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ペダル付原動機付自転車(モペッド)と道路交通法

更新日:

ペダル付原動機付自転車のルールと今後についての話題です。

ペダル付原動機付自転車は、原動機付き自転車でありながら、自転車のペダルを備えた二輪車で、オートバイとしての機能と、自転車としての機能を併せ持つ「状態が変化するモビリティ」として近年、利用する人が増えています。

と同時に、電動アシスト自転車との境界が分かりづらいこともあり、本来は言動付きバイクの免許が必要であるにも関わらず、自転車のフリをして乗っていたりするなどで、問題になることも多いようです。

そこで、ペダル付原動機付自転車のルール、今後どのように法整備がされていくのかなどについて調べてみました。

ペダル付原動機付自転車

日本でも普及しつつあるペダル付原動機付自転車

ペダル付原動機付自転車は「電動バイク」としての機能と、ペダルを踏んで進む「自転車の機能」を併せ持つバイクです。

日本でも見かけることが多くなってきていますが、中国では少なくとも2005年あたりの時点で、多くのペダル付原動機付自転車が街なかを走行していましたし、海外では「moped」と呼ばれて、一般的に街なかで見かけることができる程度に利用している人が多い乗り物です。

2005年当時、仕事でちょくちょく上海に行っていたこともあり、現地の人が便利に乗っているペダル付原動機付自転車を見て「日本でも乗ることができれば良いのになぁ」と思ったものでした。

しばらく日本では見ることがありませんでしたが、2019年あたりから、日本のクラウドファンディングやバイク輸入販売店などでも見られるようになり、街なかで時々見かける程度には普及してきたようです。

電動が主流

ペダル付原動機付自転車は電動アシスト自転車のように充電式のバッテリーを装填して走行できるようになっています。

ちなみに中国で見かけたペダル付原動機付自転車は2005年頃で既にガソリンではなく、バッテリー駆動だったと記憶しています。

昨今の電動アシスト自転車のようなデザインされたバッテリーではなく、自動車に積むような鉛バッテリーなどが使用されていました(笑)

ペダル付き原動機付き自転車の扱い

ペダル付き原动机付き自転车と電動アシスト自転車との違い

日本でもペダル付原動機付自転車を見かけるようになると同時に問題化もされています。

ペダルが装備されていることから電動アシスト自転車のように見えてしまうのです。

それを良いことに本来は原付免許が必要な電動バイクのモードで走行しているにも関わらずヘルメットを着用しなかったり、歩道を走行しているのです。

ペダル付原動機付自転車と電動自転車はバッテリーで走るため、同じような乗り物として混乱してしまいがちですが、この二つには明確な違いがあります。

ペダル付原動機付自転車はスロットルを回すなどすることで原動機の力で走ることができるのに対して、電動アシスト自転車は原動機の力で自走できるわけではなく、あくまでペダリングを補助する機能にとどまっているという点です。

また、速度に関しても、ペダル付原動機付自転車は出力によっては50km/h程度出せるようなものもありますが、電動アシスト自転車は24km/hを超すとアシスト機能がなくなるように決められています。

モペットは「原付き」法律に明記される見込み

2023年12月に、警視庁は電動アシスト自転車と混同されるペダル付き原付きバイク「モペット」について、原付きであることを道交法に明記する方針を固めたようで、2024年に通常国会に道交法改正案を提出し、改正されれば公布から半年以内に施行される見込みとのこと。

取り締まりを受けた際に「自転車だと思っていた」「」原付とは思わなかった」などの言い逃れも多いようで、このあたりをどう取り締まるかが課題になっていたものと思われます。

結果として、車両区分を「原付」として道交法に明記することで、たとえエンジンを切った状態でペダルを踏んで走行していたとしても原付バイクと同じ扱いになるため、ヘルメットの着用はもちろん、免許も必要になり、モペッドへの装備として、ブレーキランプや方向指示器、ナンバープレートなども必要になり、現状のやりたい放題の状況も解決されることを期待したいですね。

現状でも、警視庁交通局の資料でも下記のように記されています。

(1)「ペダル付きの原動機付自転車 は」 、原動機を作動させず、ペダルを用い、 、 かつ人の力のみにより走行させることができるものであったとしても、道路交通法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車に当たります(車両の種類は当該車両の属性をあらわすものであり、例えば、原動機を作動させて「自動車」 、 を発進させその後原動機を停止させて惰性走行した場合であっても、「自動車」を通行させていることとなるのと同様です 。。)
したがって、「ペダル付きの原動機付自転車」は、車道の通行等原動機付自転車の通行方法に従うことが必要です。

(2)「ペダル付きの原動機付自転車」は、原動機により走行することができるだけでなく、ペダルを用いて人の力のみによって走行させることもできる構造ですが、いずれの方法で走行させる場合もペダル付きの原動機付自転車の本来の用い方に当たることから、「ペダル付きの原動機付自転車」をペダルを用いて人の力のみによって走行させる場合も、原動機付自転車の「運転」に該当します。

