クロスバイクのブルホーンの仕様は、どのタイプのシフトレバーを選択するかによってほぼ決まります。
なので、クロスバイクのブルホーン化を考える時には「シフトレバーとブレーキ」を中心に考えると仕様が決まりやすくなります。
この記事では、クロスバイクをブルホーン化する際に使用できる「シフトレバー」についてまとめています。
バーエンドコントローラー
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DHバーの先端に取り付けるシフトレバー
バーエンドコントローラーは、タイムトライアルバイクなどで使用されるDHバーの先端に取り付けます。
親指と人差し指でレバーを倒したり起こしたりしてシフトチェンジができるシフトレバーです。
このバーエンドコントローラーを、ブルホーンバーハンドルのバーエンドに取り付けて使用することができます。
ブルホーンバーの先端を持ちながらのシフトチェンジが可能になり、操作性が高いのが特徴になります。
僕がGIANT社のクロスバイクをブルホーン化する際の下調べをした際に、最も見かけたのがこのバーエンドコントローラーを使用したブルホーン化でした。
バーエンドコントローラーは、シマノが積極的にパーツを開発していることもあり、バーエンドコントローラーを採用している人のほとんどはDURA ACEグレードのSL-BSR1を採用していました。
シマノ意外のバーエンドコントローラーはダイアコンペなどの他メーカーからも発売されていますが、ほぼ同価格帯ということもありSL-BSR1一択で迷う余地はないかと思います。
バーエンドコントローラー
バーエンドコントローラーと併用できるブレーキレバー
バーエンドコントローラーは、バーエンドに差し込んでブルホーンハンドルに固定するシフトレバーです。
そのため、同じ方式で固定するエアロブレーキとの併用ができません。
バーコントローラーを採用した場合は、基本的にハンドル中央にブレーキレバーを取り付けることになり、ポジションも基本的にはハンドル手前を持つことになるので、サイクリングロードなどで見晴らしが良い場所でない限りは、ブルホーンの先を持つことができないでしょう。
ブレーキの選択肢としては「ギトネットレバー」と「補助ブレーキ」の2種類になります。
ギトネットレバー
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ミニベロなどの小径車で採用されていることが多いブレーキレバーです。
特徴はブレーキレバーが長いという点。
ブレーキバーをハンドルの中央に取り付けるタイプのもので、ハンドルレバーが通常のブレーキレバーよりも長く、ブルホーンバーの形状に添った形のブレーキレバーです。
ブルホーンに取り付けた場合、ブルホーンバーの肩部分でもブレーキレバーを引けるというメリットがありますが、見た目的にはクロスバイクとの相性はあまり良く無いと思います。
また22.2mm径のハンドル用がほとんどで、基本はミニベロなどの小径車向けのブレーキです。
(DIA-COMPE/ダイアコンペ) (自転車用ブレーキレバー)DC139 ギドネットレバー カラー (BK) 23.8mm
補助ブレーキ
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ドロップハンドルなどで採用されているブレーキは、STIと呼ばれるシフトレバーとブレーキが一体になったシステムが普通なので、ブレーキを掛ける際にはブラケット部分を持つ必要があります。
しかし初心者にとっては前傾姿勢がきついため、通常のサイクリングではハンドルの手前部分を持つことが多くなります。
そうするとブレーキレバーに手が届かないので、咄嗟のブレーキが掛けられなくなるため、ハンドル手前に予備のブレーキレバーを取り付けることができるようにしたのが、補助ブレーキレバーです。
これが、ブルホーンバーを使用する際にも活用できます。
対応速度別バーエンドコントローラー
インデックス方式のシフトレバーは、それぞれに対応速度(ギア枚数)が異なるので、対応した速度のコントロールレバーを選択する必要があります。
フリクション方式(無段階)のシフトレバーの場合は、表向きは対応速度が決まっていますが、対応外のギア数にも対応させられる場合があります。
例えばダイアコンペのシフトレバーの場合、仕様的には8速から10速対応となっていますが、11速でも問題なく使用できています。
要するに、レバーの可動範囲で1速から11速まで引けるようにワイヤーを調整すれば、あとはレバーを動かす範囲を自分で調整すれば良いだけです。
段数が多くなれば、より小刻みになりますが、慣れの話なので、それほど問題にはなりません。
11速対応のバーエンドコントローラー
10速対応のバーエンドコントローラー
9速対応のバーエンドコントローラー
Wシフトレバー
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トップチューブやダウンチューブなどに取り付けるタイプのシフトレバーです。
フロント用とリア用のシフトレバーが左右対になっているのが特徴です。
基本的にはフリクションタイプとなります。
一昔前のクロモリフレームの自転車などは、Wシフトレバーが標準的な装備だったこともあり、自転車のフレームに直付けできる穴があったりしますが、最近のフレームにはそのような取り付け穴がないため、取り付けるためにはハンドル用かコラム用のマウンターが必要になります。
シマノ(SHIMANO) シフトレバー SL-R400 1台セット (Wレバー) ISLR400F CLARIS(クラリス)
