中国の首都、北京に行ってきました。
中国は過去に上海と深センに行ったことがありますが北京は初めての訪問でした。
北京も上海、深センと変わらない大都市ではありますが、自転車事情は上海や深センとはまた少し違っていたので、北京の自転車事情について感じたことをまとめてみたいと思います。
中国北京の基本情報
北京市とは
北京市は中華人民共和国の首都でもあり、政治的中心地でもあり、人口は二千万人を超える中国を代表する大都市の一つです。
一般的な北京市のイメージと言えば天安門や中国の皇帝が住んでいた紫禁城などがある都市として知られていると思いますし、最近では2008年の北京オリンピックが開催されたほか、段ボール肉まんや2013年前後の深刻な大気汚染など、どちらかと言えばマイナスのイメージを持っている人も多いかもしれません。
今回僕が北京に訪れた理由はビジネス目的で、同じ飛行機にもビジネスマンらしき日本人を多数みかけましたが、一般的には万里の長城を目指すために北京に降り立つ人が多いかもしれませんね。
北京の移動手段
旅行者が中国北京を訪れた場合の交通手段はタクシー、地下鉄、バスの3つになると思います。それぞれに特徴があるので軽く解説してみると下記のような感じです。
北京のタクシー
通常の旅行者にとって最も一般的な移動手段になると思います。
中国にもレンタカーはありますが日本とは逆の右側通行なのに加えて、道路も複雑で車の台数も多く、運転もかなり強引かつ乱暴なので現地の交通事情に詳しくない限りは、普通の日本人だと自動車の運転はまず無理なので、自動車での移動となればタクシー一択になると思います。
■タクシー料金
初乗り料金は13元(2018年現在)で、日本円で200円ほどでかなり格安です。
メーターの上がり方も日本に比べると緩やかなので1時間ほどタクシーに乗って移動したとしても日本円で1,000円程度に収まります。
近年、中国の人件費もどんどん高騰しているようですが、タクシーの料金はあまり高くなっていないのが嬉しいところで、非常にリーズナブルに利用できるので北京市内を効率的に巡りたい場合なはタクシーを積極的に利用することになると思います。
■中国語の地図は必須
場所を指定するのに中国語の地図は必須です。
中国のタクシーの運転手は建物名などで場所をあまり把握していないようで、地名や住所をスマートフォンで検索して目的地まで運んでくれます。
ところがAppleの地図などのように英語表記だったりするとタクシーの運転手が英語を読めなかったりします。また中国語と英語では名称が異なっていたりするので、建物名や地名を英語で伝えても理解出来る人は少ないです。(天安門くらいだと理解してもらえると思いますが。)
なので必ず中国語の漢字で書かれた地図は必ず持って置いた方が良いでしょう。
■流しのタクシーは拾いづらい
流しのタクシーも当然走ってはいますが拾いづらいと思った方が良いです。
というのもタクシーを利用する際には中国版Uberの「滴滴」や「快車」などのサービスを利用してタクシーを呼び出す人が多いため空車の表示が出ていても既に予約が入っていることが多く、非常に拾いづらくなっています。
なので路上でタクシーを拾おうとして粘るよりも、近くのホテルかタクシースタンドに移動した方が確実です。郊外に行くのであれば片道だと帰りにタクシーを拾えなくなってしまうこともあるので長時間貸し切りにした方が無難です。
中国のタクシーは無駄なく営業したいため、郊外までの片道など帰り道に別の客を拾えないような場所は断られたりもするのです。
■渋滞
北京市は世界で最も深刻な渋滞のある都市と言われたりもするくらいで、早朝や深夜でなければ基本的に幹線道路ではいつも渋滞しているのが普通です。
なので約束時間がある場合などはかなり余裕を見て出発するか地下鉄などを利用した方が確実です。
地下鉄
Photo via:https://www.bjsubway.com/station/xltzs/
北京の地下鉄はかなり便利です。
流石に東京ほどではありませんが、乗り継ぎさえすれば行きたい場所には一通り行けるくらいには路線が走っています
料金は3元(50円程度)〜なので、交通移動費を安くしたい場合には地下鉄を利用するのが良いでしょう。
僕も今回の滞在の中で何度か利用してみましたが、北京は地下鉄も綺麗ですし、電車の本数も多いので、あまり待たなくても乗ることができます。
電車内は大声で話す人も多いので賑やかですが、基本的なマナーは良く、携帯で話すような人はほとんど居ませんし、アメリカのように地下鉄に乗ると感じる、何とも言えない緊張感のようなものもないので気軽に利用できる交通手段の一つです。
入り口でセキュリティチェックがあること以外は日本の地下鉄と遜色が無い感じです。
北京のバス
バスも非常に多く運行されています。
