シマノのコンポーネント105(10速)を搭載したクロスバイクを11速化してみました。
シマノの互換表によれば10速用のパーツと11速用のパーツでは互換性が無いため、基本的には非推奨な改造カスタムになります。
しかしながら、世の中的にロードバイクなどは11速化されていることもあり、多段化に興味津々というところで10速のパーツを活用しながら11速化にチャレンジしてみました。
10速用コンポーネントから11速化するのに必要なパーツなど
僕のクロスバイクのESCAPE Airは既にコンポーネント類をシマノの5700系の105に交換して10速化していますので純正の8速のコンポーネントから11速化するのとは少し事情が違いますが、基本的に考えないといけないことはほぼ同じです。
またロードバイクであっても10速用コンポーネントから11速化する場合には同じ条件になってくると思います。
11速対応のホイール
11速化するためには11速対応のホイールが必要です。11速非対応のホイールだと11段のスプロケットが使用できないので物理的に11速化が出来ないのです。
僕のクロスバイクのESCAPE Airに履かせているホイールはfulcrumのRacing 3と呼ばれるホイールで、11速対応のホイールです。
11速対応のシフトレバー
フラットバー用の11速用シフトレバーはSL-RS700のみ
11速をシフトチェンジするためには11速対応のシフトレバーにする必要があります。
シマノのフラットバー用の11速対応のシフトレバーも増えてきましたがロードバイク寄りのシフトレバーと言えばSL-RS700一択になるかと思います。
フリクションタイプのシフトレバーは互換性あり
ちなみに僕のクロスバイクのESCAPE Airはブルホーン化しているため、フラットバーなどで使用していたトリガーを引くとカチカチとシフトチェンジするインデックスタイプのシフトレバーではなく、無段階でレバー位置を調整するフリクションタイプのシフトレバーを使用しています。
フリクションタイプのシフトレバーは手動でワイヤーを締めたり緩めたりしながら変速するシフトレバーなので、インデックスタイプのシフトレバーのように、一段ごとのワイヤーの引き幅でディレイラーが動いてシフトチェンジするものではありません。
そのため、フリクションタイプのシフトレバーはインデックスタイプのシフトレバーのように◯速用と決められているわけではなく、ワイヤーの引き幅さえ調整しておけば、7速でも10速でも兼用できてしまう汎用性の高いシフトレバーです。
僕が使用しているフリクションタイプのシフトレバーはダイアコンペのENEサムシフターで、スペックを確認すると6〜10速用となっていて11速には対応しているとは書かれていません。
しかし、実際問題で10速用も11速用もスプロケットの幅はそれほど大きな違いが無いのでワイヤーの引き量にも大きな違いが無いものと思われ、フリクションタイプのシフトレバーであれば11速も引ける感じです。
11速対応の各種コンポーネント
クランクセットやリアディレーラー、フロントディレーラーなどのコンポーネントも11速対応のパーツを選択しなくてはいけません。
そんなわけで、普通に11速化しようとするとコンポーネント一式を買い直しする必要があります。
全て買い直すにはそれなりの費用が必要となるため、前もってそのあたりは覚悟しておいた方が良いでしょう。
クロスバイクを11速化するためのコンポーネントの候補として考えるのであれば105(5800系)がベストだと思います。
2021年3月現在でシマノのロード用コンポーネントで11速に対応しているのは105以上のグレードからになるため、全てのパーツを11速対応に交換すると、必要な費用は最低でも6万円+ホイールになると思います。
互換性無しの組み合わせは?
