クロスバイクのフォークの交換方法の基礎的な情報についてまとめています。
ヘッドパーツの基本的な理解
各部位の名称
一般的な自転車のフォークとヘッドパーツの構造は上記の図のようになっています。
部位が分からないことには説明をまとめても意味不明になってしまうので、まずは基礎知識として名称と構造を理解する必要があります。
ポイントとなるのは、上ワンと下ワンと呼ばれるパーツと、フォークのコラムのタイプとサイズです。
ヘッドパーツ周りの各部位のサイズと規格
ヘッドチューブやコラムのサイズ(規格)によって使用できるフォークのサイズ等が異なります。
代表的なものが「ノーマルヘッド」と「アヘッド」の二種類になります。
それぞれに異なる規格が採用されているので、規格の違いに注意する必要があります。
ノーマルヘッド(スレッド、ねじ切り)
名称 | ヘッドチューブ内径 | クラウンレース外径 | コラム径 |
---|---|---|---|
ノーマルサイズ--ISO(イングリッシュ/イタリアン) | 30.2mm | 26.4mm | 25.4mm |
ノーマルサイズ-JIS | 30.0mm | 27.0mm | 25.4mm |
オーバーサイズ | 34.0mm | 30.0mm | 28.6mm/1-1/8インチ |
オーバーサイズ | 37.0mm | 33.0mm |
アヘッド(スレッドレス)
名称 | ヘッドチューブ内径 | クラウンレース外径 | コラム径 |
---|---|---|---|
ノーマルサイズ-JIS | 30.0mm | 27.0mm | 25.4mm |
オーバーサイズ | 34.0mm | 30.0mm | 28.6mm / 1-1/8インチ |
スーパーオーバーサイズ | 37.0mm | 33.0mm | 31.8mm / 1-1/4インチ |
ワンポイントファイブ | 49.6mm | 39.8mm | 38.1mm / 1-1/2インチ |
フォークコラムの形状
フォークコラムの形状は、「ストレート」と「スレッド」と「テーパード」の3タイプがあります。
最近のコラムの形状は、テーパータイプのものが主流になっているように思われます。
テーパータイプとは、フォークのコラムの根元部分が太く、先になればなるほど細くなっています。
対応したフレームでないと根本まで嵌めることができません。
ほとんどのロードバイク用のカーボンフレームは、ヘッドチューブの形状がテーパータイプに適合するような形になっていると思います。
念の為、私が所有しているGIANT社のクロスバイクのESCAPEシリーズのコラムの形状はストレートコラムなので、テーパータイプのフォークを使用することはできません。
フォークコラム径
GIANT社のクロスバイクのフォークは、オーバーサイズと呼ばれるもので、コラム径は28.6mm (1-1/8インチ) です。
現在のロードバイクをはじめとした、スポーツバイクでは標準的なサイズになります。
適応タイヤサイズ
フォークには、対応したタイヤのサイズがあります。
クロスバイクで使用する700Cのタイヤサイズに適応したフォークを選びます。
肩下寸法とクリアランス
フォークの肩から足先までのサイズを、「肩下」とか「肩下寸法」などと呼びます。
一般的なロードバイク用のフォークの肩下は、約370mm程度が標準なのに対して、クロスバイクのESCAPEシリーズなどは、約395mm程度となります。
肩下寸法にはきっちりとした規格は特に無いようですが、肩下寸法は、タイヤとフォークの又の部分のクリアランスに関わってきます。
つまり、使用するタイヤのサイズ(太さ)に合わせたサイズになっているので、想定していないサイズのタイヤを使用すると問題が起きる場合があります。
例えば、ロードバイクで一般的なタイヤサイズ(太さ)は23Cや25Cなのに対して、クロスバイクは28Cや32Cなどのタイヤが使用されたりもします。
タイヤの太さが変わると、タイヤに空気を入れた際のタイヤの高さも変わってくるため、肩下寸法が長くないとタイヤとフォークが干渉してしまうということになります。
一般的に、ロードバイクよりもクロスバイクの方が太いタイヤを装備することになるので、ロードバイクのフォークの肩下寸法よりも、クロスバイクのフォークの肩下寸法の方が長くなっています。
クロスバイクのフォークの肩下サイズは395mm前後
肩下寸法の短いフォークでも使用できる
肩下寸法の短いフォークを使用すると、フレームが肩下寸法の差だけ前のめりになってしまいます。
ステム角度やヘッドチューブの角度、BBの位置など様々なフレームの位置関係が元の状態から大きく変わってしまうことになります。
乗ることができなくなるというレベルの差はではありませんが、乗り心地やポジションなどは大きく変わると思っておいた方が良いかもしれません。
ストレートフォークとベントフォーク
フォークには基本的に2つの形状があります。
真っ直ぐな「ストレートフォーク」とESCAPEシリーズのフォークのような、先端が少し曲がった「ベントフォーク」です。
フォークの形状の違いは乗り心地の違いにもなり、大きな特徴としてストレートフォークは操作性が良く、ベントフォークは振動吸収性が高いので、乗り心地が良くなると言われています。
