自転車の手信号と、ロードバイクなどに乗る人がよく使うローカルルールのハンドサインについてまとめています。
安全に通行するための合図として、自転車に手信号があるのは知っていましたが、クロスバイクを購入するまでは、手信号は「ママチャリに乗ったおじいちゃんやおばあちゃんが実行しているもの」くらいの認識でしかありませんでした。
しかし、ロードバイクやクロスバイクに乗り始めると、ハンドサインはおじいちゃんや、おばあちゃんたちだけが使うものではないことがすぐに分かります。
ピチピチのレーサースーツに身を包んだロードバイクの方々が、路駐されている車を避ける際などに「右に寄りますよ!」のハンドサインを出したり、手を背中に回して手のひらを開いて、後方の自転車に対して停止のサインを出したりする姿を頻繁に目にするのです。
そして、「ビシッ」と手信号を決めるその姿は、周りへの安全の配慮や、自身の安全の確保だけでなく、自転車乗りとしてのマナーの良さを感じさせる格好良い動作にも思えたりするのです。
そんなわけで、今一度、手信号(ハンドサイン)をきちんと学んで、必要な時に正しい手信号を「ビシッ」と決められるようにしたくて、自転車の手信号についてまとめてみました。
自転車の手信号とは
自転車の手信号とは、自転車に乗車している人が腕を伸ばしたり曲げたりすることで、後続の自動車の運転手などに左折や右折、停車などを事前に知らせるための合図のこと。
ご存知のように自転車には、自動車やオートバイなどのように方向指示器がありません。
そのため、後続車からは次の動きが予想できないという問題があります。
この問題を解決するのが手信号で、手信号を使用することで事前に相手に動きを教えることができるので、安全運転につながるというわけです。
道路交通法の自転車の手信号について
自転車の手信号について、法律的にどうなっているかを調べてみたところ、道路交通法では下記のような決まりがあるようです。
第53条 車両(自転車以外の軽車両を除く。第3項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
2 前項の合図を行なう時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。第21条 法第53条第1項に規定する合図を行なう時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
■左折するとき。:その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。
■同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。:その行為をしようとする時の三秒前のとき。
■右折し、又は転回するとき。:その行為をしようとする地点(交差点において右折する場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。
■同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。:その行為をしようとする時の3秒前のとき。
■徐行し、又は停止するとき。:その行為をしようとするとき。
要約すると
● 右折・左折をしようとする30m手前に来た時に合図する。
● 進路変更は、進路変更する3秒前に合図する。
● 徐行・停止は、徐行、停止する時に合図する。
● 動作が終了するまで出し続ける
という感じです。
ここで気になるのが、最後の「動作が終了するまで出し続ける」という点です。
そもそも、手信号を実行するためには、片手運転になるので、その安全性については時々、議論されたりすることもあるポイントです。
片手で、なおかつ手信号を出し続けるのは、運転が未熟な子供や、ただでさえバランスが取れない高齢者などで考えると危ないですよね。
このような場合には、安全運転義務が優先されるので、手信号を出し続けるにこだわらなくても良く、手信号をやめて両手運転に戻すという柔軟な考え方も必要になります。
道交法で定められている自転車の手信号は3種類
道路交通法で定められている自転車の手信号は、右折、左折、徐行・停止の3種類しかありません。
もっと多いと思っていましたが、意外と少ないのですね。
自転車で右折する際の手信号
右折する際の手信号は右手を真横に伸ばします。
進行方向を指で指すとなお分かりやすいと思います。
左手を直角に折った示し方もあります。
自転車で左折する際の手信号
左折する際の手信号は左手を真横に伸ばします。
進行方向を指で指すとなお分かりやすいと思います。
右手を直角に折った示し方もあります。
自転車で徐行・停止する際の手信号
