クロスバイクやロードバイクのハンドルの高さは、前傾姿勢に慣れるとともにどんどん低くセットしたくなります。
ハンドルの位置は、コラム部分のスペーサーとステムの位置を入れ替えることで下げられます。
しかし、ステムの位置を下げるとステムの上にお団子のようにコラムが突き出た状態になってしまいます。
クロスバイクやロードバイクの見た目としては、コラムが突き出た状態は非常にカッコ悪いとされているため、今後ポジションに変更が無いようであれば、さっさとコラムカットしてスッキリさせてしまうのが普通です。
この記事では、クロスバイクやロードバイクのコラムをカットする方法についてまとめています。
コラムカットの必要性について
コラムをカットしないと見た目が悪い
コラムが飛び出したままでも、特に支障はないため、そのままでも良いものではありますが、コラムが飛び出した状態は非常にカッコ悪く見えるため、ポジションなどの変更の予定が無いのであればコラムはカットしてしまうのが普通です。
コラムはカットする必要があるのか?
コラムをカットするメリットとしては、見た目が良くなること、空気抵抗が減ること、コラムを切り詰めた分で軽量化できることなどです。
しかし、空気抵抗は極端に大きなものではありませんし、軽量化についても微々たるもので、スペック的には影響はほとんどないと思われます。
むしろコラムをカットするデメリットがあります。
コラムカットは不可逆なカスタマイズなので、一度カットしてしまうとフォークを換えない限りは元に戻すことができなくなります。
なのでポジションが確定するまでは、コラムをカットしない方が良いという考え方ができます。
つまりは、コラムカットは見た目を良くするためだけに行われるカスタマイズとも言えるでしょう。
コラムカットの必要性については下記の記事でまとめていますので参考にしてください。
コラムをカットするタイミング
コラムをカットするタイミングは、ポジションが決まった後です。
コラムは一度カットしてしまうと、フォークを交換しない限りは元には戻せません。
後から「もう少しハンドル位置が高いほうが良かった」と思っても、後の祭りになってしまうのです。
コラムが残っていれば、いくらでもポジション調整ができるので、慌てて実行するのではなく、コラムカットのタイミングを見極めてから実行するようにしましょう。
私自身も様々なカスタマイズを試す関係もあって、ポジションが定まらなかったこともあり、コラムをカットしたのはかなり後になってからでした。
コラムカットの方法について
長ネジを使用した方法が一般的
コラムをカットするにはいくつかの工程を踏んで作業を行う必要があります。
作業の内容によっては値段の高い専用工具を必要とするものもありますが、使用頻度があまり無いものなので、コラムカットのためだけに工具を買い揃えるのは勿体無いというところでもあります。
なので、僕のような素人が自分自身でクロスバイクやロードバイクのコラムカットをしようとする際に最も人気なのが、長ネジを使用した方法です。
長ネジを使用した方法は、作業的にも難易度が低く、素人でも作業しやすいというメリットがあります。
コラムカットをする際には、通常は、コラムの中に圧入されているスターファングルナットをさらに圧入する必要があるのですが「カンカン」と金属を打ち付けてパーツを圧入するような作業がありません。
音が出ないので、アパートやマンションなどの集合住宅の室内でも作業しやすい点や、コラムの中に圧入されているスターファングルナットを少しずつ確実に圧入できるので、スターファングルナットを圧入し過ぎるという失敗が少なくなるという特徴があります。
この記事でも長ネジを使用したコラムカットの方法についてまとめています。
長ネジを使用したコラムカットに必要な道具
M6の長ネジ(285mm以上)とM6のナット
「M6」とは直径が6mmの意味で、ネジの太さの規格の一つです。
M6は、スターファングルナットと呼ばれるコラムの中に圧入されている星形の部品の中央に空いているネジ穴と同じ規格になります。
このM6の長ネジをフォークの又の間の穴から挿し入れて、スターファングルナットに通して、スターファングルナットを引き下げることでさらにコラムの奥深くに圧入をするのです。
フォークの股部分から長ネジを差し込んでコラム部分にあるスターファングルナットに接続するため、長ネジの長さは285mm以上のものを選ぶ必要があります。(理想は300mm以上です)。
長ネジが285mよりも短いと、長ネジがコラムよりも短くなってしまうため、スターファングルナットを引き下げることができません。
M6のナットは長ネジを締め上げる際に必要になります。
ワッシャー(直径35mm以上)
ワッシャーはフォークの又の部分にセットして、長ネジのストッパーの役割をします。
