僕が自転車に乗るのはもっぱら夜中が多いです。夜中の交通量のほとんどない道は昼間の道に比べてかなり快適です。聴こえてくるのは風切り音とアスファルトを転がるタイヤの音。それからギアとチェーンの擦れるチャラチャラとした心地よく軽い音。
そして時々聴こえるのが「パスッ!」「カンッ!」という弾かれた小石がガードレールに当たる音。そう、飛び石です。
クロスバイクやロードバイクに乗っている人なら誰でも経験し、考えたことがあるであろう自転車の飛び石の責任問題について考えてみたいと思います。
クロスバイクやロードバイクの飛び石問題
飛び石が原因の問題が発生したら責任は有るのか?
クロスバイクやロードバイクのタイヤは細くて高圧で硬いタイヤなので路上に落ちている小さな石などを踏んでしまうと弾いてしまうことがあります。
「パスッ!」というなかなか鋭い音を立てて弾け飛んだりすることもあるので自動車や歩行者などに当たってしまうと、傷を付けたりケガをさせたりも考えられるので、最悪の場合は賠償問題などに発展してしまうかもしれません。
そんなわけでもしも自分が乗っている自転車が弾いた飛び石が原因で自動車を傷つけたり歩行者に当たったりしてトラブルになった時のために、自転車の運転者はその責任を負う必要が有るのか無いのか、そのあたりの事情について調べてまとめてみました。
飛び石問題の現状
飛び石の問題はクロスバイクやロードバイクだけの問題ではなくオートバイや自動車でも起きる問題ですから、そのあたりの事情を調べれば自転車の飛び石問題がどのような扱いになるのかのヒントが見つかるのではないかと考えました。
仮に飛び石が原因で自動車を傷つけたり誰かを怪我させたりしてしまった場合の賠償責任はどうなるのでしょうか?
自動車の窓ガラスの損害の多数は飛び石が原因
自動車の窓ガラスの損害の多数は飛び石が原因と思われます。
そのため飛び石による破損を補償をする保険は多数ありますが飛び石を理由に保険を使うと等級が落ちたり、不払いの判定を受けたりすることも多々あるようです。
飛び石が原因だと、すんなり保険金が払われないのには理由があります。
ちょっとした傷だと飛び石のせいにしてしまえるため、自分でつけた傷さえも飛び石のせいにして保険を使ってしまおうと考える人が少なからずいるためで保険会社側も渋い対応をするしかないのです。
参考 そんぽADRセンター そんぽADRセンターにおける苦情・紛争解決手続の実施概況|日本損害保険協会
飛び石が原因で賠償問題になることはほとんど無い
飛び石が原因で破損などの問題は多数あるのですが、意外にも飛び石が原因で賠償問題にまで発展することはほとんどありません。
何故ならば「飛び石を飛ばしたと思われる相手を特定し、それを証明するのが難しい」からです。ソニー損保の解説でも下記のように書かれています。
石を飛ばした相手が悪いのだから修理代は相手が払うのでは?
→一般的には、どの車が跳ねたか特定することが難しく、賠償責任を問うことは困難なケースが多いです。そのため自分の車両保険で修理せざるを得ません。
【引用元】飛び石でガラスが割れたこんな時どうなるの?|ソニー損保
つまり被害を受けた側が「お前の飛び石が原因だ!」と証明するのは非常に難しく、仮に飛び石させてしまっても賠償問題になる可能性は極めて低いと思って間違いないようです。
逆に言えば、自分自身でも自分が飛び石させたかどうかを証明することは難しいですし、自分が飛ばした飛び石だと思っても、もしかしたら他の自動車やオートバイクが原因の飛び石の可能性もあるわけです。
目撃者が居ればまた話は違うようですが飛び石させる瞬間なんて意識してても見えるものではないので実際問題として飛び石が原因で賠償責任を負うというようなことはなさそうです。
なので仮に「お前の飛び石が原因で自動車のボディにキズができた!」と言われたとしても「その傷が僕が飛ばした飛び石だが原因だと証明できますか?」ということで賠償責任を回避できるというわけです。
飛び石が原因の破損には法律上の賠償責任は無い
保険会社の解説には下記のような文言があります。
保険金をお支払いしない主な場合
飛び石事故やあて逃げ等により借りたお車自体に生じた、補償を受けられる方に法律上の損害賠償責任が発生しない場合【引用元】トータルアシスト自動車保険パンフレット|東京海上日動
法律上の損害賠償責任とは?
法律上の損害賠償責任とは、自分が運転する自動車で、他人にケガをさせてしまった場合や他人の車を壊してしまった場合など、相手方に与えた損害について賠償する責任のことをいいます。
【引用元】法律上の損害賠償責任|ソニー損保
なんだか難しい言葉が並びますが、例えば複数の車を運送しているカーキャリアに飛び石などが当たっても運送業者には賠償責任は無いというような感じです。
ただ、上記の事例に関しては、当事者が誰かの車を借りていた時に第三者の飛び石が原因で自動車に傷がついた、という場合の賠償責任についてです。
今回の記事の本題としては、飛び石させた第三者に対して何らかの賠償責任が発生するのかどうかです。
そこでもう少し調べてみた結果
飛び石の損害賠償を請求することは、困難です。一般に舗装された道路において、たとえ相手がわかったとしても、故意または無謀運転などを立証しない限り損害賠償を請求できません。車両保険に加入されることをお勧めします。
【引用元】個人自動車保険|損保ジャパン
飛び石の被害を受けた側が飛び石を飛ばした相手の故意、無謀運転立証しないといけないそうです。つまり相手の故意、無謀運転立証できれば、上記の事例の第三者に対して損害賠償を請求することはできるようですが、現実問題としてそれを立証するのが非常に困難というわけです。
ちなみに舗装されていない道路の場合は飛び石してしまう可能性が高いと考えられる場面なのでスピードを落とすなどの対策をとる必要があり、その義務を果たさないと飛び石事故が発生した場合等の賠償責任が発生することがあるようです。クロスバイクやロードバイクでそのような道を走ることはまず無いと思いますが。
クロスバイクやロードバイクの飛び石の賠償責任の有無についてのまとめ
クロスバイクやロードバイクで発生した飛び石による賠償問題についての結論としては、路面状況に配慮した走行をしなかった場合や当人どうしの話し合いなどによっては賠償責任が発生することもあるけれど、実際問題として賠償責任を問われることがほとんどないというような感じのようです。
とは言いつつも、なるべく他人には迷惑をかけないようにクロスバイクやロードバイクに乗りたいところですので、工事中の現場付近など砂利が多く、飛び石させてしまう可能性が高くなるような道の場合は自転車から降りるなどの予防策はしたほうが良いんじゃないかと思います。
クロスバイクやロードバイクの飛び石の賠償責任のまとめ
● 通常は賠償責任に問われることがほとんど無い
● 故意や無謀運転の場合は賠償責任に問われることがある
ちなみに飛び石で出来た程度の小さな傷であればコンパウンドなどを使うとある程度目立たなくなるくらいまでは自分でも補修できるようです。