クロスバイクやロードバイクに快適に乗るためにはポジション調整は非常に重要です。
しかし最適なポジションは人それぞれで、自転車のフレームのデザインや使用しているパーツ、それから自転車に乗る人の体型や乗り方、どのように自転車に乗りたいかの用途など、様々に要素によって最適解が変わるため、なかなか簡単に答えが出ない世界でもあります。
今回のテーマであるステムは、ハンドルのポジションを調整するために使用されるパーツで、長さや角度の違うステムを使用することによって、ハンドルの位置の微調整をおこなうことができるようになります。
しかし、ステムを換えたとしても、実際に乗ってみないと調子が良いかどうかの判断ができないのと、なかなかしっくり来るようなステムが見つからないことから、ステム沼と呼ばれたりもします。
とは言え、最適なポジションを探すためには避けては通れない道でもあるので、ステムを交換することによるポジション調整についてまとめてみました。
ステムはハンドルポジションの調整に重要なパーツ
110mmのステム(上)と35mmのステム(下)
ステム沼
素人目にはあまり重要そうでないパーツに思えるステムですが、ハンドルのポジション調整には非常に重要なパーツです。
その証拠に長さや角度が違う様々なステムが存在しています。適当で良いパーツならば1cm刻みや数度違いでいくつもの種類が用意されるはずがありません。
それだけ調整はシビアで、ベストなポジションを決めるためには、いくつものサイズや角度の違うステムを試して自分に合ったステムを探すことになり、なかなかベストなステムが見つけられないことから、ステム沼などとも呼ばれたりします。
10mm違いでも違いが大きいのがステム
一般的に販売されているステムの長さは60mmから140mmあたりまでで、10mm刻みでサイズ展開されています。
標準的なサイズは100mm~110mmあたりで、僕が調べた中では最短で30mm程度、140mm程度が最長で、それ以下(以上)の場合は特注品のような扱いになる感じです。
何故にそんなに細かくサイズが刻まれているのかの理由は、わずか10mm違いでもポジションには大きな影響を与えるというわけで、細かな調整が必要だからこそなのです。
実際問題で、過去に僕自身がステムを交換した例を挙げると、110mmから130mmに交換してしっくり来なかったので120mmにしてみると、すごく調子が良かったなんてことがあるわけで、微調整をすればするほどより最適なポジションに近づけることができます。
ステムの長さ
● 140mm~ 最長の部類
● 30mm~ 最短の部類
● 100mm~110mm 標準
ステムのが長さが変わるとどうなる?
ステムが長くなればハンドルの位置が遠くなります。逆にステムが短くなればハンドルが近づきます。
なのでポジションが窮屈であればステムを長くするなどして調整をするわけですが、実際は影響が出るのは距離だけではありません。ステムの長さはハンドル操作にも影響を与えるので、そのあたりも考慮して変更する必要があります。
ステムが短くなるとハンドル操作がクイック(敏感)になる
ステムの長さが変わるとタイヤの角度(操作感)にも影響を与えます。
上記の図を参照していただけると理解しやすいと思いますが、同じ角度だけタイヤを回転させようと思うと、長いステムの方がより大きくハンドルを動かす必要があります。
逆に言えば、ステムが長いと多少ハンドル操作がふらついても、タイヤのブレが少なくなるので安定しやすくなります。ステムが短くなればハンドルの動きがタイヤに伝わりやすくなるので、ふらつきやすくなるのです。(クイックになる。)
ある程度は「慣れ」で吸収できる問題ではありますが、ステムを短くしたりすると「バランスが取りづらい」と感じたりするはずですし、長距離を走る際には「疲れ」などでその影響が身体に表れるようになります。
そんなこともあり、わずか10mmだけでも長さが違うと乗り心地や操作感への影響が出るので、必然的に微調整が必要になり、沼化しやすいというわけです。
実際問題で僕自身、今まで購入した自転車パーツの中ではステムが一番多く買い替えをしていて、いままでで何本ものステムを購入してきました。
ステムの角度も考える
ステムは長さだけではなく、角度にも種類があります。
ステが上向きに伸びる角度が大きなステムを使用すればステムの長さを変えなくてもハンドル位置が近くすることができるので、ある程度適当な長さのステムが見つかれば、その後の微調整はステムの角度を変えた方がより細かな調整ができます。
ステムの角度はアングルとも呼ばれ、様々なタイプのステムを見つけることができます。アングルはフレームのトップチューブの種類(ホリゾンタルやスローピング)などでも見た目や相性があるので、そのあたりも考慮して選ぶことになります。
ステムのアングルについての情報は下記のページでまとめているので興味のある人は参考にしてください。
ステムの逆付けもできる
ステムは上下どちらでも使用できるようになっています。
つまりはステムが上方向に伸びるように取り付けたり、逆にして、下方向に伸びるように取り付けることもできます。
調整する一つの手段として知っておくと良いでしょう。