シフトレバーマウント
シフトレバーマウントを製造しているメーカーはいくつかありますが、有名どころではディズナというメーカーがシマノ製品にも対応したマウントを発売しています。
シフトレバーマウントは取り付けられる場所が決まっていてハンドル用とコラム用があります。
一長一短なのでどちらを使用するかは好みになりますが、コラム用マウントを使用するとハンドル周りをシンプルにできるメリットがあります。
Wシフトレバーならハンドル周りをシンプルにできる
Wシフトレバーを選択すると、バーエンドコントローラーのようにハンドルの先端を塞がないので、エアロブレーキが使えるようになります。
さらにコラム用のマウントを使用すれば、ハンドル周りの見た目がシンプルでスタイリッシュにすることができます。
操作性の問題
Wシフトレバーとエアブレーキの組み合わせでは、ブレーキとシフトレバーの距離が大きく離れてしまうため、操作性に関しては不便を感じる組み合わせになります。
頻繁にシフトチェンジをおこないたい人は避けた方が良い組み合わせです。
注意点
コラム用のマウンターは適したサイズのものを選択する必要があります。
またディズナの製品はシマノ製品との互換性があるようですが、品番によっては別途アジャスターが必要だったりするようなので、購入前には仕様や互換性があるかどうかを確認した方が良いと思います。
アジャスター
またシマノのWシフトレバーであるSL-7900には、クロモリなどの細いフレーム対応のSL-7900FHと、アルミなどの太いフレーム対応のSL-7900FALHがあります。
購入の際には注意する必要があります。
対応速度別Wシフトレバー
10速対応のWシフトレバー
シマノ(SHIMANO) シフトレバー SL-R400 1台セット (Wレバー) ISLR400F CLARIS(クラリス)
DIA-COMPE(ダイアコンペ) ENE CICLO Wシフトレバー 左右セット(適応:8段、9段、10段対応(Non-Indexタイ...
9速対応のWシフトレバー
シマノ(SHIMANO) シフトレバー SL-R400 1台セット (Wレバー) ISLR400F CLARIS(クラリス)
サムシフター
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親指で操作するシフトレバー
文字通り親指(サム)でシフト操作するシフトレバーです。
Wレバーに似ていますが、固定用のバンドが付属していたり、レバーが左右対になっていないなどで、Wシフトレバーとは別のシフトレバーになります。
バーエンドに取り付けてエアロブレーキと併用するとブレーキとシフトレバーを一体化させることができます。
サムシフターもいろいろなメーカーから販売されていますが、定番のメーカーはマイクロシフトかダイアコンペとなります。
対応にぎり径に注意
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ダイアコンペのサムシフターは、ロードバイク用のハンドルで標準的な外径23.8mmのにぎり径対応しています。
また、クロスバイクなどのストレートハンドルで標準的な22.2mmにも対応出来るようにアジャスタが付属していたりするので、にぎり径を気にせずに、ほぼ全てのブルホーンバーに取り付けることができます。
microShift サムシフター
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マイクロシフトは22.2mm用となるので、ブルホーンハンドルが対応したサイズかどうかを確認する必要があります。
一応、マイクロシフトはHELMSというメーカーとコラボレーションしたサムシフターがあり、そちらは23.8mmにも対応しているようですが、リア用のみとなるため、フロントがシングルの場合にのみ選択肢に入ると思います。
エアロブレーキと一体型にできる唯一のシフトレバー
サムシフターはエアロブレーキと組み合わせて、バーエンド付近に配置できるので、シフトチェンジとブレーキ操作が手元で行なえる理想的な組み合わせになります。
エアロブレーキだけだと少し間の抜けた感じがするブルホーンですが、サムシフターをエアロブレーキの横に配置することで、良い具合に見た目が引き締まり、個人的には最もベストな組み合わせだと思っています。
ちなみに、ダイアコンペのサムシフターは公称スペックでは10速までの対応となっていますが、フリクションタイプなので使用できる幅に余裕があり、僕自身のクロスバイクは11速で使用していますが、特に問題は出ていません。
一方で、マイクロシフトのサムシフターはインデックスタイプなので、10速のみ対応です。
エアロブレーキレバー
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エアロブレーキは、ブルホーンバーの先端に取り付けることが前提になっているブレーキレバーなので、ブルホーンバーとの相性は最も良いブレーキレバーだと思いますし、見た目のカッコよさもダントツだと個人的には思います。
そんなわけで僕自身が使用しているのもエアロブレーキになります。
バーエンドに差し込むため、バーエンドコントローラーとの併用はできなくなりますが、多くのエアロブレーキレバーはアジャスターをかませばミニVブレーキにも対応しているので、互換性の面では安心できます。
プロファイルデザイン (Profile Design) 3/One AL (アルミ) ブレーキレバー ブラックロゴ ACTO1-1
対応速度別サムシフター
10速対応のサムシフター
ブラケット付きブレーキレバー
