クロスバイクの改造カスタマイズの一つの砦、僕にとっては最後の砦となるフロントフォークの交換のためにTNIのVブレーキ対応のカーボンフォークを購入しました。
カーボンフォークは様々なメーカーから販売されてはいるものの、基本的にはロードバイク用のものがほとんどなため、フォークに取り付けられるブレーキはキャリパーブレーキかディスクブレーキのものばかりが見つかり、クロスバイクのブレーキと同じVブレーキに対応したカーボンフォークは数える程度しかありません。
見つかったとしても価格が数万円してしまうものが多く、クロスバイクの改造カスタマイズのための出費と考えると少々ハードルが高くなります。
そんな中でTNIというメーカーのVブレーキ対応のカーボンフォークはその他のVブレーキ対応フォークと比べると価格も手頃であることや、コラム部分がアルミ製なので扱いやすいこともあり、クロスバイクのフォークをカーボンフォーク化しようとする人にとっては最もお手軽な選択肢になるかと思います。
僕自身も愛車のクロスバイクのカーボンフォーク化のために、このTNIのVブレーキ対応のカーボンフォークを選択したので紹介してみたいと思います。
TNIのVブレーキ対応カーボンフォークを選択した理由
Vブレーキ対応カーボンフォークはあまり製造されていない
クロスバイクのVブレーキ対応カーボンフォークの種類があまりにも少ないために、中国の通販サイトなどでもカーボンフォークを探していました。
残念ながら中国の通販サイトでもVブレーキ対応のカーボンフォークはほとんど見つけられませんでした。要するに現状としてVブレーキ対応のカーボンフォークは世界的にあまり製造されていないというのが実情のようです。
いくつものサイトを探してもなかなか見つからないため半ば購入を諦めかけていましたが、ようやくひとつのメーカーを見つけることができました。
しかし、見たことも聞いたこともないメーカーだったので念の為調べてみると、折れたカーボンフォークやカーボンハンドルの画像がいくつも出てきてしまいました。
激安な中華製カーボンの場合、粗悪な製品も多く紛れていることが多いようで、そのメーカーを名指しして注意を促す情報もチラホラと見かける始末。流石に購入する気にはなれませんでした。
国内でも名前の通ったTNIというメーカー
やはりそれなりに名前を聞いたことがあるレベルのメーカーの製品を購入するのが安心というわけで、中国の通販サイトで探すのをやめて、国内でも購入できるTNIのカーボンフォークにたどりつきました。
TNIというメーカーは自転車用のパーツやアクセサリーなどを幅広く製造しています。TNIはTechnologies Needs Ideasの略だそうで、アメリカのメーカーだと言われているようですが定かではありません。
TNIもメーカーサイトが見つからないので若干の不安はあるのですが、それでも日本国内の販売店やWEBショップなどで多く取り扱われていたりするメーカーなので、それなりに信頼がおけそうな感じです。
購入しやすい価格
クロスバイクのVブレーキに対応したカーボンフォークの値段は一般的なキャリパーブレーキなどに対応したカーボンフォークと比べると値段が高いです。
オークションなどでもたまにしか出品されていませんし、見つかったとしても状態の良いものは高値がついてしまいます。
フルカーボンフォークであれば25,000円〜50,000円ほどで見つけることができますが、流石にクロスバイクにそこまで投資する必要があるかと言われると僕の場合でも躊躇してしまいます。
有名メーカーの3Tあたりのカーボンフォークでも手が届きそうな価格になりますし、下手すると高級メーカーのENVE(エンヴィ)のカーボンフォークだって買えてしまう価格です。そう考えるとロードバイクのパーツをグレードアップさせる資金に回したほうが幸せになれる気がするのです。
しかしTNIのハイブリッドカーボンフォークであれば15,000円程度の格安な価格で手に入れることができるのです。逆に言えば、クロスバイクを安価にカーボンフォーク化しようと思うとVブレーキを諦めるか、このTNIのカーボンフォークを選択するしかありません。
ハイブリッドカーボンフォークとはコラム部分がアルミ製で、ブレード部分がカーボン製になっているもので、フルカーボンフォークよりも重量は重くなるものの、取り扱いに関しては楽になり、価格も手頃というところがメリットになると思います。
残念ながら2021年2月現在でTNIのカーボンフォークは廃番になってしまっているようで、実質ワンバイエスのカーボンフォークを選択するしかありません。