行きたい場所を通るルートのバスに乗れば良いだけなので利用するのはそれほど難しくはないと思いますが、日本のバスでも慣れない路線のバスは難しいのと同じで、旅行者がバスを利用するのは少しハードルが高いでしょう。
ローカル巡りをしてみたいとか、極力お金を節約したいとかでなければ、バスよりもタクシーを使う方が現実的だと思います。
北京の気候
訪問したのはお盆明けの8月20日前後で当然真夏です。
北京は盆地にあるので暑さは厳しいという話でしたが東京と比べると断然過ごしやすい気候でした。
気温は30度を超えて暑かったのですが、青森県とほぼ同じ緯度にあるせいか湿度もなくカラリとした気候なのに加え、朝晩は涼しくて非常に過ごしやすかったです。
熱気ムンムンでのぼせそうな東京の気候はちょっと異常なのかもしれません。
北京の街並みなど
太い建物が多い
深センや上海などにくらべると超高層ビルは少ないのですが、建物や道路、建造物などの一つ一つが巨大です。
中国の景色といえば「中国=古い建物」というイメージがありましたが、上海などに比べると北京は古い建物があまりなく少しだけ拍子抜けしてしまいました。
北京市で古い建物と言えば天安門と紫禁城くらいです。
あとは壊されてしまったのかもしれません。
街並みが綺麗
また中国の街並み=汚いというのも過去に訪問した中国の印象ではあったのですが、北京は今まで見てきた中国の中で一番綺麗でした。
清掃が行き届いているせいなのか、路上にゴミがほとんどありません。
路上喫煙が禁止されているので路上でタバコを吸う人の数もすくなくタバコのポイ捨てもほとんどありません。
また吐き捨てられてこびりついたガムも少ないです。
場所にもよるでしょうが少なくとも僕が見てきた場所は東京よりも綺麗だった気がします。
2005年くらいに上海に行った時には繁華街の中心地でも子供に野糞をさせいて路上にウンコがボロボロと落ちていたりもしたのですけど、今回訪問した北京では路上にゴミを捨てるような人は居ませんでした。
食事など
チェーン店も中国風にアレンジされたメニュー
食事は中華はもちろんですが他にもレストランがたくさんありますから中華以外の食事も普通に楽しめます。
興味本位で吉野家にも行ってみましたが、日本の牛丼チェーンとは全く様子が違います。
吉野家なので牛丼はありますが、牛丼よりも中華風にアレンジされた様々なメニューが溢れていて全く日本の吉野家のイメージとは異なります。
また、僕は海外に行くとマクドナルドもよく利用するのですが、マクドナルドのメニューも中国版にアレンジされていて、中国の朝食でよく食べられるお粥や油条(揚げパンのようなもの)が朝マックのメインメニューになっていたりしてなかなか面白いです。
このように原型にこだわらず、どんどん中国風にアレンジしてしまう逞しさには驚かされてしまいます。
北京ダック
北京と言えば北京ダックですが、ももちろん食べました。
実際問題で北京ダックは中国のどこの地域でも食べられる料理ではありますが、カレーならインド、ステーキならアメリカという具合で、その食べ物の本場で食べるというのは一つのイベント事としてかならずやっておきたいことかもしれません。
北京で美味しい北京ダックを出すお店としてダントツに有名なのが「全聚徳」というお店です。今回の北京訪問でぜひ訪問したいお店の一つでしたが、よりローカルな人の口コミでは全聚徳よりもさらに評価の高い王府井にある「四季民福烤鸭店」というお店でいただきました。
予約が取れないお店で二時間待ちは当たり前と言われるほどの人気店で、店の外には一日中行列が出来るようなお店ですが、北京ダックを食べたいのであればそれだけ待つ価値はあるかもしれません。
ちなみに、現地でホストしてくれた中国の方から「何が食べたい?」と聞かれて「北京ダック」と答えると、周りにいた中国の方々からは「北京ダックかよ〜」ってな感じで一様に苦笑いされてしまいました。どうやら北京の方々にとっては有り難いものではないようです(笑)
そうそう、王府井には屋台が並ぶ仲見世のようなものがあり、サソリや蝉の幼虫などの串焼きが名物だったりするので、北京を訪れる人は是非チャレンジしてみてください。
さて、ここまで約3,000文字も使ってきましたが、ようやく本題の中国北京の自転車事情について書いていきたいと思います。
中国北京の自転車事情
北京のシェアサイクル
中国の自転車事情を語る上で絶対に外せないのがシェアサイクルです。
中国全土を席巻しているシェアサイクルは北京でももちろん見ようとしなくても目に入ってくるレベルで普及しています。
ただ、北京のシェアサイクルには深センで見かけたような無秩序さはありませんでした。
北京市の中心部でもシェアサイクルで溢れかえっているわけではなく、程よいレベルで散在している感じです。
上記の写真はイベント会場の前なので多くの自転車が並んでいましたが、いろいろな場所を歩いた結果、大量の自転車が並んでいたのはここだけで、どこでも大量のシェアサイクルが溢れて山積み状態だった深センとは全く違った様子でした。