徐行や停車する際の手信号は右手を斜め下に伸ばします。
手のひらを後方に向けた方が、停止するようなイメージが伝わるかもしれません。
いずれもシンプルで理解しやすい手信号になっています。
手信号とは異なるロードバイクなどで多用されるローカルルールなハンドサイン
「え?手信号で三種類しかないの?」と思った方も多いかもしれません。
それもそのはずで、実際に自転車で街なかを走っていると、ロードバイクに乗っている人たちは上記の三種類以外の手信号を使用しているのを見かけます。
実は、ロードバイクに乗っている方々がするような手信号は「ハンドサイン」などと呼ばれているもので、道路交通法で定められている手信号とは異なります。
これらのハンドサインの意味は基本的には同じような意味を示すものとなっているようですが、チームや団体などのローカルルールで決められていていることが多く、同じ動作でも必ずしも同じ意味であるとは限らないというのがポイントです。
なので、無闇に使用すると、逆に混乱を招いてしまうこともあるかと思うので、使用する際にはそのあたりの注意は必要そうです。
それを前提の上で、よく使われたり、見かけたりすることもあるので、ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツバイクはもちろん、自転車に乗るならば、知っておいて損は無いと思われるハンドサインをまとめてみました。
ストップのハンドサイン
腰に手を乗せて、後方に手のひらを見せる。
後続車に対して「ちょっと待った!」というようなイメージですね。
減速のハンドサイン
腰に手を乗せてグーパーさせることで減速のハンドサインになります。
自動車のブレーキランプをポンピングして点滅させるイメージに近いかも知れません。
他にも右斜め下に腕を出して、手のひらを下にして上下させて「スピードダウン」をイメージを伝える、などがあるようです。
右寄せ・左寄せのハンドサイン
左右どちらからに後続車を寄せたい場合や、自分が左右どちらかに移動することを後続に伝える場合は、後方に向かって寄せる方向に手を振るような仕草をします。
右寄せの場合は左手で、左寄せの場合は右手で出すのが基本。
前方に路上駐車してある自動車があるとか、障害物があることを後続車に知らせる際などに有効です。
お先にどうぞのハンドサイン
右手を後ろから前方向にアンダースローのように動かすことで、自分を追い抜いて前に出てください、というハンドサインになります。
障害物を知らせるハンドサイン
道路に石や異物などが転がっている場合に、後続車を危険から回避させる目的として、障害物がある場所や、注意するべき場所を指差して、後続車に知らせるハンドサインです。
目視しながら指示するとより分かりやすくなるでしょう。
例えば、隊列を組んで走行している場合、道路に石や凸凹があったとしても、前を走る自転車で確認ができなかったりします。
知らずに走行して突っ込んでしまうのは危険なので、前を走る人が後続車の安全のために注意を促すわけですね。
ハンドサインまとめ
ハンドサインはあくまでローカルルールによって成り立っているものということを理解して、それぞれに認識が異なったり、全く意味不明なものもあると思います。
なので、ハンドサインは「必ず伝わるモノ」とは思わない方が良さそうです。
時として誤解を招き、逆に危険を招いてしまうことにも成りかねないので、これらのローカルルールのサインは公道で他人に対して行なうのではなく、あくまで共通認識の取れたチーム内や仲間内で使用することに留めた方が良いでしょう。
自転車で使いたい手信号(ハンドサイン)についてのまとめ
「手信号」と「ハンドサイン」で多少の差はあるものの、いずれにしても自身の安全の確保と、周囲の人への配慮が基本にあると思います。
ハンドサインはローカルルールなので活用する場面は少ないと思いますが、少なくとも、道路交通法で定められた3つの手信号くらいは完璧にマスターして、日頃から励行して習慣づけるだけでも、安全度は格段にアップするでしょうし、自転車のマナーの向上にも繋がるのではと思います。
「右折」「左折」「徐行・停止」の3種類の手信号については、自動車の免許を取得する際にも教わる内容ですし、教則本にも書かれている内容なので、自動車やオートバイの運転手でも手信号の意味を知っている人は多い(というか知ってないといけない)ので、後続の自動車やオートバイなどに自分の意思を知らせるにはかなり有効なはずです。
一人一人がちゃんと実践することで、手信号を出すことが当たり前になれば、より安全で快適な自転車ライフに繋がるのではないかと思います。
そのためにも、しっかりと手信号を励行していきましょう。
ちなみに、手信号は中途半端に出すよりも、思い切ってビッ!とハッキリと出した方が断然格好良いです。