クロスバイクのフォークをカーボンフォークに交換する手順と方法の最後の手順の解説です。
フォークのコラムをカットした後は、コラムの内側にプレッシャーアンカーの固定、フォークを固定、ブレーキを取り付け、ハンドルを取り付け、ブレーキ調整という流れで進行して作業の完了となります。
コラムにプレッシャーアンカーを固定する
フォークをフレームに固定するためにコラムの内部にスターファングルナットと呼ばれる金具を圧入するのが一般的ですが、今回はスターファングルナットの圧入ではなく「プレッシャーアンカー」と呼ばれるパーツを使用しました。
プレッシャーアンカーとスターファングルナットの役割は同じです。
なので、スターファングルナットを既に圧入している方はプレッシャーアンカーは必要ありませんし、逆もまた然りです。
プレッシャーアンカー
プレッシャーアンカーとは、スターファングルナットを圧入できないフルカーボンフォークなどで使用されるもので、プレッシャーアンカーの中央のボルトを締め上げると、パーツが広がりコラム内部に圧着して固定させることができるものです。
プレッシャーアンカーの固定方法
プレッシャーアンカーをコラムの入り口にセットした状態で、ボルトを締め上げて、少し引っかかりがある程度まで広げてから位置調整をします。
位置調整はスターファングルナットと同じでコラムの先端から約1.5mcほど下がったあたりで固定すれば良いでしょう。
KUWAHARA HIRAMEのマルチプレッシャーアンカー
プレッシャーアンカーは色々なメーカーから販売されていますが、僕が選択したのは日本のメーカーである「KUWAHARA」のマルチプレッシャーアンカーです。
KUWAHARAは、空気の入れやすさで評判のHIRAMEと呼ばれるポンプヘッドのメーカーとして有名です。
KUWAHARA HIRAMEのポンプヘッドについては下記の記事で詳しく解説しています。
ヘッドパーツをヘッドチューブに戻す
ヘッドチューブから取り外していたヘッドパーツを戻します。
ヘッドパーツを戻す前に、きちんと清掃してグリスアップしておきましょう。
取り外した時と逆の順番で戻すようにします。
裏表があるパーツもあるので間違えないように注意しましょう。
ヘッドパーツを全て戻し終えたら、グリスをたっぷりと充填しておきます。
グリスガンなどがあると便利ですが、シマノの「プレミアムグリス」のチューブタイプだと注ぎ口が付いているので、グリスガンが無くても綺麗に充填できると思います。
カーボンフォークのコラムをヘッドチューブに通す
カーボンフォークのコラムをヘッドチューブに通します。
ここまで来ればゴールまであと少しです。
この時点で前輪ホイールをフォークにセットしておいたほうが作業がしやすくなります。
フォークとフレームを固定する
コラムにステムとスペーサーを取り付けて、その上からヘッドキャップを被せてボルトで固定します。
ヘッドキャップは使用していたものをそのまま流用できますが、今回はフォークの交換のタイミングでヘッドキャップも交換しました。
チタン製のヘッドキャップで、ちょっとした高級感があります。
チタンキャップについては下記の記事で解説しています。
ヘッドキャップの固定
ヘッドキャップのボルトを、コラム内に固定してあるスターファングルナットやプレッシャーアンカーと連結して引き上げることで、フォークとフレームを固定することができます。
ガタつきが出やすい部分でもあるので、固定したあとにガタが無いか必ず確認するようにしましょう。
ガタがないかの確認方法
フォークをフレームに固定した後に、前輪を10cmほど上げてストンと落とすことで確認できます。
しっかりと固定されていると、静かに着地すると思いますが、ガタがあるとカタカタと異音が出るはずです。
異音が出る場合は、どこかがきちんと組み合わさってない状態で隙間が出来ていることが考えられます。
確認の際にはフォークを持つとガタがあるかを確認しやすくなります。
チタン製のヘッドキャップも良い感じです。
僕はハンドルまわりなど周辺パーツは全て黒で統一しているのでヘッドキャップにチタンは似合うかどうか不安でしたが、アクセントカラーにもなって思いのほか良い感じになりました。
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ブレーキの取り付けと調整
ブレーキも取り付け前に綺麗に清掃しておきましょう。
ブレーキシューの擦り減り具合や、金属片などの異物が刺さってないかも確認しておくと良いと思います。
ブレーキアームをフォークの台座に取り付ける