放置された自転車も有るには有りましたが、いずれも許容レベル。
実際のところで深センのように狂気的な絵面の写真を撮影できることを期待して撮影に出かけたのですが、台数自体も多くありませんし、きちんと駐輪されていることが多くて拍子抜けしてしまった感じです。
無秩序に放置された自転車を探した結果ようやく撮れた一枚も上記の写真レベルでした。
そんなわけで大きな社会問題にまでなっていたシェアサイクルですが、急激にマナーが向上したのか、政府が介入したかは分かりませんが、現状はかなり落ち着いた状況になっているのかもしれません。
サービス提供会社もofoとmobikeの二強になっている感じで他のサービスの自転車はあまり見かけませんでした。
無秩序さに驚愕した深センの様子は下記の記事でまとめています。
参考 自転車シェアリング中国と日本のシェアサイクルで思うこと
道路状況
とにもかくにも渋滞が凄かった北京ですが、道路状況はかなり良いです。
アスファルトは綺麗に舗装されていました。
日本の道路でよく見かける継ぎ接ぎもなく、凸凹のない滑らかな路面なので自転車にとって非常に走りやすい道になっています。
北京の自転車レーン
北京では自転車レーンが自動車道の一車線と同じくらいの幅で確保されていて非常に走りやすくなっています。
ちなみに歩道も同じくらい広いですし、車道は更に広いです。
大陸のスケールの大きさに圧倒されてしまいます。
ちなみに中国では自転車は車道を走ってはいけないらしいですが、これだけ広い自転車レーンがあればわざわざ車道に出るような人は居ませんね。
自転車レーンは自転車だけではなく、二輪車や電動ミニカーのような乗り物なども走るため、自転車だけしか走れない純粋な自転車レーンではないようです。
そのため時として荷台をつけた小型車なども自転車レーンを走ったりしますが、それでも何の支障もないくらいの広さなので余裕をもって走れます。
広い自転車レーンが確保されているのは郊外だけのお話ではなく、天安門のある北京市の中心地ですら広い自転車レーンが設けられています。
ここまで整備するには新しい計画のためなら古い建物や道路などは問答無用に全てリニューアルさせてしまう強引なやり方をしない限りは実現できないものだと思いますが、社会主義国家の徹底した都市づくりはすごいなぁと驚くばかりです。
北京市のどこに行っても見かける広い自転車レーン。
広いだけではなく綺麗な路面に感動すら覚えます。
さらに写真を見てお分かりいただけるように自転車自体がそれほど多いわけではありません。一昔前だと中国人の乗り物=自転車というイメージを持っている人も多かったと思いますが、今ではすっかり過去のイメージになってしまっています。
朝夕のラッシュアワーには多少自転車も多くなりますが、それでも中心地ですら自転車がごった返しているような状況はありませんでした。
北京のロードバイクやクロスバイク
綺麗に整備された広い道はロードバイクやクロスバイクで走るのには最高ということでロードバイクもクロスバイクも非常に多いです。
実際問題で東京で見かけるよりもかなり多くのスポーツバイクが走っていましたし、ロードバイクに乗っている人たちは、サイクルウェアをガッツリ着込んだいわゆるガチな人が多かったです。
人口が多いのでロードバイクやクロスバイクに乗る人も多いというのはもちろんありますが、それでも平日の夜にも関わらず、ガチなロードバイクを何台も見かけたことから考えても、中国北京ではロードバイクやクロスバイクはかなり普及していることが伺えます。
上記の写真でロードバイクが走っている道は自転車などの二輪車ががメインで走る道路です。(一部路線バスが走りますが一般自動車は走りません。)道路幅は20メートルくらいはあるように思えます。東京ではとても考えられませんね。
北京は道路が広くて綺麗というだけでなく、区画整理がきちんとされている感じなので基本的に道路はまっすぐということもあり、市街地であってもサイクリングロードのような感覚で快適に走れるためか、隊列を組んだロードバイクが何台も走り抜けていきます。
昼間よりも夕方から夜にかけてロードバイクやクロスバイクを多く見かけました。
通勤で利用している人もいるようですが、ガチな服装から考えると、仕事が終わったあとの運動の一貫としてロードバイクに乗っている人が多いように思います。
ロードバイクやクロスバイクのメーカー
海外に行った際には現地の人がどこのメーカーの自転車に乗っているかが気になるので必ずチェックします。北京ではGIANTやMERIDAなどの中国メーカーのほか、TREKやPINARELLO、CANNONDALEなど日本で見かけることの多いメーカーの自転車もたくさん走っており、印象としては日本とほとんど変わらない感じです。
大気汚染は?