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Vブレーキに非対応なのでミニVブレーキへの交換が必要
ブラケット付きブレーキレバーです。
ロードバイクなどのドロップハンドルに採用されているものは、ブレーキレバーとシフトレバーが一緒になったタイプのデュアルコントロールレバーと呼ばれるものですが、Vブレーキに対応しているブラケット付きブレーキレバーはごく一部の製品に限られるため、選択肢が非常に少ないです。
しかもシフトレバーは付属していないので、別途、購入して取り付ける必要があります。
ブレーキの操作感覚や乗り心地は最もロードバイクに近くなるため、操作性は悪くないと思いますが、ブルホーンハンドルにブラケット付きのブレーキを取り付けるとブラケット部分の存在感が大きく、頭でっかちな印象になってしまうため、好みが分れる所だと思います。
ブレーキだけで良ければテクトロRL520やDIA-COMPE 287Vがブルホーンバー用のブラケットタイプのブレーキとして定番ですが、いずれもシフトレバーは別に購入が必要です。
構成的にはブレーキレバーがブルホーンハンドルの先端に、シフトレバーはコラムなどに設置することになり、ブレーキレバーとシフトレバーの距離が離れてしまうため、わざわざこの組み合わせを選択する価値は無いと思います。
DIA-COMPE 287V 2個(ペアー) ダイアコンペ ロングアームカンチブレーキ対応 ブレーキレバー ROAD・RACING用
クロスバイクのシフトレバーを流用する
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使用するブルホーンバーハンドルのハンドル径がフラットバーのハンドル径と同じ22.2mm(にぎり径)であれば、クロスバイクで使用していたシフトレバーとブレーキレバーはそのまま流用出来ます。
最もコストと手間をかけずにクロスバイクをブルホーン化出来る方法でもありますが、基本的なポジションはフラットバーと変わらないため、見た目的な変化が期待できる以外は特にメリットはありません。
ブレーキレバーやシフトレバーの取り付け位置はフラットバーハンドルと同じ場所であるハンドル手前に限られるため、乗り心地やポジションはフラットバーにバーエンドバーを取付けた状態とほぼ同じになるのです。
この場合、見た目の変化は楽しめますが、市街地などを走行する場合は必然的に手のポジションはブレーキの近くになってしまうため、実際問題でブルホーンハンドルの先端部分を持って走行できる場面がかなり限定されてしまいブルホーン化する意味があまりないと言えるでしょう。
それならば、ブルホーンバーの先端にブレーキレバーを取り付ける方法もありますが、レバーの向きなどの関係から逆付けになるため、ワイヤーが前方に飛び出してエビのような見た目になるエビホーン仕様になります。
当然、見た目は激しくカッコ悪くなるためおすすめではありません。
予備情報:フリクションタイプとインデックスタイプ
コントロールレバーのようなシフトレバーには「フリクションタイプ」と「インデックスタイプ」があります。
フリクションタイプ
クリック感がなくシームレスな切り替えでレバーの振り幅でシフトチェンジをおこないます。
カチッカチッと決まった動きをするインデックスタイプとは違い、ハイとローのシフトレバーの振り幅さえ決まれば、細かな調整が要らないので、シフターの調整が楽だったり、7速、8速、9速、10速、11速など幅広く対応させられるというメリットがあります。
いわゆるラピッドファイヤーシステムが普及する前の旧式のシフトレバーの方式です。
一段ずつ確実にシフトチェンジできるインデックス式と比べて、フリクションタイプは自分でワイヤーの引き具合を調整してシフトチェンジしなければいけないので、狙ったギアに入れるには慣れが必要です。
そのため、最初はレバーを動かす程度が分らず思わぬギアに入ったりすることもありますが、慣れてしまえば加減も分かり、狙ったギアに入れるこtが出来るようになると思います。
ちなみに、一般的に販売されているバーエンドコントローラーはほぼフリクションタイプになります。
インデックスタイプ
一段ごとにカチッカチッとクリック感があり一段ずつ正確にシフトチェンジができるシフトレバーです。
いわゆるラピッドファイヤーシステムと呼ばれるもので、2024年現在で市場に出回っているクロスバイクやロードバイク等のシフトレバーのほとんどは、このインデックスタイプになっているかと思います。
シフトチェンジが判りやすく正確というメリットがありますが、調整の際には、一段一段正確に切り替わるようにワイヤーを調整する必要があります。
そのため10速や11速などの多段ギアになればなるほどシビアな調整が必要になります。
ブルホーンバーで使用できるシフトレバーまとめ
ブルホーンバーで使用できるシフトレバーを選択する際のポイントは「どの場所に取り付けられるのか」というところになるかと思います。
基本的には、手のポジションは安全性を考えると、ブレーキレバーの近くに置かれると思うので、ブレーキレバーの位置とシフトレバーの位置が離れてしまうと、シフトチェンジの際に手の動きが大きくなり、次第に面倒になってあまりシフトチェンジしなくなってしまうことになります。
なので、理想的にはシフトレバーとブレーキレバーの位置は近ければ近いほど良いということになり、そう考えるとサムシフターとエアブレーキの組み合わせがベストということになるかと思います。
ただ、人それぞれ目指す改造カスタマイズの方向性がありますから、いろいろ試してみるのが良いのではと思います。