僕の場合はもう少し簡易的に11速化したかったため、クランクセット、フロントディレーラーおよびリアディレーラーは現在使用している10速のシマノ105(5700系)をそのまま流用することにしました。
いろいろ調べた結果としてクランクセット、フロントディレイラー、リアディレイラーは10速用でも使用できるという情報もあり、10速用のコンポーネントを流用することにしました。
ただし、メーカーサイトの情報によれば11速用のパーツとの互換性は無いのでメーカー非推奨となり、パーツの干渉を避けるために使用出来るギアに多少の制限が出てきたりするようです。
今回紹介する10速用のコンポーネントを11速化する方法は、この方法となり、変則的な11速化ではありますが、これにより必要な費用は2万円+ホイール程度にまで抑えられます。
ちなみに、クロスバイクの標準的なコンポーネントである8速や9速のコンポーネントの場合はチェーンの太さが全く違いますから流用は難しいんじゃないかと思いますが、興味のある人はダメ元でチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
11速用チェーン(Shimano 105 CN-HG600-11)
10速用チェーンと11速用チェーンでは、わずかではありますがチェーンの幅が違うため、10速用のチェーンは11速用のスプロケットには使用出来ないとのこと。
10速用と11速用のスプロケットの幅はほとんど変わらないにも関わらずギアを一枚増やすわけですから、物理的に11速用のチェーン幅は狭くしないといけないというのが理由です。なので11速用のチェーンと比べて幅の広い10速用のチェーンは11速用のスプロケットでは使用出来ないのです。
しかしながら、幅が違うのは外寸だけで、10速用と11速用のチェーンの内寸はほとんど差が無いため、チェーンリングやリアディレイラーの場合にはなんとかなるということのようです。
シマノ(SHIMANO) チェーン CN-HG601 11s 116リンク クイックリンク仕様 ICNHG60111116Q SHIMANO105
11速用スプロケット
11速化の心臓部分とも言えるのが11速用スプロケット。これがなければ11速化はできません(笑)シマノ105のグレード以上であれば11速用スプロケットが見つかります。
クロスレシオかワイドレシオか自分の求める乗り方によって選択するギアの組み合わせが変わってくるかと思いますが、僕の場合は街乗りメインでほぼほぼ平坦な道しか走らないので、極力クロスレシオなものを探した結果、ULTEGRA CS6800 11-23T(歯数構成:11・12・13・14・15・16・17・18・19・21・23T)というかなりクロスレシオなスプロケットに決めました。
DURA ACEのスプロケットだと数万円もしてしまうほど高価なものになりますがULTEGRAグレードの場合は105グレードのCS5800と比べて数千円程度の価格差なので、なかなかリーズナブルだと思います。
ギア構成
本来はコンポーネントとグレードを揃えるため105(5800系)のスプロケットを購入する予定でしたがULTEGRAの方がよりクロスレシオなスプロケットがあったためULTEGRA CS6800を購入しました。
ちなみに坂道などをそれなりに走る予定であれば25T以上の歯数のあるスプロケットを選択しておくと坂道が出現しても泣きを見ることは少なくなると思います。32T以上になるとよほどの激坂でもない限りは必要無いギアになると思います。
5800系 105のラインナップ
12-25T(12・13・14・15・16・17・18・19・21・23・25T)
11-28T(11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28T)
11-32T(11・12・13・14・16・18・20・22・25・28・32T)
ULTEGRA CS6800のラインナップ
11-23T(11・12・13・14・15・16・17・18・19・21・23T)
11-25T(11・12・13・14・15・16・17・19・21・23・25T)
12-25T(12・13・14・15・16・17・18・19・21・23・25T)
11-28T(11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28T)
DURA ACE R9100のラインナップ
11-25T(11・12・13・14・15・16・17・19・21・23・25T)
12-25T(12・13・14・15・16・17・18・19・21・23・25T)
11-28T(11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28T)
12-28T(12・13・14・15・16・17・19・21・23・25・28T)
