クロスバイクを10速化・11速化する際はメンテナンスブックやマニュアルを参照しながら作業を進行するというのが基本中の基本ですが、全ての欲しい情報が揃っているわけでもありませんし、時としていくつかの情報を複合して作業を理解して進める必要があります。
また、基本的な知識に乏しいと、思わぬところで躓いてしまうことにもなりますし、そのような情報に限ってメンテナンスブックやマニュアルに記載されていないことも多いです。
ここでは、実際にクロスバイクを10速化・11速化する際に、ハマってしまいやすい問題についてまとめています。
10速化・11速化にチャレンジして、作業が行き詰まってしまった人の参考になればと幸いです。
ボトムブラケット(通称BB)の交換のポイント
ボトムブラケットは自転車のクランク部分のフレームに埋め込まれている筒状のパーツです。いくつかの種類があり、取り付け取り外しには専用工具が必要になります。
問題は、10速化・11速化するために使用するTiaguraや105などのグレードのコンポーネントで使用されているボトムブラケットとGIANT ESCAPE R3などの一般的なクロスバイクで使用されているボトムブラケットでは異なる形状のものが使用されています。
そしてこれらのボトムブラケットの取付け取り外しには異なる工具が必要になります。
クロスバイクのボトムブラケットの種類
ホーローテックIIタイプ
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ロードバイクなどで一般的なボトムブラケットはホローテックIIと呼ばれるタイプのものが使用されています。シマノのコンポーネントであるTiagraや105、アルテグラ、デュラエースなどにはこのタイプのボトムブラケットが使用されます。
専用工具としてボトムブラケットレンチが使用されます。
スクウエアテーパータイプ
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ジャイアント社のESCAPEシリーズなどには、スクウエアテーパータイプのボトムブラケットが使用されていて、取付け取り外しには、コッタレス抜きと呼ばれる工具を使用することになります。
要するに、一般的なクロスバイクのボトムブラケットの交換には異なる工具が2つ必要になるわけですね。これを知らないと「工具が足りない」で、作業を中断せざるをえなくなったり、「ボトムブラケットを外したときの工具で取付けられない」などで混乱することになります。
もし元から使用されているボトムブラケットと新しく組み込むコンポーネントのボトムブラケットが同じタイプであれば、工具は一つで構いません。
フレームのフェイスカットとリーマーについて
ボトムブラケットの取り付けには、本来「リーマーという特殊な工具でフレームをフェイスカット加工する必要がある」などとメンテナンスブックなどには書かれていたりします。
要するに新しくボトムブラケットを挿入する際に、リーマーを使ってネジの溝の形状を整えることで、よりしっかりと新しい挿入できて、問題が少なくなるようになるという作業になります。
もちろん、やらないよりやったほうが絶対的に良いわけですが、リーマーは特殊な切削工具で価格も高いため業者でもない限りは使うことのない工具になります。
どうしても気になる人は、お店に持込んでフェイスカットの作業だけでもお願いするのが良いとは思われますが、そこまでするなら1からお店にお願いした方が良いと思います。
僕自身もちょっと心配でしたが、クロスバイクやロードバイクをカスタマイズしてる方々のブログなどから情報を拾うと「フェイスカットしなくても取り付けられました!」の情報も多く見つかります。
また、実際問題でフェイスカットだけして欲しいとお店に頼んでもやってもらえるかどうかも不明ですし、ボトムブラケットのフェイスカットについて調べてみるといろいろな考え方があるようで、自転車屋さんのような専門家であっても「必要ない」という意見もありました。
そんなわけで少々不安のある部分ではありましたが、僕自身もフェイスカット無しで新しいボトムブラケットを取り付けました。結果として取り付けから数年経った今現在でも特に不具合は無い感じです。
フェイスカットしていればもっと調子が良かったのかもしれませんが、実際のところは判りません。
ただし、ネジ部に砂などが入り込んでいるので、しっかりと汚れを取り除いて綺麗にしてから取り付けるというのは重要になると思います。
クランクを抜くのに苦労する
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クランクを緩めた後はにクランクセットをフレームから引き抜かなければいけないのですが、引き抜くにはコツが必要で、クランクを抜こうとしても抜けない場合があります。
クランクを緩める際にはかなり強く締め込まれている場合があるので、それなりの力が必要なので、クランクを引き抜くのにも力が必要だと思ったりしますが、クランクを引き抜くのには実はそれほど力は必要ありません。