個人的な見た目の好みで言えば、ベントフォークの方が好きなのですが、最近のロードバイクなどではストレートフォークの方が主流になっているようです。
フォークの形状の違いによる特性
ストレートフォークは操作性
ベントフォークは振動吸収性
オフセットとトレイル
「オフセット」に関しては、メーカーや自転車の種類によってもまちまちですが、一般的には40mm程度のものが多いようです。
オフセットが長くなると、「トレイル」は小さくなります。
逆にオフセットが短くなると「トレイル」は大きくなります。
トレイルの数値は、直進安定性に関わっていて、トレイルの数値が小さくなるほど、直進安定性が増すことになります。
つまり、一般的にストレートフォークの方が、ベントフォークよりもオフセットが短いので、トレイルの値は大きくなり、直進安定性が高くなります。
ただ、そう単純ではなく、ヘッド角等にも影響を受けたりもするので、フレームによっても変わってくるので一概には言えないところがあります。
GIANT社のクロスバイクであるESCAPEシリーズで同じ形状のフォークが欲しい場合には、シクロクロス用のフォークを探すと、形状が近いものが見つけられると思います。
オフセットお長さの違い
オフセットが短いと垂直安定性が増す
Vブレーキ対応
ロードバイク用のカーボンフォークの場合、ブレーキ取り付け台座は、キャリパーブレーキ用しかありません。
そのため、Vブレーキ非対応なカーボンフォークを購入すると、フロントブレーキはキャリパーブレーキを使用しなければいけなくなります。
前輪がキャリパーブレーキで、後輪がVブレーキというのもあまり格好の良いものではないと思うので、極力Vブレーキ対応のフォークを探したいところです。
しかし、困ったことにVブレーキに対応したカーボンフォークの種類がかなり少ないのです。
見つかったとしてもフォーク一本で数万円もしてしまうものばかりです。
キャリパーブレーキ対応のフォークなどは、半額程度で売られていたりするので、ついついVブレーキに対応していないフォークを使いたくなってしまいます。。。
Vブレーキ対応のカーボンフォークは他のブレーキ対応のフォークに比べて高価
数少ないVブレーキ対応のカーボンフォークについては、下記の記事でまとめています。
カーボンフォークについての基本情報
カーボンのグレード
カーボンフォークと言っても、すべて同じというわけではなく、カーボンにもグレードがあります。
例えば、東レのカーボンには「T700」など、グレードごとに名前が付けられていて、カーボンのグレードで、フレームの剛性や重量、耐久性などの性能が変わります。
カーボンのグレードは走行性能に影響しない
しかしながら、グレードの高いカーボンにすれば走行性能が上がるのかと言われれば、実はあまり関係ないようです。
走行性能については、素材よりも、それぞれのフレームの設計によるところが大きいとのこと。
一般的に、自転車に使用されている東レのカーボンだと「T700」やT「1000」などをよく見かけます。
もちろん、東レ以外にもカーボンを製造している会社はたくさんありますし、俗にいう中華カーボンなどは、東レ製を謳っている場合もあります。
12Kと3K
カーボンのグレードを示すものに「12K」と「3K」と呼ばれる種類があります。
12Kは12000本の繊維から出来たカーボンで、3Kは3000本の繊維から出来たカーボンです。
3Kの方が少ないカーボンの量で、強度を出せるので軽量化ができるため、ハイエンドなカーボンフレームやフォークには、3Kのカーボンが使用されていることが多いです。
12Kカーボンの特徴
● カーボンとしては重い
● カーボン柄が太い
● 安い
3Kカーボンの特徴
● 軽量
● カーボン柄が細かい
● 高い
そんなわけで、安価なカーボン製品だとカーボン柄が太いので、12Kだとすぐに分かります。
一般的には3Kの方が人気で、性能も高いと言われているようです。
軽量化を考えるのであれば、値段の高い3K一択で間違いないとは思いますが、性能に関しては好みの問題という話もあります。
フルカーボンフォークとアルミコラムのカーボンフォーク
コラム部分までカーボン製のフルカーボンフォークと、コラム部分はアルミ製のミックスタイプのカーボンフォークがあります。
フルカーボンフォークの方が価格が高く、30,000円〜50,000円程度、アルミコラムのカーボンフォークは10,000円〜25,000円程度が相場と思います。
素人にとっては締め付けトルクの問題などが少ないアルミコラムのカーボンフォークの方が、取扱いは楽だと思います。
また、現状でフルカーボン製のVブレーキに対応したフォークは、テーパードタイプのコラムになっているため、一般的なクロスバイクのフレームなどでは使用できないので、必然的にクロスバイクをカーボンフォーク化するためには、アルミコラムのカーボンフォークを使用することになります。
以上、クロスバイクのに使用できるアルミフォークの基礎的情報でした。
その他の、フォーク交換に関する情報は下記の生地でまとめていますので、参考にしてください。