フリクションタイプのWシフトレバーについて書いています。
クロスバイクのハンドルをフラットバーからブルホーンバーに交換しようとすると、ブルホーンバーのハンドルの太さ(ハンドル径)がフラットバーハンドルと比べると太いものがほとんどです。
そのため、フラットバー用のシフトレバーを流用したくても使用できません。(一部のブルホーンバーではフラットバーハンドルと同じ、クランプ径:25.4㎜ バー径:22.2㎜のものがあり、これらに関しては流用が可能です。)
アルミ 合金 ブルホーン バー フラット/ハンドル 幅 410mm クランプ 25.4mm バー 22.2mm (01 ブラック)
そのため、一般的なサイズのブルホーンバー(ランプ径:31.8㎜ バー径:23.6㎜)を使用する際には、別のシフトレバーに交換する必要があります。
自転車のハンドル径については、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
実際のところ、太いハンドルバーに対応したフラットバー用のシフトレバーの選択肢は非常に少なく、フラットバー用のシフトレバーのような段階的にカチャカチャとシフトチェンジ出来るインデックスタイプものではなく、無段階のフリクションタイプと呼ばれるシフトレバーを使用することになります。
僕自身もクロスバイクをブルホーン化した際に同じ問題にぶつかり、フリクションタイプのシフトレバーであるダイアコンペのENEサムシフターを選択しました。
クロスバイクのハンドルをフラットバーからブルホーン化した際に生じる大きな仕様の違いの1つが、フリクションタイプのシフトレバーに変わることでもあるので、一般的なインデックスタイプのシフトレバーと比べてフリクションタイプのシフトレバーはどのような違いがあるのかについてまとめてみました。
インデックスタイプとフリクションタイプのシフトレバーの違い
シフトレバーには2つのタイプがあります。
一つは、インデックスと呼ばれる段階的にカチャカチャとシフトチェンジ出来るシフトレバー。もうひとつは、フリクションと呼ばれる無段階で調整できるシフトレバーです。
インデックスタイプのシフトレバー
インデックスタイプのシフトレバーは、シフトレバーを動かすとシフトチェンジされる際に「カチッ」「カチッ」というクリック感があるものです。
クリック感とともに一段分変速する機構を持っているシフトレバーのことをインデックスタイプと呼びます。
シマノのフラットバー用のシフトレバーである「ラピッドファイヤー」やドロップハンドルに取り付けられている「STI」に使用されているデュアルコントロールレバーなど、現在の主流なシフトレバーのほとんどがインデックスタイプになります。
フリクションタイプのシフトレバー
フリクションタイプのシフトレバーは、シフトレバーを動かしてもクリック感がありません。レバーの引き量(動かす量)によって無段階にシフトチェンジされるタイプのシフトレバーのことをフリクションタイプと呼びます。
昔からあるシフトレバーはこのタイプで、一昔前のクロモリフレームのロードバイクなどで搭載されているのを時々見かけたりもします。
僕が購入したダイアコンペのENEサムシフターもフリクションタイプのシフトレバーです。
下記の記事ではブルホーンバーで使用できるフリクションタイプのシフトレバーについてまとめていますので参考にしてください。
フリクションタイプのシフトレバーを使った感想
シフト調整の違い
フリクションタイプのシフトレバーのシフト調整は、インデックスタイプと比べると非常に簡単です。
インデックスタイプのシフトレバーは、一段一段で正確に切り替わる必要があるので、ワイヤーを引く量と、それに連動するリアディレイラーの動きを性格にするために、微妙な調整が必要ですが、フリクションタイプのシフトレバーのシフト調整はローギアでシフトレバーの位置(最大に前方に押し倒した状態)を決めて、あとはシフトワイヤーを張るだけで作業終了です。
以前、ラピッドファイヤー(インデックス)でのシフト調整をおこなった際は、微妙な調整が必要で非常に悪戦苦闘しながら一段一段調整した経験があるだけに、フリクションタイプのあまりの簡単さに「え?こんなんで良いの?」と、逆に不安になってしまうほどです。
自動でシフトチェンジに必要なワイヤーの引き量をギアごとに設定しているのがインデックスタイプのシフトレバーで、手動で適当にワイヤーの引き量を調整するのがフリクションタイプのシフトレバーということになります。
シフトチェンジの違い
マニュアル的なシフトチェンジ
フリクションタイプのシフトレバーのシフトチェンジは、機械的に一段一段切り替わるインデックスタイプと比べると、利便性は確実に落ちると思っておいた方が良いでしょう。
自動車で言うところの、オートマチック車とマニュアル車くらいの差はあると思います。
ただ、それをデメリットと思うかどうかは趣味趣向の範疇だと思います。フリクションタイプのシフトレバーのアナログ的な操作感は、これはこれで楽しいものでもあるからです。
操作感
フリクションタイプのシフトレバーに交換しようとした際に相談した人が「多段ギアだとフリクションタイプのシフトチェンジはシビアだよ」と言われていたので、想像ではほんの少しシフトレバーを動かしただけでも2段くらい切り替わってしまうようなシビアさをイメージしていました。
しかし、実際には少し動かした程度ではシフトチェンジすることなく、感覚的には5mmくらいはシフトレバーを動かさないとシフトチェンジしないので、アドバイスしてくれた方が言うほどストレスに感じるものではありませんでした。慣れてしまえばシフトチェンジで戸惑うことは無いと思います。
ただ、昔からロードバイクなどに乗っている人で、フリクションタイプを使用していた人にとってはシビアに感じるのは間違いありません。
理由として、以前はロードバイクでも7速や8速がスタンダードなギア数だったので、非常にザックリとしたレバー操作でも狙ったギアに入れることができたわけです。
