると陶酔効果がある物質で、別名で笑気ガスと呼ばれていたりします。
麻酔効果があり、全身麻酔などに使用されていて、シバガスは、この麻酔効果を求めて乱用するのが目的となっていたようです。
使用者などの情報によると、単純に酔ったような感覚になり、その効果もすぐに切れるようで、ドラッグとしての効果のようなものは、いわゆるLSDや大麻などの類とは全く違ったものとして認識されているようです。
効果がすぐに切れてしまうため、深い効果を得ようとして乱用する人も多いのでしょう。
シバガスは自転車用ではない
シバガスは、表向きには自転車タイヤの空気補充用ガスとして販売されていたこともあるようです。
しかし、実際には危険ドラッグの規制から逃れるためのカモフラージュであり、もともと自転車用途で製造されたものではありません。
実際問題で僕がこの記事を書いた時点(2015年)ではまだ規制前だったため、シバガスが普通に販売されていたりもしていたので、自転車用のインフレーターと混同して、知らない間に危険ドラッグを手にしている可能性もあったわけですね。(現状では自らシバガスを探して購入しようとしない限りは、手に入る物ではありませんのでご安心を。)
シバガスのその後
危険ドラッグとして規制されたシバガスは、その後ほとんど姿を消したようにも思えます。
しかし、シバガスで調べてみると、新シバガスとして新たに規制をかいくぐるようなものが登場しているようです。
いわゆる脱法ドラッグとして販売すると、それもまた規制対象となるためか、やはり自転車のパンク修理用ガスとして販売されていました。
東京都もその点は把握しているようで、東京都のホームページにも新シバガスの情報が掲載されています。
海外ではキッチン用品として普通に販売されている
日本では、シバガスは危険ドラッグとして規制対象となっていますが、アメリカなどではスーパー等でも普通に販売されているものです。
N20 cream chargerなどで検索すれば海外の通販サイトなどでも普通に販売されています。
名前からも想像出来るように、要するにホイップクリーム用の補填用ガスとしてキッチン用品の扱いで販売されています。(画像検索)
日本で言うところの、ガスコンロの補填ガスと同じような感覚で入手できるものなのです。
そんなわけで、海外に行けば普通に購入できるようなものなので、海外からの持ち帰ったり、購入したりしないように注意が必要です。
2018年10月には輸入代行業の男が、また、2019年2月に大学生が、指定薬物であるシバガス(一酸化二窒素)を輸入したとして、医薬品医療機器法違反(指定薬物の輸入)の疑いで逮捕されました。
興味本位でも海外から持ち帰ったりすると、逮捕されることにもなりかねないので注意しましょう。