クロスバイクやロードバイクには沢山のボルトやネジが使われていますが、それらのボルトやネジを交換することが時々あります。
例えば、軽量化のためにチタンやアルミ製にしたり、見た目のアクセサリー的に色の付いたものにしたり、あるいは、錆び付いたものを取り換えたり、いつの間にか脱落して無くしてしまっていたりして、新しいボルトに交換する機会が意外とあるのです。
僕自身が乗っているクロスバイクの場合も同様で、ボルトを交換する必要がある箇所が出てきたので交換使用としたところ、ボルトのサイズや長さが一体どの程度なのかという判断に困ったことがありました。
そこで、ボルトやネジのサイズの測り方についていろいろ調べてみました。
ボルトやネジのサイズの測り方
ボルトやネジのサイズ
一般的なボルトやネジのサイズはJISなどの規格で定められていて、決まったサイズのネジの長さや径、ピッチなどがあり、ネジ穴とネジの規格が合っていなければ使用することができません。
基本的には規格さえ間違わなければ大丈夫ですが、中には特殊なサイズのネジや、インチネジと呼ばれるような、日本ではあまり流通していないような規格のものも混じっていたりして、時として落とし穴になることもあります。
クロスバイクやロードバイクにもいくつかのサイズの異なるネジやボルトが使用されています。このサイズを間違わないようにするためには、しっかりとネジの太さや長さなどのサイズを計測する方法を知っておく必要がありそうです。
参考 ネジ規格と寸法|ネジのサイズからJIS、メートルネジ、インチネジの規格表
ボルトやネジのサイズの測り方
ネジの太さや長さなどのサイズを知るためにはどうすれば良いのでしょうか?実はネジのサイズや太さを図るためのちゃんと測るため道具があるんですね。
ノギスを使用してサイズを計測する
まずは精密にサイズを測定する際に使用する道具の定番とも言えるノギスを使用します。
ノギスがあればボルトやネジの外径、内径、深さ、段差が0.1mm単位で測れるというわけで、ボルトやネジに限らずで、何かのサイズを測りたい時には必須となる出番の多い道具です。
ノギスの値段もピンキリで、精度にこだわるのであればピンそれなりの価格がするものを買っておいた方が間違いないと思いますが、自転車のボルトやネジを測定する程度であればそこまでの精度は求められないと思われるので千円程度の安物でも充分だと思います。
サイズを知りたい時には必須の道具であるため、日常的な使用頻度も多い道具の一つなので、それなりにしっかりとした品質の物を購入しておいた方が良いと思います。デジタルノギスだと目盛りも読みやすくて便利です。
ちなみにノギスで有名なメーカーはミツトヨです。僕が使用しているノギスはシンワのノギスです。
ピッチゲージを使用してネジ幅を計測する
ピッチゲージとはボルトやネジのネジ山の間隔(ピッチ)を測定するために必須な測定機です。
ネジ山の山形に合わせたプレートが十徳ナイフのごとく収納されていて、ネジ山にプレートを当てることで測定出来ます。
ちなみに、日本にあるネジのほとんどはメートルネジと呼ばれるネジで、ピッチ幅をミリで表記しているため、ピッチゲージもミリ対応のものであればほぼ用事が足りることになりますが、海外などではインチ幅のネジが存在するためインチネジに対応したピッチゲージもあります。
自転車の部品の場合、時としてWiggleなどを使って、海外から仕入れることもあるので、カナダ等で流通しているインチネジなどと呼ばれるインチサイズのものが万が一出て来ても困らないように、ミリとインチの両方に対応したピッチゲージを購入しました。
ボルトやネジのサイズを測ってみよう
ステムのボルトのサイズを測ってみる
早速、ステムのボルトのサイズを測ってみることにします。
ボルトを外してみました。
計測せずに「ネジなんてどれも同じ!」と適当にネジを買ってしまうと高確率で無駄になってしまいます。鉄のボルトは安いですからまだ諦めもつきますが、チタンやステンレスのボルトは高いですから失敗はしたくないものです。
まずはボルトのネジ山のサイズを測ります。
ボルトやネジの太さ(径)はネジ山部分の直径サイズで決まります。
ノギスの目盛りの読み方
ノギスの目盛りの読み方を解説しておきます。
まずは下の目盛りの0が指している(1)の数字を確認します。上の画像の場合だと、5弱を指しているのが確認できます。
次に(2)の下の目盛りを確認します。
目盛りのラインの上下がピッタリと一致する番号を探します。上の画像の場合だと、8のラインが上下で一致しているように見えます。
最初に読んだ数字がmmの単位、後の数字が0.1mmの単位です。つまりこのネジの太さ(径)は4.8mmということになります。
ネジの太さ(径)とネジ山のピッチには規格がある
ネジの太さ(径)とネジ山の間隔(ピッチ)には規格があり、太さ(径)を規格に照らし合わせれば、自動的にピッチも判るようになっています。
参考 ネジ規格と寸法|ネジのサイズからJIS、メートルネジ、インチネジの規格表
M4とかM5って何?