GIANT社のクロスバイクのESCAPE R3に使用した人がいる
製品レビューや改造カスタマイズを行った人のブログなどでGIANT社のクロスバイクのESCAPE R3に使用した人がいるという情報が見つかりました。
同じGIANT社のクロスバイクのESCAPEシリーズ(僕のはESCAPE Airですが基本的にはESCAPE R3と同じ)で使用した人がいるという情報は、間違いなく使用できるという確約が得られたと同じくらい貴重な情報になります。
もちろん不確かな情報が紛れていることも少なからずありますが、それでも使用例があるということは、僕のような素人の改造カスタマイズをおこなう人にとっては非常に有益な情報となるのです。
フォークのスペックがGIANT社のESCAPE R3のフォークと近い
GIANT社のオフィシャルな情報は見つけられなかったのですが、ESCAPE R3などのフォークの情報を拾い集めるとだいたい下記のようなスペックです。
GIANT社ESCAPE R3のフォーク
● オフセット 45mm
● コラム径 1 1/8インチ
● 肩下寸法 390mm-395mm前後
TNI 12Kシクロカーボンフォーク (27)
● オフセット 45mm
● コラム径 1 1/8インチ
● 肩下寸法 397.35mm
TNIのフォークと比較してみるとGIANT社ESCAPE R3のフォークかなり近い数値です。
肩下寸法
特に重要なのは肩下寸法と呼ばれるフォークの肩部分から先端までの長さで、この長さが違っていると最悪の場合タイヤが装着できません。
無事に装着出来たとしてもフレームの角度など全体的なポジションに影響が出るので、同じような条件で乗るためには出来る限り同じ肩下寸法のフォークを使用するのが望ましいのです。
例えば一般的なロードバイクに使用されているフォークの場合、この肩下寸法が370mm程度が標準的な寸法です。これをESCAPE R3などの肩下寸法が395mm程度のクロスバイクに使用した場合20mm以上の差があります。
そうすると上記の図のように、支点となる後輪のハブ部分を中心にして反時計回りに下がるのでヘッド角など諸々の角度が変わるため、乗り心地などにも影響が出てしまいます。
その点、TNIのカーボンフォークの場合だとクロスバイクのESAPE純正のフォークと肩下寸法の数値が近いので、フォークを交換した場合でもポジションや乗り心地に影響がほとんど出ないと言えるでしょう。
TNIのVブレーキ対応カーボンフォークはクロスバイクの700Cタイヤで使用できるのか?
TNIのVブレーキ対応カーボンフォークを購入しようとする際に気になる点がありました。
商品の情報を見ると27インチと書いてあります。
ご存知の通りでクロスバイクの標準的なタイヤサイズは700Cと呼ばれるもので27インチとは基本的には互換性がありません。
27インチ用と700Cの互換性
リムの外径
● 27インチ 630mm
● 700C 622mm
リムのサイズはわずかですが27インチの方が700Cよりも大きくなります。さらに27インチの方がタイヤが太いため、タイヤを履かせると、その差はさらに大きくなります。
そのため27インチと700Cとでは互換性がなく、それぞれに対応したフォークを使用するしかありません。
不確かな情報ですが、例外的に700Cタイヤは27インチ用のフォークで使用できるという話もあるようです。考えてみればリムの位置なども大きな差がないのでブレーキシューの位置も調整次第でどうにかなりそうな気もします。
しかし、仮にそんなことが出来たとしても、基本的な互換性の無い状態で乗るのは不安が付きまといますから、できるならば避けたい状況というのが本音です。
本当に大丈夫かな・・・という少し不安もありましたが、使えなかったらそれはそれで勉強になるということで購入してみることにしました。
TNIのVブレーキ対応カーボンフォーク
TNIのVブレーキ対応カーボンフォークが届きました。
早速、箱から出してみました。
コラム部分がアルミでブレード部分がカーボン製のハイブリッドカーボンフォークです。
700C用でした
最も気掛かりだった27インチ用なのか、それとも700C用なのかですが、コラム部分に巻かれた仕様を表す表には700Cにチェックが入っていました。無事にGIANT社のクロスバイクのESCAPEにも使用できそうなので、まずは一安心です。
コラム径は1と1/8インチで、クロスバイクやロードバイクで使用される標準的なサイズのコラムになります。
重量
重量を計測してみました。
