クロスバイクのフォークを、カーボン化するための手順解説の3工程目。
ヘッドチューブに組み込まれている「ヘッドパーツ」を取り外します。
ヘッドパーツには、細かなパーツが含まれるので、組み立て順が分からなくならないように注意しましょう。
ヘッドパーツを取り外す
フォークの交換の際に、フォークのコラムの形状が変わらなければ、ヘッドチューブに組み込まれている、ヘッドパーツは外さなくても、フォークの交換は可能です。
しかし、ヘッドチューブはいつの間にか、土ぼこりや砂利などが紛れ込んでいて、真っ黒な状態になっていたりすします。
なので、せっかくの機会ですから、ヘッドパーツを取り外して、汚れている部分は全て綺麗に清掃した方が良いでしょう。
ヘッドパーツの構成
ヘッドチューブに組み込まれているのは、上図の(3)群と(4)群になります。
その中の「上ワン」と「下ワン」は、ヘッドチューブに圧入されているので、専用工具を使用しないと外れません。
(3)群は、コラムをヘッドチューブから抜く前に外してしまっても良いですが、コラムを抜いた後の方が作業がしやすいと思います。
(4)群は、コラムを抜く際にフォークコラムにくっついて一緒に抜け落ちることもあります。
一緒に抜けても問題はありませんが、セットされている上下の向きが分からなくならないよう、写真を撮るなどして、ヘッドチューブに戻す際に間違わないようにしておきましょう。
外したヘッドパーツのパーツを順番通りに並べる
ヘッドチューブから取り外したヘッドパーツを、取り外した順に並べてみました。
上記の写真には、圧入されている「上ワン」と「下ワン」は含まれていないのと、上の図のヘッドパーツとは、少し構成が異なります。
メーカーによって「コンプレッションリングな」どの数が違う場合があるためですが、基本的には同じような構成なので、取り外した順番通りに元に戻せればそれで良いと思います。
ヘッドチューブから取り外したヘッドパーツは、取り外した順に並べておくと、元に戻す時には逆から戻せば良いだけなので取り付け順を間違うことがありません。
裏表も間違いやすいので、順番だけでなく、上向き下向きを間違わないように並べるようにしましょう。
僕は取り出したパーツは上下を回転させたりはせず、そのままの向きで置くようにしています。
ヘッドパーツのパーツを綺麗にする
パーツが汚れている場合は、ウェスやワイプオールなどで綺麗にしておきましょう。
ワイプオールとは、キッチンペーパーのような使い捨てのできる「紙ふきん」です。
丈夫なうえに毛ぼこりなども出ずらいため、自転車のメンテナンスでは非常に便利なアイテムです。
様々な場面で活躍するので、一つは常備しておきたいものの一つです。
ワイプオールについての情報は下記の記事でまとめています。
ワイプオールで汚れを拭き取りました。
綺麗になるって良いですね。
日頃は隙間がなくて目に見えない部分なので、汚れているなんて想像もしていませんでした。
しかし、長い距離を走っていると、いつの間にかホコリがパーツ内に入ってしまうのです。
年に一度は、オーバーホール的に全てのパーツをバラして、清掃するくらいのことはした方が良いなと改めて思いました。
ヘッドパーツ全体の交換について(今回の作業では無し)
フォークコラムとヘッドパーツはセットで考える
フォークコラムの規格と、ヘッドパーツはセットで考えるべきものです。
今回は、交換前と交換後で同じ形状のフォークコラムを使用しているので、圧入されている「上ワン」と「下ワン」をそのまま流用できます。
そのため、今回はヘッドパーツ全体を交換する作業は行いませんが、念の為、ヘッドパーツ全体の交換手順を下記にまとめておきます。
まずは基礎知識として、フォークコラムには「アヘッドスタンダード」や「テーパード」などいくつかの規格があり、それぞれに形状が少しずつ異なります。
ヘッドパーツも、それぞれの規格と適合したものを使用する必要があります。
それぞれ独自の規格なので、互換性がありません。
フォークコラムの形状が異なる場合は、新しいフォークコラムに適合したヘッドパーツを使用する必要があるのです。
ヘッドパーツには、様々なタイプ(ノーマル、アヘッド、インテグラル)があり、それぞれに少しずつ作業方法が異なります。