北京と言えば深刻な大気汚染が気になるところですが、少なくとも僕が北京に滞在している間は深刻な大気汚染問題を抱えているようにはとても思えませんでした。
マスクをしている人も居ないですし、僕自身、アレルギーやくしゃみがでるわけでもなく、鼻くそも真っ黒になったりはしませんでした。
北京の大気汚染の現状を調べてみると、中国政府も工場を郊外に押しやったり自動車の台数を制限するなどの対策をしていて2018年現在で以前のような酷い大気汚染はなくなっているようです。
なので自転車に乗るにしてもあまり大気汚染のことは気にしなくても良い状況があると思います。
中国北京の自転車事情まとめ
初めて訪問した中国北京でしたが、同じ中国でもこうも違うのかと思うくらいの差が深センと北京とではありました。北海道と九州くらいの距離はあるので違っていても不思議はないですが、昨年訪問した深センに比べると、北京はずっと綺麗で品が良く、ある意味中国らしくない印象を受けました。
また自転車をとりまく環境はかなり良く、少なくとも僕が数日滞在した中では、気候良し、道路良し、環境良しで、ロードバイクやクロスバイクに乗る環境としては素晴らしいものがあり、少なくとも東京の自転車事情と比べると雲泥の差があると言っても良いくらいの差を感じました。
こんなに自転車にとって走りやすいと思える都市は国内国外含めて今まで見たことがありません。
調べてみると北京では自動車の交通問題を解決するための一つの手段として自転車を推奨している側面もあり、自転車を利用する前提での都市づくりがしっかりと行われているようで、そのあたりが自転車乗りにとって快適な環境になっているものと思われます。
2019年にはバイクなどの二輪車はもちろん歩行者も利用できず、さらには全線信号無しで道路幅が5-7メートルという夢のような自転車専用高速道路の建設もされるようで、今後もますます自転車にとっては快適な街になっていくものと思われます。
2019年6月似、全長6.5kmの自転車専用道路が開通したようです。
Photo via:http://japanese.cri.cn/20190603/f979d0f2-a229-ba16-7d2c-4613e15dd678.html
というような感じで、北京に出発する前に期待していた状況とは全く逆の自転車を取り巻く環境が北京にはありました。
中国北京に住みたいかと言われれば答えは「ノー」ですが、自転車の環境だけを考えれば思わず「イエス」と言ってしまいたくなるくらいの充実具合だったので、次回北京に訪問した際にはゆっくり自転車に乗ってみたいという気持ちが強いですし、正直なところ大変羨ましいと思える自転車環境でした。
以上、中国北京の自転車事情についてのまとめでした。自転車に興味のある人は是非、北京で輪行にチャレンジしてみてください。
世界の自転車情報関連記事一覧
世界の自転車事情関連記事
参考 ドイツの自転車事情
参考 韓国ソウル特別市の自転車事情
参考 中国の深センの自転車事情
参考 中国と日本のシェアサイクルで思うこと
参考 東南アジアの自転車ブームが熱い
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参考 オレンジカウンティの自転車事情
参考 ラスベガスの自転車事情 2019
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参考 アメリカのバイクシェア
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参考 大阪府庁・大阪城周辺の自転車事情
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参考 東京の自転車シェアリング事情
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