放置自転車は、交通の妨げになったり、街の景観を損ねたり、対策費用に膨大な税金が掛かるなど、非常に大きな社会問題でもあります。
自治体は、各々に放置自転車対策を行なっているようですが、その対策がうまくいっている自治体と、うまくいっていない自治体とで、両極端な感じになっている印象もあったりします。
そこで「放置自転車対策」について調べてみることにしました。
一般的な行政の放置自転車への対応
自転車放置禁止区域とは
自転車が放置されることによって、交通の妨げなど、生活に支障が出る可能性の高い「駅前」や「商店街」などでは、自転車を放置することが禁止されています。
街なかの到るところで自転車が駐輪されているのを普通に見かけますが、実際問題で自転車も車両ですから、基本的に歩道での駐輪は駐車違反になるので、自転車も駐輪場などの駐輪可能な場所に駐輪しなくてはいけません。
しかしながら、現状では自転車の駐輪に関しては野放し状態です。
そんな中にあって、わざわざ「自転車放置禁止区域」を指定しているのには、当然理由があるわけです。
通行者にとってものすごく迷惑だったり、救急車や消防車の通行の妨げになるような場所というわけですね。
なので、自転車放置禁止区域は"絶対に駐輪するな!"という意味合いの場所と思った方が良いでしょう。
どこにでも駐輪してしまうような人は、おそらく「自分のことしか考えていないような人」かと思いますが、違法駐輪が原因で救助活動の妨げになり、人が死んでしまうこともあるというところまでイメージを膨らませた方が良いでしょう。
あと「放置」という言葉のイメージから、長期間ほったらかしな状態だと勘違いしていまいがちですが、放置自転車は、長期間駐輪している自転車だけを指すのではなく、直ちに移動できない自転車も放置自転車に含まれます。
要するに、自転車を駐輪してどこかに立ち去った場合は、たとえ短時間でも放置自転車になりますので注意しましょう。
● 自転車は車両と同じで歩道の駐輪は基本的に駐車違反
● 短時間でも直ちに移動できなければ放置自転車になる
放置自転車の移動・保管・処分
撤去と保管期間と返還手数料
「自転車放置禁止区域」など、放置自転車を禁止する場所として指定された場所に放置された自転車には、警告するために「放置自転車はしてはいけません」と明示された札を付けるなどして放置自転車をしないように呼びかけたりしているようです。
また、放置自転車に取り付けた札に日付を入れて、札を付けたまま一定期間放置され続けた自転車を放置自転車とみなして、撤去するなどの対策が行われています。
撤去された自転車は、所定の保管場所で保管されるのが一般的です。
放置自転車の保管期間は行政により異なりますが、概ね1ヶ月〜3ヶ月というのが多いようです。
また、回収された放置自転車の引き取りの際には、数千円の手数料が課せられる場合がほとんどです。
盗難車場合など特別な事情がある場合は手数料は必要ない
盗難された自転車がどこかに乗り捨てられて放置自転車として回収されていた場合に手数料が問題となりますが、そのような特別な事情がある場合は免除されることもあるようです。
例えば、盗難された自転車が放置されて回収されていたような場合は、盗難届を出していれば、変換手数料は免除されるなどがあります。
また、親切な自治体であれば、防犯登録の情報を元に持ち主に連絡をしてくれることもあるようです。
なので、放置自転車問題の視点から考えると、防犯登録と自転車が盗難されたらなるべく早く盗難届けを出すということは非常に重要なポイントになります。
保管期間を過ぎても持ち主が現れなかった自転車は処分されたり、レンタル自転車などでリサイクルされたりすることもあるようです。
● 自転車の返還には手数料が掛かる
● 盗難された自転車などは返還手数料が免除になることもある
放置自転車対策の流れ
放置禁止の札・タグを取り付けて警告
↓
長期間放置された自転車は撤去して所定の場所で保管
↓
保管期間が過ぎれば処分やレンタサイクルなどで再利用
放置自転車の撤去や保管、処分の費用
放置自転車の撤去や保管、処分には多額の税金が使われています。
足立区のページによると、自転車を撤去するためには保管を含め、1台あたり15,210円も掛かるそうです。
都内における駅前放置自転車の現況は東京都のページで公開されていて、年々減少傾向にはあるようですが、依然としておびただしい数の自転車が放置されているのが現実です。
平成28年の資料をさっくり見ても、東京都だけで3万台もの自転車が放置、撤去されているとのことで、この数に15,000円を掛けると大変な金額になりますね。
自転車の撤去や保管には想像以上に費用が掛かる