まずは、自分の自転車に、どのタイプのヘッドパーツを取り付けるかを理解した上で、作業に取り掛かる必要があります。
ここでは、GIANT社のESCAPEシリーズと同じアヘッドタイプ(スレッドレス)のヘッドパーツの交換方法についてまとめています。
アヘッドの基本的なサイズ
作業の前に、基本的な「アヘッド」のサイズと、各部の名称について記載しておきます。
GIANT社のESCAPEシリーズは「オーバーサイズ」と呼ばれるフォークコラムが採用されています。
オーバーサイズは、アヘッドタイプの基本的なサイズで、上ワンと下ワンは同じサイズになります。
一方、ロードバイクのカーボンフォークなどは、上ワンが「オーバーサイズ」、下ワンが「ワンポイントファイブ」など、上ワンと下ワンのサイズが異なっているフラスコ型をしたテーパードタイプのコラムが多くなっています。
コラムの代表的なサイズ
ヘッドチューブ内径 30.0mm
クラウンレース外径 27.0mm
コラム径 25.4mm
ヘッドチューブ内径 34.0mm
クラウンレース外径 30.0mm
コラム径 1-1/8インチ/28.6mm
ヘッドチューブ内径 37.0mm
クラウンレース外径 33.0mm
コラム径 1-1/4インチ/31.8mm
ヘッドチューブ内径 49.6mm
クラウンレース外径 39.8mm
コラム径 1-1/2インチ/38.1mm
ヘッドパーツ全体の交換に必要なもの
専用工具に関して
ヘッドパーツ交換のためには、「ヘッドパーツリムーバー」や「ヘッドパーツ圧入工具」などの専用工具が必要になります。
自転車改造カスタマイズではよくあるように、ホームセンターで、長ネジやワッシャーなどを購入して作るDIY工具でも作業はできます。
僕自身、そのようなDIY工具を使用した方法で作業を行うこともありますが、基本的には、専用工具を使用した方が絶対的に作業が正確&効率的になると思います。
ヘッドパーツリムーバーとヘッドパーツ圧入工具のいずれも、2,000円程度のものも見つけられるので、DIY工具で不安とともに作業をするよりは、専用工具を購入した方が良いと思います。
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ヘッドパーツ全体の交換手順
上ワンと下ワンを取り外す
ヘッドチューブに圧入されている上ワンと下ワンを、ヘッドパーツリムーバーを使用して取り外します。
ヘッドチューブ内に、ヘッドパーツリムーバーを挿入して、金槌で叩くことでワンが外れます。
鉄パイプの先がホウキのようにササクレ立った工具(ヘッドパーツリムーバー)を、ワンが圧入されているヘッドチューブに挿入することで、圧入されているワンを押し出せるのです。
上ワンと下ワンを圧入する
ヘッドチューブにグリスを塗った上ワン下ワンをセットして、圧入工具でサンドします。
その後に、ヘッドパーツ圧入工具を締め付けていくことで、ヘッドチューブに上ワンと下ワンが圧入できます。
作業のまとめ
ヘッドパーツは細かいパーツに分かれているので、パーツを紛失したり、順番や上下を間違えたりしやすいので、パーツを順場で並べるなどしてミスを防ぐようにしてください。
万が一のために、作業前と作業途中などで写真を撮っておくと、分からなくなった時には元に戻せる保険になります。
ヘッドパーツを全て交換する必要があるのか無いのかで、作業工程や難易度が大きく変わりますので、そのあたりを踏まえたパーツ選びをすると良いでしょう。
今回の作業では、クロスバイクのESCAPE純正のフォークコラムと同じ規格のフォークに交換したため、ヘッドパーツはそのまま流用しています。
しかし、もしも新しく交換するフォークがフルカーボンフォークだったりした場合、おそらくフォークコラムはフラスコ型のテーパードタイプだと思われるので、ヘッドパーツ全てを交換する必要があるかもしれません。
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次はいよいよフォーク交換作業の中で最も難易度の高いクラウンレース(下玉押し)の圧入になります。
クロスバイクのフォークの交換についての記事は下記のページでまとめてありますので興味のある方は参考にしてみてください。