東京都が「自転車専用レーン(自転車専用通行帯)を増やしますよ」と数年前に宣言した通り、目に見えて判るペースで、いろいろな場所に自転車専用レーンが見られるようになりました。
それとともに、僕がクロスバイクに乗り始めた頃と比べると、格段に自転車にとって走りやすい環境が出来上がりつつあるように感じる今日この頃です。
さて、僕は自転車専用レーンが大好きです。
「自転車だけの道」「自転車専用の道」「他の乗り物が走れない道」という特別感や、後方からの自動車のプレッシャーからも逃れられるという開放感で、自転車レーンを走るだけでもテンションが上がってしまうのです。
しかし、そんな素敵な自転車専用レーンですが、時としてテンションが下がってしまうような状況もあったりします。
それは、自転車レーン上に停められた駐停車車両です。
大抵の場合、自転車専用レーンを塞ぐように駐停車されているため、自転車専用レーンを走る自転車は、自動車を避けるために大きく車道にはみ出して走行したり、交通状況によっては足止めを強いられることもあります。
「自転車専用レーンの駐停車車両ってどうなの?」「道路交通法違反なの?セーフなの?」という疑問があったので調べてみました。
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)とは
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)とは、文字通り自転車専用の道で、基本的に自転車以外の車両が通行することができない場所で、車道の一部として扱われています。
道路交通法第 20 条第 2 項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、自転車が通行しなければならない車両通行帯として指定された車両通行帯のこと。
自転車用の道路のパターン
自転車用の道路と言ってもいくつかのパターンがあります。
「車道」や「歩行者道」と「植え込みや縁石」などで仕切られている道は「自転車道」であって、「自転車専用レーン(自転車専用通行帯)」とは区別されています。
「自転車専用レーン(自転車専用通行帯)」は車道の一部であり、道路標識によって自転車のための通行帯が設けられている道路を指します。
ちなみに「歩道」に「自転車マーク」が書かれていたりする場合がありますが、これに関しても「自転車歩行者道」であって、自転車専用レーンとは区別されています。
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)の駐停車車両
自転車専用レーンを走行していると、自転車専用レーン(自転車専用通行帯)に駐停車している自動車に出くわします。
自転車に乗る身からすれば、はっきり言って邪魔な存在なのですが、道路交通法的にはどのようになっているでしょうか?
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)の通行について
自転車専用レーンは、自転車の専用道路として指定されているので、普通自動車や自動二輪などが通行することができません。
もちろん、車道の一部なので、歩行者も通行してはいけません。
要するに、自転車だけが通告することができる場所なのです。
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)への進入について
車道沿いのお店に入る場合や、救急車などの緊急車両に道を開ける場合、交通状況によりやむを得ない場合などは、自転車専用レーンへの進入が許可されています。
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)での駐停車について
今回の本題でもありますが、予想通りというか、曖昧な感じで、解釈の仕方によって意見が分かれる所があるようです。
基本的な考え方としては「駐停車禁止の指示がなければ、自転車専用レーンへの駐停車は特に問題が無い」という考え方になるようですが、行政関連の資料を漁っていると、その判断が正しいのかどうなのか迷うようなものも見つかります。
例えば、神奈川県茅ケ崎警察署の場合は、自転車専用レーンの説明として、自転車専用通行帯は駐車禁止とホームページやチラシなどで明記しています。
ただ、これはあくまで神奈川県茅ケ崎警察署の管轄内にある自転車専用レーンのある区間が駐車禁止区間であるというのが理由のようで、自転車レーンかどうかは関係なく駐停車禁止の道だから駐停車してはいけないというだけのお話と思われます。
次に金沢市の自転車のルールを知ろう!というページでは、5分以内の停車は認められているものの、駐車は禁止であるとしています。
また、戸田市議会議員の真木大輔氏のブログでは第20条第2項&第47条第1項を根拠に『自転車レーン上での駐車と停車は、本来どちらも「道路交通法違反」です。』としています。
(路線バス等優先通行帯)
第二十条の二 道路運送法第九条第一項 に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号 に規定する路線定期運行の用に供する自動車その他の政令で定める自動車(以下この条において「路線バス等」という。)の優先通行帯であることが道路標識等により表示されている車両通行帯が設けられている道路においては、自動車(路線バス等を除く。以下この条において同じ。)は、路線バス等が後方から接近してきた場合に当該道路における交通の混雑のため当該車両通行帯から出ることができないこととなるときは、当該車両通行帯を通行してはならず、また、当該車両通行帯を通行している場合において、後方から路線バス等が接近してきたときは、その正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに当該車両通行帯の外に出なければならない。ただし、この法律の他の規定により通行すべきこととされている道路の部分が当該車両通行帯であるとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。(停車又は駐車の方法)
第四十七条 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html
上記の道路交通法を根拠に自転車専用レーンでは駐停車禁止だと判断するのも理解出来るのですが、自転車専用レーンの存在自体を想定していないような気がするのですよね。
また、多くの資料に目を通して見ると、殆どの場合が、自転車の走行空間の確保をするためには、駐停車禁止規制等の検討や制定が必要、というような書き方をしているため、やはり「規制が無い場合は駐停車出来る」と考えるのが正しいように思われます。
自転車専用レーン(自転車専用通行帯)の駐停車は違反か?のまとめ
いろいろとグレーな部分が多い自転車関連の交通ルールですが、自転車専用レーンの駐停車問題も、その他のグレーな問題と同様に曖昧さを残しているような印象です。
僕個人的な意見で言えば、自転車レーンの駐停車は違反であって欲しいのですが、多数の意見を総合すれば、駐停車違反の指定が無い限りは、違反ではないというような解釈になっているようで、実際問題で取り締まりも行なわれていないように思います。
しかしながら、自転車専用レーンに駐停車車両があると、自転車は車道の方に大きく膨らむ必要があり、自転車専用レーンを走ると反って危ないという指摘もあったりします。
そんなわけで、自転車レーンの駐停車車両が問題化していることもあり、自転車専用レーンの駐停車問題を取り上げたニュース記事もチラホラと見かけます。
このような問題は、自転車の利便性を大きく損なうものでもあるので、声を上げて行くのが一番かなと思ったりもしています。
声を上げることで、問題が顕在化してくれば、行政も動かざるを得なくなるでしょうから、何らかの対策が講じられるようになると思うのです。
「自転車レーンの駐停車車両は危ない」ということを自転車利用者がアピールしていくことで、ルールが明確化されたり、自転車専用レーンへの駐停車は禁止になったりするなどの動きが出てくるのではないかと思います。
そのような地道な運動は、より安全で快適な自転車環境を築いていく上で大切なことかもしれませんね。