Vブレーキ取り付け用の台座にVブレーキのアームを取り付けてボルトを締めます。
ブレーキシューはこの時点では固定していなくて大丈夫です。
ブレーキシューチューナー
ブレーキシューの位置調整は角度を付けたりミリ単位の細かい調整が必要になるので、なかなか面倒な作業ですが「ブレーキシューチューナー」という調整用の便利な道具があり、これを使用するとあっさりと位置調整が出来ます。
ブレーキシューチューナーをリムの外周に引っ掛けてからブレーキシューを合わせることでブレーキシューの上下の位置が自動的に調整できます。
個人的には、この上下の位置調整で失敗してブレーキシューでタイヤを削ってしまいパンクしてしまったことがあるだけに苦手意識がありましたが、ブレーキシューチューナーを使用するとあっさりと調整できて驚きです。
トーインの調整も自動的にできる
ブレーキシューの後ろ側を0.5mmほど浮かせて角度を付ける「トーイン」も、ブレーキシューチューナーを使用すると簡単にセットすることが出来ます。
この状態でブレーキシューを固定します。
そのままではブレーキアームが開いてしまうので、ブレーキワイヤーを仮止めしてブレーキアームが開かないようにしておくと作業がしやすくなります。
写真では判りづらいかもしれませんが、ブレーキシューチューナーを取り外すと、トーインも出てベストな状態で位置調整が出来ています。
ブレーキシューの調整には、是非ブレーキシューチューナーを使用してみてください。
かなりおすすめです。
ブレーキシューチューナーについての解説は下記の記事を参考にしていただければと思います。
ブレーキワイヤーの調整
ブレーキワイヤーを一旦開放して、ブレーキアームを手で押さえ、ブレーキシューをホイールのリムに押し付けた状態でブレーキワイヤーを固定します。
ブレーキワイヤーを固定した状態で数回ブレーキレバーをギュッギュッと握れば、ワイヤーが伸びて丁度良い具合にブレーキシューとリムが離れると思います。
ただし、今回のように新しいブレーキワイヤーではなく既に使用していたブレーキワイヤーをそのまま使用する場合は、既にワイヤーが伸びているので、ブレーキレバーを握ってもブレーキシューがリムから離れてくれないかもしれません。
そんな時にはブレーキシューをリムから1mm程度離したところでブレーキワイヤーを固定します。
ブレーキシューチューナーをした状態でブレーキワイヤーを固定すれば、そのままでベストな状態で調整できる場合もあります。
左右のブレーキシューとリムの隙間が均等になるように調整して作業はひとまず完了です。
あとは前輪を軽く持ち上げて落としてみたり、ブレーキを実際に掛けてみたりして、ガタつきや不具合がないかを確認してください。
Vブレーキの調整方法については下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
クロスバイクのフォークをカーボンフォークに交換完了
クロスバイクのフォークをカーボンフォークへ交換する作業は以上で終わりです。
クロスバイクの改造カスタマイズの中では、コンポーネントの交換に次いで難易度も高く、工程も多くなるため、作業前にはそれなりの下調べと、最後までやり通すという気持ちが必要になると思います。
ただし、圧入作業以外ではそれほど大変な作業はないので、圧入部分だけサイクルショップに持ち込んで、作業をお願いするというのも一つの手だと思います。
工賃は数千円かかると思いますが、工具を購入するのと同じくらいだと思うので、効率を取るか、経験を取るかの違いですね。
僕のように改造カスタマイズもクロスバイクの楽しみの一つと考えている人の場合は、苦労してでも自力でカーボンフォーク化に挑戦してみるべきだと思いますが、単純にフォークだけ交換だけしたい人はお店に頼んでしまうのが良いでしょう。
さて、クロスバイクのフォークをカーボンフォークに交換した後は、クロスバイクの見た目や、どんな風に乗り心地が変化したのかも気になるところと思いますので、また別の記事でレビューしてみたいと思います。
とりあえずの感想としては、クロスバイクに黒ストッキングを履かせたようなセクシーな印象になり、カーボンフォークの自転車ならではの素敵な見た目になったと思います。
ここまで見た目が大きく変わる改造カスタマイズもなかなか無いので、これだけで新しい自転車を購入したかのようなワクワク感がありますね。
関連記事
クロスバイクのフォークの交換についての記事は下記のページでまとめてありますので興味のある方は参考にしてみてください。