電動アシスト自転車の購入を検討する際、まず押さえておきたいのが「バッテリー容量」です。
電動アシスト自転車は、その名の通りバッテリーによってモーターが駆動し、ペダルを漕ぐ力をサポートします。
そのため、バッテリーの容量が走行距離や使い勝手に直結すると言っても過言ではありません。
容量が大きければ、1回の充電でより長い距離を走ることができるため、頻繁に充電する手間を減らせるというメリットがあります。
しかし、容量が大きくなるほどバッテリー自体の価格も高くなり、車体の重量も増す傾向にあります。
したがって、自分の使用スタイルや走行距離に応じた適切なバッテリー容量を選ぶことが重要です。
電動アシスト自転車のバッテリー容量と走行距離の関係
電動アシスト自転車に搭載されるバッテリーは、リチウムイオン電池が主流で、充電して繰り返し使用できるのが特徴です。
バッテリー容量は一般的に「Ah(アンペアアワー)」という単位で表され、この数値が大きいほど一度の充電で長距離を走行できることを意味します。
ただし、走行可能距離はバッテリー容量だけで決まるわけではなく、走行モードや車両重量、運転者の体重、走行路面の状況、タイヤの空気圧など様々な要因によって変動します。
主要メーカーのバッテリー容量の現状
日本を代表する電動アシスト自転車メーカーであるパナソニック、ヤマハ、ブリヂストンのモデルにおけるバッテリー容量は、2025年現在「25V-16Ah前後」が主流となっています。
この容量は、通勤・通学や買い物、近所の移動といった日常の使用であれば十分な性能を持っており、不満を感じないレベルの容量になっているものと思います。
過去10年を振り返ると、バッテリー容量は徐々に増加してきましたが、ここ数年は大幅な増加は見られません。
その背景には、バッテリーの形状やサイズがモデル間で互換性を保つ必要があり、大きく変更しづらい事情があると考えられます。さらに、現在の主流容量で日常利用に十分対応できているため、容量を増やして車体価格や重量が上がることに対するメリットが薄いことも影響しているのではと思います。
バッテリー電圧の違いと走行性能
バッテリーの容量と合わせて注目したいのが「電圧」です。
子乗せ自転車やシティサイクルでは、25.2V程度のバッテリーが一般的ですが、スポーツタイプの電動アシスト自転車やブリヂストンの「デュアルドライブ」などの両輪駆動モデルでは36Vのバッテリーを採用していることもあります。
電圧が高いほどモーターのパワーが強くなり、坂道や重い荷物を運ぶ際のアシスト力がアップします。
ただし、電圧が上がる分、バッテリーや車体の価格も高くなる傾向がありますので、使用目的に合わせた選択が求められます。
バッテリー容量別の走行距離目安
実際にどれくらいの距離が走れるかは気になるところですが、一般的には次のような目安があります。
● パワーモード(強力アシスト):1Ahあたり約3km
● 省エネモード(エコアシスト):1Ahあたり約6km
例)16Ahの場合
● パワーモード:約40km
● 省エネモード:約100km
バッテリーの持続距離に影響を与える要因
バッテリーの持続距離は、以下のような様々な要因で変化します。
● 走行モード(アシストの強さ)
● 自転車本体の重量
● 荷物の量や運転者の体重
● 道路の勾配や路面状況
● タイヤの空気圧や種類
たとえば、坂道が多いルートや重い荷物を積んで走る場合はバッテリー消費が増えるため、走行距離は短くなります。
逆に平坦な道をエコモードで走れば、長距離走行が可能です。
したがって、メーカー公表の走行距離はあくまで参考値として考え、自身の使い方に合わせて余裕を持って選ぶことが大切です。
バッテリー交換やリサイクルについて
電動アシスト自転車のバッテリーは消耗品のため、数年経過すると交換が必要になります。
交換の目安は通常3〜5年程度ですが、使用頻度や充電方法によって変動します。
まとめ
電動アシスト自転車を快適に使うためには、バッテリー容量の選び方が重要です。
現在主流の25V-16Ah前後の容量は、ほとんどのユーザーの普段使いには十分な性能を持っていますが、走行距離や使用環境に応じて選択するのがおすすめです。
また、ブリヂストンの「デュアルドライブ」など、効率的にバッテリーを長持ちさせる先進的なシステムも登場しており、今後の電動アシスト自転車選びの参考にすると良いでしょう。
ブリヂストン「デュアルドライブ」(両輪駆動)
ブリヂストンの一部モデルには、「デュアルドライブ」と呼ばれる特徴的な両輪駆動システムが搭載されています。
このシステムは後輪だけでなく、前輪にもモーターを搭載しているのが最大の特徴です。
前輪のハブに設置されたモーターは、下り坂などペダルを踏まない状況でも回転し、その運動エネルギーを利用して発電、バッテリーを充電する機能を持っています。
このため、効率的にバッテリーの消費を抑えることが可能となり、通常の電動アシスト自転車と比較して走行距離を大幅に伸ばすことができます。
実際にデュアルドライブ搭載モデルを使用すれば、バッテリー容量にそれほどこだわらなくても、安心して長距離の走行が可能です。
これは、日々の通勤や長距離移動が多いユーザーにとって大きなメリットとなるはずです。
バッテリー容量だけでなく、電圧や走行モード、車体の重量といった様々な要素を総合的に考慮し、自分に合ったモデルを選ぶことが、満足度の高い電動アシスト自転車ライフにつながります。