道路交通法や道路構造令における、自転車道とは、自動車やオートバイ、歩行者などの通行区分から構造的に分離された「自転車専用」の道路のことを指します。
サイクリングロードや、普通自転車専用通行帯(自転車レーン)と混同されることも多いですが、法令的には異なるので注意が必要です。
道路交通法や道路構造令における自転車道とは
自転車道の定義
道路法令(道路法と道路構造令)に規定された、自転車の通行に供される自動車から分離された、各種の道路、または道路の部分を指します。
自転車道とは,自転車が走行するための空間として,縁石・柵等の工作物により物理的に分離された自転車専用の走行空間ということが要件とされているため、区画線や道路鋲によって区画されている「自転車専用車両通行帯」(自転車レーン)や、歩行者も通行できるサイクリングロードなどとは区別されています。
道路交通法 第二条三の三 自転車道
自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
道路構造令第二条第二号
専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分
自転車道の役割
自転車の走行空間が、自動車や歩行者などから分離されているため、自転車利用者が安心して通行することができ、かつ歩行者の安全性も確保できるという役割があります。
自転車道の設けられた道路では自転車は自転車道を通行しなければいけない
原則として、自転車以外の通行ができません。
二輪、または三輪の自転車、および普通自転車サイズ(長さ190cm、幅60cm)以下の四輪自転車で、普通自転車に該当しないもの(これらのうちサイドカーまたはサイクルトレーラー付きを除く)でも、自転車道を通行できます。
道路交通法 第十七条
3 二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、自転車道を横断することができる。
第六十三条の三
車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
(罰則 第百二十一条第一項第五号)
また、自転車道が設けられている道路においては、原則として、自転車は自転車道を通行しなければいけません。
この場合、道路の片側にしか自転車道が整備されていないと、整備されていない側を通行しようとする際の問題などもあるため、基本的に自転車道は両側に整備されるようになっています。
自転車道の逆走は禁止で一方通行が基本
自転車は進行方向の左側を通行しなければいけません。
逆走した場合は、道路交通法違反となり、道路交通法第119条により、3ヵ月以下の懲役か、5万円以下の罰金に処される可能性があります。
双方向通行の自転車道
基本的には一方通行の自転車道ですが、道路の幅などの問題があり、車道の両側に自転車道を設けられない場合や、逆に道路幅に余裕がある場合など、自転車道の中央に破線が引かれ、破線で区切られた左側を通行しなければいけません。
サイクリングロードなどの自転車道
自転車道の整備等に関する法律の場合は、自転車道について、もっぱら自転車が通行するための道路であったり、自転車や歩行者が通行するための道路というように定義されています。
自転車道の整備等に関する法律 第二条
3 この法律において「自転車道」とは、次に掲げるものをいう。
一 もつぱら自転車の通行の用に供することを目的とする道路又は道路の部分
二 自転車及び歩行者の共通の通行の用に供することを目的とする道路又は道路の部分
そのため
● 自転車専用道路(道路法第48条の13第1項)
● 自転車歩行者専用道路(道路法第48条の13第2項)
● 自転車道(道路構造令第2条第2号)
● 自転車歩行者道(道路構造令第2条第3号)
などが、自転車道に含まれることになります。
サイクリングロードの多くは自転車歩行者専用道路
「自転車道」と言われると、一般的には「サイクリングロード」をイメージする人も多いと思いますが、多くのサイクリングロードでは、自転車のほかに歩行者も通行ができるものになり、道路交通法的には「自転車歩行者専用道路」となります。