なかなか上手くクランクが抜けない時は、力をかける方向を少し変えてあげるだけで、ズルリと抜くことができます。
実際問題で、僕自身、初めての作業は、全体の作業の中でもこのクランクの取外しが一番大変でしたが、ちょっとしたコツさえ掴めばスルリと抜けてしまうものだと思います。
フロントディレーラー交換のポイント
バンド固定タイプか直付けタイプかを間違わないようにする
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フロントディレーラーを購入する前に、今現在フロントディレーラーがどのように取り付けられているかを確認する必要があります。
フロントディレーラーには取り付け用の「バンド有り」とバンドが無い「直付けタイプ」があります。
もしもフロントディレーラーがシートポストにバンドで取り付けられているようであれば、バンド有りを購入、バンド無しで直接とりつけられているようであれば、バンド無しを選ぶ必要があります。
フロントディレーラーの取付けはミリ単位
フロントディレーラーの取り付けはもミリ単位でおこなう必要があり、何度も取り付け取り外しをしながら調整する必要があります。
最終的な細かい位置調整はフロントディレーラーのネジの空け締めで調整できるのですが、こちらも本当にわずかの差でチェーンがうまく回らなかったり落ちてしまったりしてしまうので慣れないと大変苦労をすることになります。
リアディレーラー交換のポイント
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リアディレーラーのサイズに注意する
リアディレーラーはスプロケットの最大歯数によってショートタイプとロングタイプに分かれます。
最も大きなギアが28Tまでならショートタイプで対応できますが、30Tなど大きなギアが使用されている場合はロングタイプのディレーラーを使用する必要があります。
元の状態が判るように写真を撮ってそれを参考にする
リアディレーラーは取り付け取り外しともに特に難しくはなかったですが、元の状態がどういう角度で付いていたかを覚えていないと正しい取り付け角度がわからなくなり苦労をすることがあります。
逆に言うと自転車屋さんで整備してもらった時の状態に戻すことができればそれが正しい状態と判断できるので、作業前に写真を撮って元の状態が判るようにしておくと安心です。
変速の微調整はディレーラーにある二本の調整用のネジを使います。非常に細かく根を詰める作業になるので1/4程度回転させつつ調整具合を確認することになります。
大きなズレはこのネジでは修正できないので元々の取り付け位置やワイヤーのテンションを出来る限り正しい位置で取り付けしておくことが大変重要になります。
つまりは正しい位置に取り付けが出来ていれば、難しい調整をしなくても調整前の状態でもだいたい変速の精度が出るようになっています。そこまできちんと位置調整が出来ていれば、後はマニュアルをよく読んでその通りに作業すればすんなりと調整できると思います。
そのためにも一番最初の自転車屋さんで整備された状態のディレイラーの位置や角度をしっかりと記録しておくことが大切というわけです。
カセットスプロケット交換のポイント
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カセットスプロケットを取り外すにはロックリング締め付け工具やカセットスプロケットリムーバーなどの特殊な工具が必要です。
カセットスプロケットの取り付け取り外しは日常メンテナンスの清掃やスプロケット交換などで比較的頻繁に行う作業でもあるので道具は揃えておいて損はないと思います。
カセットスプロケットの交換についてはメンテナンスブックなどを参照しながら作業を行えば特に難しいことはないと思いますが、取り外しの際は意外と力が必要なので最初は恐いかもしれません。
ただ、ホイールも体重をかけたくらいでは壊れないと思うので、外れない場合は体重をかけて思い切ってみてください。
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シフター交換のポイント
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シフターを交換する際にはワイヤー類をイジることになるので多少神経を使います。
シフトケーブルを通すためのアウターケーブルの長さはどの程度が適切なのかで悩んだりしますが、元から付いていたワイヤ・ケーブルの長さを基準にすれば失敗することはまず無いと思います。
長さの問題さえクリアできれば、ワイヤーの取り回しも単純なので迷う事は少ないと思います。
しかしながら、意外とワイヤーを通す方向や場所で悩んだりもするので、その他の作業と同様に作業前の状態を記録しておけばワイヤーを通す場所などで悩まずに済むと思います。