ステムの逆付けに関しては下記の記事でまとめていますので興味のある人は参考にしてください。
ハンドルの形状や高さが変わるとステムで調整する
ハンドルの形状や位置が変わればポジションも変わる
僕のクロスバイクは今まで何本ものステムに交換してきています。
最初はGIANTのクロスバイクであるESCAPEのMサイズのフレームで標準装備されていた110mmのステムでした。
特に問題は無いステムでしたが、上体が起きたクロスバイクの標準的なポジションから、もう少し前傾姿勢で乗りたいと考えて、ハンドル位置が遠くなるように140mmのステムに変更しました。
その後、ハンドルをフラットバーからブルホーン化したのを切っ掛けに、またステムを交換しました。
ブルホーン化すると、フラットバーハンドルに比べてハンドルの握り位置が10cmほど前に出てしまうため、フラットバーのときと同じセッティングではハンドル位置がかなり遠くにな感じてしまうのです。
このように、同じフレームの自転車でも、ハンドルの形状が変われば、乗り方も変わるためハンドル位置の調整が必要になります。
また、クロスバイクに乗りなれると、次第にハンドルの位置を低くしたりするのですが、コラムスペーサーを入れ替えてハンドル位置を下げた場合にもハンドルが下がった分だけハンドルの握り手の位置が遠くなってしまいます。
そのような場合はわずかな違いなので、乗車しているうちに慣れてしまうこともあり、気にする人も少ないですが、理想的にはハンドルの位置が変わったりした場合はステムを変更して調整することを検討するのが良いと思います。
自然な乗車姿勢を維持してハンドル位置を変更できる
ハンドルを握る位置が遠すぎると自然な前傾姿勢ではなく、上体が突っ伏したような姿勢になってしまって適正な乗車姿勢とは言えなくなってしまうので、ハンドル周りの変更を行った場合は適正なポジションを得るためにハンドル位置の調整をする必要があります。
自然な姿勢で前傾姿勢をとれるような適切なポジションが出せれば、サイクリングはより快適になりますし、疲れづらくなります。
なので、ハンドル位置が「遠い」とか「近すぎる」と感じる場合は、ステムの長さや角度を変更することでハンドルの位置を調整することになるのです。
ステム沼の実際
僕が今まで使用してきたステムは
110mm → 140mm → 130mm → 110mm → 100mm → 80mm → 35mm → 60mm
というような感じです。
いろいろな長さや角度のステムを試してみて、ようやく最適な長さのステムが見つかった感じで、深いステム沼でした(笑)
上記の写真は今までで最短だった35mmのステムです。ポジション的には悪くはなかったのですが見た目や操作感の悪さなどもあり、現在は使っていません。
上にも記したように、ステムが短くなることでハンドルの動きがダイレクトにタイヤの動きになってしまうため、漕ぎ出し時は否が応でもふらついてしまいますし、走行中も安定させるために無駄な力が入ってしまい疲れてしまうのです。
35mmのステムはさすがに極端で、ステム選びのセオリーとしては、80mm以上のステムで検討するのが良いようです。
Funn(ファン) クロスファイア(Crossfire)ステム, クランプ直径:35mm、自転車、マウンテンバイク に適用...
もちろんステムの長さの調整だけではベストなポジションは出しづらいので、サドルの位置を変更したりの調整も必要になってくるとは思います。基本はあっても正解は無い世界なので、微調整を繰り返してベストを探すことになるかと思います。
ステムの選び方
ステム交換後しばらくは様子を見る
ステムを交換した当初は、たとえベストなポジションだとしても違和感を感じてしまうものです。なので、ステムを交換してからしばらくは試用期間として様子を見ながら自転車に乗ることになります。
身体が新しいステムに馴染んでも、まだどこかに違和感を感じてしまうようであれば、ステムが合っていない可能性があるので、新しいステムを試してみる価値があると思います。
2cm刻みで試してみる
ステムの長さは1cm機材なので、2cm単位で、短く(長く)して、ポジションを比較してみるのが最も早く最適なステムを選べます。
「まだ遠い(近い)な」と思えば、さらに2cm短い(遠い)ステムを入手して再度テストをして、「今度は少し近い(遠い)な」というところで、次は1cm長い(短い)ステムを使うことで、自分にとっての最適解を探すというわけです。
安いメーカーでお試ししてから本命を買う
ステムも一流メーカーだと数万円もしてしまうので、なるべく出費を抑えるために、調整中は中国製の安いステムを使用するのがおすすめです。
中華製の適当なステムでポジションを探して、長さが決まればちゃんとした欲しいメーカーのステムを購入するのが一番良い方法だと思います。
まとめ
ステムの長さの違いによるロードバイクやクロスバイクの乗り心地の違いの変化や、調節してハンドルのポジションを調整することの意味などについていろいろと書いてみました。
個人的にも既に何本ものステムを交換していますが、なかなか奥の深い面白いパーツだと思います。
実際にステムを交換する方法については下記の記事で解説しているので、参考にしてください。