しかし、現在のように11速や12速が標準になってしまうと、シフトチェンジのレバー操作はシビアに感じるということになります。
また、シフトレバーの引き過ぎや戻し過ぎでチェーンを脱落させてしまうかもしれないという不安もありましたが、ローギアからトップギアまでのコントロールレバーの振り幅さえ覚えておけば、チェーンを脱落させてしまうことも無いと思います。
フリクションタイプでも慣れれば思ったギアに入れられるようになる
フリクションタイプのシフトレバーは、シフトチェンジの際にクリック感が全くないので、レバーを動かす際には感覚を頼りにしたシフトチェンジになってしまいます。
なので、慣れないうちは複数段一気にシフトアップしてしまったりする失敗もあるかもしれませんが、不便に思うのは最初のうちだけで、慣れてくると一段一段の振り幅がなんとなく身についてくるため、感覚的でも思ったギアにシフトチェンジできるようになります。
街乗りレベルなら特に問題無し
上記のようにラピッドファイヤーと比べると、フリクションタイプのシフトレバーは多少なりの不便さを強いられることになりますが、逆に言えば、ラピッドファイヤーが良く出来過ぎているとも言えるかもしれません。
レースに出たりするわけでもなく、街乗りオンリーで乗るレベルであれば、それほど頻繁にシフトチェンジをすることもありませんしから、実用レベルでは全く問題ないと思います。
そもそもインデックスタイプのシフトレバーが登場する前までは全ての自転車はフリクションタイプだったわけですから、使えないということは全くありません。
インデックスタイプに比べてシフトチェンジする回数が減りました
インデックスタイプのシフトレバーの時には、停車する直前にローギア付近まで戻し、再び走り出せば、スピードに併せて徐々にシフトアップしていくというような感じで、比較的マメにシフトチェンジをしていました。
インデックスタイプのシフトレバーはトリガー式で「スパスパ」とシフトチェンジできるのが非常に快適でしたが、フリクションタイプのシフトレバーにはそのような軽快さはありません。
その結果としてシフトチェンジをあまりしなくなりました。
例えば、停車しようとする際のシフトダウンについてですが、ブレーキとシフトレバーが一体化されているようなラピッドファイヤータイプのシフトレバーだとブレーキをかけながら無理なくシフトダウンさせられます。
しかし、フリクションタイプのシフトレバーの場合、シフトレバーとブレーキレバーを近くに配置したとしてもブレーキをかけながらのシフトダウンは難しくなるのです。
僕の場合は、ブルホーンバーの先端にエアロブーキとシフトレバーを配置しているので、ブレーキに手をかけながらでもコントロールレバーにも一応は手は届きます。しかしそれであってもブレーキを握りながらシフトダウンするにはコツが必要で、インデックスタイプのシフトレバーと比べると操作性がかなり落ちるのです。
インデックスタイプとフリクションタイプの比較
どちらのシフトレバーが良いのか?
インデックスタイプとフリクションタイプのシフトレバーの「どちらが便利か?」と聞かれれば、圧倒的にインデックスタイプの方が便利です。
「カチッ、カチッ」とトリガー式のレバーを引けば「スパン、スパン」と一段ずつシフトアップできるあの快適さはフリクションタイプのシフトレバーにはありません。
フリクションタイプのシフトレバーにはラピッドファイヤーのような快適さは無いですが、キリキリとコントロールバーを締め上げたり、緩めたりして、シフトチェンジする独特な感覚はフリクションならではで、それはそれで面白みがあるため、一概にどちらが良い悪いを決めることが難しいと思われます。
なので、どちらのタイプのシフトレバーが良いかという優劣はなく別物なので、完全に趣味趣向で決めてしまって良い部分だと思います。
フリクションタイプのシフトレバーの使用時の留意点
シフトレバーの最大振り幅を把握しておく
シフトレバーの最大振り幅(トップからローまでの移動幅)は把握しておく必要があります。
この振り幅はスプロケットのローギアからトップギアまでの幅、つまりはスプロケットの幅に設定されていますから、それ以上どちらかに回すとスプロケットからチェーンが脱落する可能性があります。
シフトレバーを締めるネジの増し締めや調整が必要
シフトレバーを固定しているネジは時々増し締めしてあげないと、緩んで勝手にシフトダウンしてしまうことがあります。
かと言って固定ネジをきつく締め付けると今度はシフトレバーが動かなくなったり重すぎたりします。
シフトレバーが固定されつつも、重く感じない程度に固定されるようにネジの締め付け加減で調整する必要があるのです。この問題に関してはインデックスタイプのシフトレバーには無いものです。
ちなみに、この固定ネジに注油してしまうと、ヌルヌルになってしまってシフトレバーを固定出来なくなるので注油してはいけません。
フリクションタイプのシフトレバーについてのまとめ
快適さだけを考えれば、フリクションタイプのシフトレバーよりも断然インデックスタイプのシフトレバーの方が快適です。
しかしインデックスタイプのシフトレバーが主流の中で、あえてフリクションタイプのシフトレバーを使うのも特別感もあり楽しいものでもあります。
レースなどで本格的に自転車を乗りたい場合は、インデックス式のシフトレバーの方が利便性や正確性を考えても絶対的に有利になってしまうでしょうが、街乗りレベルであれば特に問題もありませんし、自転車いじりの楽しみということで考えれば、フリクションタイプのシフトレバーがどういったものであるかを知っておくと、年配の自転車乗りと共通の話題にもなったりして楽しいのではないかと思います。
フリクションタイプのシフトレバーのまとめ
● フリクションタイプはシフト調整が楽
● ワイヤーの張り替えなどのメンテナンスも楽
● ラピッドファイヤーと比べると操作性は不便
● 街乗りレベルでは問題無い
● フリクションならではの楽しみもある