計測した太さ(径)4.8mmという情報から、メートルねじの基準寸法を確認したいところですが、基準表を見てもネジ名(ネジ外径)のところはmmではなくてM4とかM5などの記号になっています。
実はこのMはmeterのMだそうで、Mの後ろの数字がmmのサイズを表しています。つまりM4であれば4mm、M5であれば5mmのネジということになります。
4.8mmだからM4.8・・・?
計測した太さ(径)は4.8mmだったのでM4.8を基準寸法のリストから探せば良いんだな・・・と探してみても基準サイズの中にはM4.8なんてものはありません。
「うわぁ・・・まさかの基準外サイズか・・・」と、何も知らない僕は思ってしまいましたが、一般的にネジのサイズは基準サイズよりも小さめに作られているようです。
というのも、ネジ穴とピッタリ同じサイズであると全く遊びが無く、ねじ込めなくなるからだそうで、だいたい0.2mm程度小さめになっているとのこと。
つまりM4のネジであれば3.8mm程度、M5のネジであれば4.8mm程度の太さで作られているのです。よって、ステムに使用されていたネジはM5サイズのネジということが判りました。
基準寸法で確認してみるとM5のピッチは0.8と決まっているのでこのネジはM5/P0.8という規格のネジということになります。
ピッチゲージを使ってピッチを測ってみる
ネジの規格ではM5ネジのピッチは0.8だと決まっているので計測するまでもありませんが、せっかくピッチゲージがあるので計測してみることにします。
ピッチゲージの中から0.8と刻印されたプレートを探し出し、ネジ山に当てて見ると・・・
おおお!
見事にピッタリです!
規格ってすごい!
と妙に感動したりもできます。
ネジの長さを計測する
ネジの長さも計測しておきます。
本当はワッシャーも外して計測した方が良いのでしょうが、そこまでの精密さは必要ないと思われるのでザックリと計測して15mm程度。
上記の計測結果から、M5ネジ ピッチ0.8 長さ15mmという種類のボルトを探せば、問題無く代用ネジとして使用できるものと思われます。
ネジ頭長さを計測する
念のためネジ頭も測定しておきます。
ネジ頭は7.9mmでした。
ちなみにネジ頭は様々な形状があります。このネジは六角レンチで回す為の六角形の穴がネジ頭にあります。いわゆる六角穴付ボルト(キャップボルト)と呼ばれる種類のボルトです。
ネジ頭が平らでネジを締め込んだ際に出っ張りがなくなるようになっているネジは皿ネジと呼ばれるネジです。皿ネジに六角穴があいていれば、六角穴付皿ボルト(皿ネジ)と呼ばれるネジになります。自転車用途ではSPDシューズのクリートを固定するネジなどに使用されています。
M5サイズでピッチ0.8 長さ15mmのボルトを探そう
ステムに使用されていたボルトを計測した結果、M5サイズでピッチ0.8、長さ15mmというボルトが使用されていることが判りました。
このサイズのボルトやネジがあるのかどうか・・・ということで探してみることにしました。
ボルトやネジの販売サイト
一般的なネジが欲しいのであれば、ホームセンターや東急ハンズあたりに行けば見つかると思いますが、なるだけ細かい指定でネジを探すとなると、実際の店舗で探すのはあまり現実的ではないかもしれません。
こういう時にはネットショップが非常に便利で、ボルトやネジ専門の販売サイトが有るんですねえ。
通常のお店では有り得ないほどの種類のボルトやネジがすぐに見つけられるのもインターネットならではですね。規格外の特別なネジでない限りは、下記のサイトで見つけられるのではないかと思います。
ミスミVONA
絞り込み検索機能が秀逸!
http://jp.misumi-ec.com/
検索結果
http://jp.misumi-ec.com/vona2/mech_screw/M3301000000/M3301110000/
ねじナビ
http://www.neji-navi.com/
検索結果
http://www.neji-navi.com/products/detail140122279.html
ねじNO.1.com
50万点の品揃え
https://neji-no1.com/
もちろんAmazonにもありました。
ボルトやネジのサイズの測り方まとめ
クロスバイクやロードバイクのカスタマイズの中ではボルトやネジは小さくて地味な部分ではあります。
しかし、小さなパーツでもシルバーから黒に変更したり、あるいは赤などのアクセントカラーを入れてみたり、ほんの少しの違いでも意外と全体的な雰囲気が変わったりもするもので、ちょっとしたオシャレを楽しむ感覚でできるカスタマイズかと思います。
また、カスタマイズの他にも脱落などで意外と紛失しやすいものなので、きちんとボルトやネジのサイズを計測することができれば適切なボルトやネジを選択することができます。
ボルトやネジを交換しても「誰も見てない」かもしれませんけど「実は俺ボルトを交換したんだぜ、ウフフ」というような密かな楽しみが得られる部分が、実はカスタマイズで最も楽しい部分なのかも・・・と思う今日この頃です。