放置自転車に対する主な対策
駐輪場の増設
放置自転車の根本的な原因は、駐輪場が不足しているということも考えられということで、駐輪場を増設したりの対策も行われています。
ただし、駐輪場を増設したとしても駅から遠くの駐輪場は使用されづらく、問題は解決されないことも多いようです。
● 自転車駐輪場内の放置自転車も多い
● 利便性の高い場所には駐輪場を作りづらい
● 駅から遠い駐輪場は利用率が低い
自転車利用者への呼びかけ・啓蒙活動
駐輪禁止の看板やポスター、街頭での放置自転車禁止の呼びかけによる啓蒙活動もされているようです。
しかし、放置自転車平気でするような人は、放置禁止の看板の前にも平気で放置してしまうので、効果は薄いと思います。
即時撤去
自治体によっては放置自転車対策として即時撤去をおこなうこともあります。
即時撤去とは、警告等の札を付けたりして注意を促すなどはせず、見つけ次第撤去するという方法です。
東京の吉祥寺駅周辺はかなり徹底していて、その政策のおかげもあり、放置自転車を見かけることがほとんどありません。
個人的にも即時撤去という方法は罰則的な感じも強く、かなり効果があるように思います。
放置自転車対策は撤去の徹底がベストと思う
放置自転車の無い場所には自転車を停めづらい
自転車駐輪場を増やすとか、立て札などでの啓蒙したとしても、その立て札の前に平気で放置してしまう人もいます。
そういう人は基本的に自分のことしか興味がないような人なので、立て札や注意書きを見たりはしません。
なので、最も効果があると思われるのはやはり即時撤去なんじゃないかと思います。
放置自転車対策で調べてみると、いろいろ対策した結果、即時撤去を強化するなどの対策を実施する自治体が多く見られます。
割れ窓理論のようなもので、自転車が駐輪されていない場所には駐輪しづらいですし、逆に放置自転車があれば「駐輪しても良いのかな」という気がしてしまい、どんどん駐輪されてしまうという悪循環になりがちです。
実際問題で、吉祥寺へ自転車で出かけて駐輪場所を探した時に、駅周辺に全く放置自転車が無く、街の雰囲気から「駐輪してはいけない」ということを感じ取れたりもして、駅前近辺に駐輪するのを諦めて駐輪場を探したことがありました。
真面目な人ほど損をする保管料の問題
放置自転車で撤去された自転車を保管場所に取りに行くと、保管料として数千円を払う必要があります。
自転車を放置したペナルティとして当然払うべきお金だと思いますが、問題は連絡が来ても、無視をして引き取らない場合に何の費用も掛からないことかと思います。
考えようによっては、自転車を処分するにしても、ルールを守って粗大ゴミとして自転車を捨てると、処理費用が発生するのに、放置自転車で撤去してもらって、無視を決め込めば無料で処分できてしまうのです。
だったら撤去してもらってそのまま処分された方がお得!というような考え方も出て来るんじゃないかと思われます。
定期的に乗っているような自転車をずっと放置するなんてことは基本的に無いでしょうから、長期間放置されているような自転車は、必要がなくなった自転車か、盗難自転車の乗り捨てかと思われます。
例えば、通学などで学校の最寄駅から学校まで使用していた自転車が卒業とともに必要なくなり、遠く離れた自宅まで乗って帰ることもできないので、そのまま放置して引っ越してしまったとかの理由で放置される自転車は多いと思います。
もう使うかどうか分からない自転車を、輸送するために数千円を払うくらいであれば、そのまま放置して捨ててしまった方が安上がりです。
ともかくも要らなくなった自転車を引き取ってもらって処分したり、撤去された自転車を真面目に取りに行くと保管料を取られるのに、放置自転車で無視すれば一銭も取られない。なんていうのは変なお話ですよね。
防犯登録などから本来の持ち主はある程度特定出来るでしょうし、自動車のレッカー移動と同じような調子で撤去した自転車に対して強制的に撤去料を徴収するようなシステムにした方が良いんじゃないかと思うんですけどね。
まだまだ多い放置自転車
放置自転車が社会問題化して意識が高まったせいか、ひと昔前に比べて放置自転車は随分減ったようにも思います。
それでも依然として、駐輪しては行けない場所に駐輪してしまう人も多いですし、全体にまでマナーや意識が浸透しているわけではないと思います。
放置自転車がなければ、歩道は歩きやすくて快適ですし、景観もすっきりして美しくなります。
自転車に乗る際には、意識を高く、しっかりとルールを守って運転することを徹底したいですね。
ところで、世の中には「放置自転車ビジネス」というものがあるようです。
よくわからないので今度調べてみたいと思います。