フォーク保護用のパーツなどは外した状態で驚きの707g
カーボンフォークらしからぬ重さです(笑)。
コラムをカットする前とは言え、けして軽いとは言えない重量です。さらにオフィシャルのスペックの695gよりも12gも重いです。
Vブレーキ対応のフルカーボンフォークの場合だと450g~500gくらい、アルミコラムのカーボンフォークでも600g台前半が標準的な重量と考えると、どうしてそんなに重たいのかと思ってしまうレベルですね。
アルカーボンかも
またまた情報は定かではありませんが、いわゆるアルカーボンの可能性もあるとか。
アルカーボンとは一般的に2つの意味で使われるようで、一つはコラムがアルミでブレードがカーボンのようなハイブリッドタイプのものを指す場合と、見た目はカーボンだけど中身はアルミのなんちゃってカーボンのものを指す場合とがあるようです。
しかしながら個人的にはアルカーボンではないんじゃないかなと思います。
中身がアルミだと考えると、その割には中途半端に軽いですし、せっかくカーボンに偽装するならわざわざ12Kというカーボンを使わずに、より価値があるように見える3Kカーボンあたりを使うんじゃないかと思うのです。
カーボンの種類
3Kカーボンや12Kカーボンというのはカーボンファイバーの束の数の違いで、Kの前の数字が少なくなるほどより細かなカーボン柄になります。一般的にイメージされるカーボン柄は3Kカーボンあたりになると思います。
カーボン柄と音の変化
カーボン柄を良くみると、肩口あたりからグラデーションでカーボン柄が消えています。
そしてブレード部分を指で弾くと、カーボン柄が無い部分は金属音のような「カンカン」「キンキン」というやや高くい音がするのに対して、カーボン柄が見え始めるあたりから徐々に音が変わり。プラスチックのような「コンコン」という少し籠もった音に変わります。
つまりは、一応カーボン製だけれどアルミを使用した部分が多いので重量増になっているんじゃないかなという気がします。でも本当のことは分かりません。
カーボン柄
ブレード部分のカーボン柄は12Kカーボンらしい太めの格子柄になっています。
一般的にイメージされるカーボン柄と比べると格子が太いので好みが分かれるところだと思いますが、他に選択肢はありませんし、カーボン柄はカーボン柄なので良しとします。
ちなみにこのTNIのカーボンフォーク無地なのでTNIのロゴなどもプリントされていません。
個人的には派手にプリントされたデザインはあまり好きではなく無地かステルス系のものを探していたのでドンピシャな感じです。
Vブレーキの台座
Vブレーキ対応なのでVブレーキの台座があります。
台座の有る無しで価格が大きく変わるわけですから、考えようによってはこの台座が一番高いとも言えるかもしれませんね。
ベントタイプのフォーク
フォークのブレード部分は湾曲したベントタイプです。
昨今はストレートタイプが多いようですが、クロスバイクにはやはりベントタイプが似合うと思います。
GIANT社のクロスバイクのESCAPE R3なども同じセットバックが45mmのベントタイプなので、フォークを交換しても基本的には同じ状態で乗れるというのもこのフォークの良いところですね。
その他
その他のフォークの細かい部分のアップです。
特に気になるような部分もなく全体的に良い感じだと思います。
TNIのVブレーキ対応のカーボンフォークのまとめ
今回購入したTNIのカーボンフォークはスペックだけではなく見た目も僕が現在愛用しているGIANT社のクロスバイクであるESCAPE Airに近いものなので、色が白から黒に変わる以外は特に大きくイメージが変わりそうにないのもポイントの一つだと思います。
重量に関してはその他のカーボンフォーク比較すると、ちょっと不満も残るところではありますが、Vブレーキ対応のカーボンフォークの場合は選択肢があるだけでも有り難いと思わなければいけないのかもしれません。
何はともあれ念願のフォークを手に入れたので次はいよいよ組み立てとなります。
フロントフォーク交換に関する関連記事一覧
参考 フロントフォークに関する基礎情報
参考 カーボンフォークにするメリット
参考 Vブレーキ対応のカーボンフォーク
参考 フォーク交換のために必要な工具
参考 作業1 フォークの取り外し
参考 作業2 クラウンレースを外す
参考 作業3 ヘッドパーツの取り外し
参考 作業4 クラウンレースの圧入
参考 作業5 スターファングルナットの圧入
参考 作業6 ブレーキ調整他
参考 カーボンフォークに交換した結果