長ネジにワッシャーとナットをセットしてナットを締め上げて行くと、まずワッシャーがフォークの股部分に固定さるようになります。
そこでナットをさらに締め上げて行くと、ワッシャーがストッパーのように留まります。
さらにナットを締めていくと、長ネジがと接続されたスターファングルナットがフォークの股の方向に引き下げられるという仕組みです。
注意点としては、ワッシャーは外径が35mm以上のものを選択することです。
残念ながらナットに合わせて内側の穴がM6程度のワッシャーを選ぶと、ワッシャーの外径が22mmのものが一般的になり、それだとフォークの又の部分に空いている穴よりもワッシャーが小さくなってしまうため、ストッパーとして使用できないのです。
ワッシャーをストッパーとして使用するためには、外径が35mm以上のワッシャーを使用する必要があります。
並びとしては
スターファングルナット → フォークの穴 → ワッシャー → ナット
となり、それぞれにM6のネジを通してからM6ナットを締め上げることでスターファングルナットが引き下げられるようになるというものです。
その他
■ ミニサイズのスパナ(レンチ)
■ パイプカッター
■ 金ヤスリ
■ サインペン
ダイドーハント (DAIDOHANT) ユニクロ 寸切ボルト (呼び径d) M6 x (長さL) 285mm [鉄] (1本入) 10101707
コラムカットする手順
Step1. コラムのカット位置を決める
ステムの上に一枚以上コラムスペーサーを重ねる
コラムをカットする位置を決めるために、所定の位置にステムをセットします。
コラムスペーサーを残しておかないと、ガタツキの調整がしづらいなどの問題が出るので、ステムの上に一枚薄いコラムスペーサー(5mm)を残しておきます。
残すスペーサーを5mmにしているのは「最終的な仕上がりの見た目が良くなる」というだけなので、10mmでも15mmでも好きな暑さを選択すると良いですし、複数枚残しても構いません。
パーツを変更したりして、まだポジションを調整する可能性がある場合は、少し余裕を持たせた厚みのあるスペーサーを残しておくと良いと思います。
例えばステムを交換したい場合でも、メーカーやステムの形状が違えば1cmくらいの違いは出ても不思議ではありませんから、余裕を持ちたい場合は2cmくらいは余分に残しておいた方が良いと思います。
サインペンでコラムにマーキングする
コラムスペーサーの上面がどこになるかをサインペンでコラムに直接マーキングします。
このマーキングの位置がコラムをカットするアタリの位置になります。(注意:実際にカットする位置ではありません。)
一番上のコラムスペーサーを外してカット位置を決める
一番上のコラムスペーサーを一旦外します。
最初にマーキングした位置よりも3mmほど下に改めてマーキングします。
この位置がカットする位置になります。
上記のマーキングの位置でコラムをカットすると、コラムスペーサーをセットした時に、コラムがコラムスペーサーの上面よりも低い位置になってしまいますが、これで正解です。
コラムスペーサーの上面よりも3mm程度低い位置でカットする理由
コラムスペーサーの上面よりも3mmほど下がった位置をカットするのには理由があります。
コラムの長さがコラムスペーサーの上面よりも高い位置にあると、コラムキャップをセットした時にコラムキャップが浮いてしまい、フォークを引き上げられないのです。
しっかりとフレームにフォークを圧着させるためには、コラムスペーサーの上面の位置がコラムのカット面よりも高くなる必要があるのです。
Step.2 長ネジを使用してスターファングルナットを引き下げる方法を理解する
長ネジを使ってスターファングルナットを引き下げる(圧入する)
コラムの中をのぞき込むと、上面から1.5cmほど下がった位置に星形のパーツがあります。
これがスターファングルナットと呼ばれるパーツです。
このパーツはコラムキャップで使用するネジと連結するパーツで、コラムキャップのネジを締めることでフォークを引き上げる役割があり、コラムのカット面から約1.5cm程度下がった位置にセットする必要があります。
つまりは、コラムをカットしてしまうと、本来スターファングルナットがセットされるべき位置ではなくなってしまうため、コラムをカットする分だけスターファングルナットを引き下げる(圧入)する必要があります。
スターファングルナットの圧入はコラムをカットする前におこなう
スターファングルナットを圧入せずにコラムをカットしてしまうと問題が出る場合があります。
スターファングルナットは、コラムの一番上から約1.5cmほど下がった位置に圧入されているので、仮にコラムを2cmカットした場合、カットしたコラムの中にスターファングルナットが入った状態でカットされてしまうことになるのです。