11-30T(11・12・13・14・15・17・19・21・24・27・30T)
11速用チェーン対応チェーンカッター
チェーンを取付ける際には長さ調整などが必要で、チェーンをカットするために11速用のチェーンに対応したチェーンカッター(PWT チェーンカッター CT-03R)が必要です。
あとシフトケーブルも忘れずに。
10速用コンポーネントのクロスバイクを11速化する
11速用のスプロケットを取り付け
早速ですが11速用スプロケットをホイールに取り付けてみました。見た目もなかなか良い感じです。スプロケットはやはり工業製品として美しいですね。
最大歯数が23Tのギアはかなりコンパクトで軽量です。そしてクロスレシオ具合も素晴らしいですね。
チェーンを装着してワイヤー類を微調整して11速化の完了です。
これだけで11速化が完了しました。
「え?」と思われるかもしれませんが、無断階のフリクションタイプのシフトレバーの場合は手動で引き幅を調整するので、最大にワイヤーを引っ張った状態にした時に最小ギアになるように調整すれば、それだけでリアディレーラーの調整が終わってしまいます(笑)。
細かな調整は不要というわけです。
もちろん、トリガーによってギアが一段一段正確に切り替わるインデックスタイプのシフターだと、1段1段しっかりと指定のギアにチェーンが落ちないとだめなので、11速の調整はかなりシビアに行わなければいけません。このあたりはかなり根気が必要な作業になると思います。
10速コンポーネントから11速化する方法
ホイールとスプロケットとチェーン、そしてシフトレバーを11速用に交換してシフトワイヤーを調整する。これだけです。
11速化するとリアディレーラーの調整はシビアになる
11速化することで10速の時よりもギアとギアとの間が狭くなるため、10速の時と比べて変速の調整はかなりシビアになります。
この点については、フリクションタイプのシフトレバーでも同じで、10速の時と同じ調子でシフトレバーを動かすと、一気に二枚変速してしまったりするので、このあたりは練習して慣れていくしかないのかなと思います。
10速用コンポーネントのクロスバイクを11速化する方法のまとめ
「クロスバイクも11速化できるんじゃないかな・・・?」と、なんとなく考えたのは5800系105が11速化されて発売されてほどなくしてからでした。
世の中的に11速が標準化されていく中で、ロードバイクはもちろん、クロスバイクに関しても「11速化した」という情報もちらほらと見かけるようになったこともあり11速化を実行してみた次第です。
また、互換性が無いのを承知で一部パーツのみ11速に対応させて11速化できるかというチャレンジの部分もありました。
駄目なら「全て取っ換えてしまえば良いや」「レースに出るわけではないし法律で決まっているわけでもないし」という考えのもと、スプロケットとチェーン、(シフトレバーを交換する場合はシフトレバーも)の交換だけで11速化を試みたわけです。
スプロケットを11速用に交換した後にワイヤーを調整して、とりあえずペダルを回しながら変速して動作を確認してみましたが、特に支障もない感じで滑らかに変速できたのを見て「いける!」と判断し、そのまま作業を進めました。
結果としてものすごくあっけなく11速化が実現できてしまったということになります。
もしも一からクロスバイクを11速化しようとする場合は、コンポーネントを全て取っ替える必要のある大改造になりますから、それなりの費用と労力、あと時間が必要になると覚悟した方が良いでしょう。
このあたりの流れは10速化する時と同じになりますから、興味のある人は下記の記事を参考にしていただければと思います。
11速化は必要なのか?乗ってみた感想
実用的な面のお話になりますが、10速でも全てのギアを使ってたわけではないので、11速化しても全てのギアを使えるはずはないというのはしょうがないところです。
街乗りレベルであれば、そもそもそんなに速度を出せないということもあり、下り坂で速度が出たとしてもトップ側の11Tはおろか12Tすら使わないと思います。
また、ローギアもチェーン脱落防止のために23Tを使用することも滅多にないと思われるので、実質8枚のギアしか使わないことになります。
しかもよく使うのは14T〜18Tあたりだと思うので、走行してみた感覚としては10速でも11速でもほとんど変わらないという感じでした。
しかしまぁ実用的かどうかを考えるよりも、気分を大切に考えるというのが趣味の世界だと思いますし、無用の長物でも「11速に交換して良かったなぁ」と思いながら気持ち良く乗れる、ということのほうが僕の自転車の楽しみ方としては正解だと思っています。
とりあえずクロスバイクの11速化を終えた現時点での満足度は非常に高いです。
余談ですが、こうして新しいパーツをインストールすると、新しく自転車を買ったような気分でまた乗ることが出来るのも改造カスタマイズの醍醐味ですね。11速化して良かったです。