なので、コラムをカットする前にスターファングルナットを所定の位置まで圧入しておく必要があります。
スターファングルナット圧入には、専用工具であるスターファングルナットセッターと呼ばれる工具を使用することになりますが、スターファングルナットセッターは滅多に出番が無いので、わざわざ購入するのがもったいないと考える人もいます。
もちろん持っていれば重宝する工具ではありますが、今回は長ネジを使用してスターファングルナットを圧入するので、スターファングルナットセッターは使用しません。
要するに、長ネジを使用した方法は、工具代をケチるために考え出された方法でもあるのです(笑)。
長ネジを使用してスターファングルナットを引き下げる方法の図解
上図は長ネジを使用してスターファングルナットを圧入する方法についての図解です。
自転車の天地を逆にして、フォークの股が上を向くようにセットします。
前輪のホイールは取り外しておいてください。
フォークの叉の部分の穴に長ネジを差し込んで、コラムにセットされたスターファングルナットと連結させます。
長ネジをスターファングルナットと連結させたら、ワッシャーをフォークの股の部分にセットします。
ワッシャーは長ネジを締め上げた時のストッパーの役割をすることになり、ワッシャーがあるおかげでスターファングルナットを引き下げることができるようになるのです。
なので、ワッシャーの大きさがフォークの叉の間にある穴よりも大きいことを確認してください。
ワッシャーの大きさがフォークの叉の穴よりも小さければ、ストッパーにならないのでスターファングルナットを引き下げることができなくなります。
ワッシャーをセットしたら、次にM6のナットを長ネジに通します。
このナットをクルクルと回していくと、フォークの叉の部分でストッパーになっているワッシャーの位置で止まります。
そこでこのナットをスパナを使って締め上げると、長ネジが少しずつ引き上げられ、長ネジと連結しているスターファングルナットが引き下げ(圧入)ることが出来るのです。
Step.3 フォークの又から長ネジを差し込んでスターファングルナットを圧入する
長ネジを使用したスターファングルナットの圧入方法が理解できたら実践です。
この時に、カンチブレーキやキャリパーブレーキの場合は、作業時に邪魔になるのでブレーキも外す必要があるそうですが、Vブレーキの場合は取り外さなくても作業ができます。
上記の図解のように、長ネジをフォークの叉の間に空いた穴に差し込んでスターファングルナットに接続します。
続いて、ワッシャーとナットを長ネジに通していきます。
フォークとワッシャーの間にはクッションを入れる
この際に、フォークとワッシャーの間にはそれなりに大きな力がかかるため、そのまま作業をしようとするとワッシャーの圧力でフォークに傷がついてしまう可能性があります。
フォークとワッシャーの間にはゴムプレートや厚手のタオルなどを挟み込むとフレームを傷つけなくて済みます。
スターファングルナットを引き下げる位置の図解
スターファングルナットを引き下げる位置は、カットする位置の上面よりも約15mm下の部分になります。
引下げ位置の確認方法
スターファングルナットの位置の確認は目視では難しいです。
コラムの上からペンや割り箸など差し込んでコラムの上辺の位置をマーキングすると、どの程度まで圧入できたかを確認できます。
スターファングルナットの圧入は不可逆なので作業は慎重におこなう
スターファングルナットは、引き下げすぎると元に戻せなくなります。
要するに、最悪の場合はフォークごと交換する必要が出てしまいます。
なので、慌てず作業をせず、慎重に少しずつ引き下げてマメに確認することが大切です。
この作業が終われば、コラムカットの作業は8割程度は終了したも同然です。
Step.4 コラムをカットする
スターファングルナットが所定の位置まで引き下げられたら、次はコラムカットをします。
コラムはパイプカッターでカットできます。
ハンドルをカットする際に使用するような普通のパイプカッターで十分です。
コラムはハンドルよりも太いので、ハンドルをカットする時よりも時間は掛かりますが、慌てず少しずつ圧力をかけながら、根気よくカットすれば良いでしょう。
コラムをカットできた後は、バリを金ヤスリで落として綺麗にします。
バリを取った後は、ステムとコラムスペーサーを重ね、その上にヘッドキャップを取り付けてコラムカットの作業は完了となります。
カーボンフォークについて
カーボンフォークは今回のような長ネジを使用した方法で作業すると割れてしまう可能性があるのでやめましょう。
ちなみにフルカーボンフォークのコラムにはスターファングルナットではなく、コラムの側面に圧着させる方式のプレッシャーアンカーと呼ばれるものが使用されます。