参考 「ペダル付きの原動機付自転車」の取扱いについて|警察庁交通局

道路交通法に明記することで法的根拠に基づいて取り締まりができるようになるというわけですね。

ペダル付き原動機付き自転車のルール

道路交通法にモペッドも原動機付きバイクであると明記がされた場合、モペッドには下記のような義務や装備が必要となります。

● 運転免許の取得と携帯(原付き)
● ヘルメットの着用
● 歩道通行不可
● 自賠責保険の加入
● ナンバープレートの取得
● ブレーキランプの装備
● ウインカーの装備
● ミラーの装備

新たな乗り物として過去にペダル付き原動機付き自転車の扱いについて検討されてきたこと

grafitPhoto via:https://glafit.com/products/gfr/gfr-02/

技術の進歩や、新製品の開発などにより、従来までのルールには収まらない乗り物も増えているという現状があり、現行法の中では、それらの乗り物の利便性が大きく損なわなれているという問題があるので、それらを改善するためのルールの改正などが有識者会議で検討されています。

ペダル付原動機付自転車も検討対象として含まれています。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会での検討

ペダル付原動機付自転車の場合は、使用する形態によって原動機付自転車と自転車の両方の性格を持つため、それぞれのモードで走行する場合は、それぞれ区別されたルールが適用されるように、その方法や範囲について検討がされています。

2021年7月現在でペダル付きの原動機付自転車を自転車として利用できるようにするために、下記のような方向で対応が検討されているようです。※2023年から

原動機で走行できない構造にする

原動機を用いて走行できるものは原動機付き自転車として扱われるため、機能を完全に切り離して、自転車として走行する場合には原動機を用いて走行できないようにする構造を持たせる。

ナンバープレートの表示と非表示の切り替えができるようにする

自転車として走行する際にはナンバープレートを非常時にするなどして、周囲の人が見て、原動機付自転車なのか、自転車なのかの判断ができるようにする。

要するに、ナンバーを表示していれば原動機付自転車として走行していることになるので「自転車として乗っていた」などの言い逃れが出来なくなることや、ナンバーを非常時にすることで自転車という扱いになり、自転車が走行できる歩道が通行できるようになり、利便性を損なわないというところになるかと思います。

乗車しながらのモードの変更ができないようにする

自転車から原動機付自転車、逆に原動機付自転車から自転車への切り替えを乗車しながらではできないようにする必要性も検討されています。

つまり、モードを切り替えるためには、停車する必要があるということになります。

このあたりに関しても、安全性を考慮してという部分ももちろんあるとは思いますが、取締に対しての言い逃れが出来ないようにするための対策になってくるのだろうと思われます。

ただし、ペダル付原動機付自転車は「原付バイク」「電動アシスト自転車」「自転車」という3Wayの性格を持たせられる自転車でもあるので、同じ自転車としての扱いである「電動アシスト自転車」「自転車」間での切り替えについては走行中のモードの切り替えが可能でも構わないのではという方向で検討されているようです。

参考 多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会| 警察庁

電動バイク・自転車の切り替え走行が認められた自転車

ハイブリッドバイクGFRPhoto via:https://glafit.com/news/pr20210702/

上記の条件を満たすようなペダル付原動機付自転車の公道テストも行われていて、警察庁の指導を受けながら開発が進められていたglafit株式会社の「ハイブリッドバイクGFR」が、自転車・原付を切替できる「ハイブリッドバイク」 として日本で初めて認定されたペダル付原動機付自転車となっています。

これは、同社が開発した、ナンバープレートを隠す機能を持たせた「モビチェン(モビリティ・カテゴリー・チェンジャー)」という機構を取付けた際に「電動バイクと自転車の切替えを認める通達」が2021年7月1日に警察庁より発出公表されたことにより「ハイブリッドバイク」 として認定されるに至ったようです。

参考 glafit GRR-02
参考 「ハイブリッドバイクGFR-02」を発表|grafit

grafit社は10年ほど公道でのテスト走行を省庁と協力をしながら行ってきた流れもあるようですし、ようやく努力が実って認定された感じで、現状では唯一の電動バイクと自転車の切り替えが認定されたペダル付原動機付自転車です。

あくまで「モビチェン」を取付けた際に認められるもののようなので、現実的にはまだペダル付原動機付自転車は原動機付自転車の扱いになりますから、その他のペダル付原動機付自転車は勘違いしないようにする必要があります。

海外ではペダル付原動機付自転車は早い段階から普及をしている感じがありますが、日本では法律の関係もあり、電動バイク・自転車との併用で気軽に利用できる乗り物として普及するのはまだまだ先のような状況ですね。

可能になったとしても、電動バイクと自転車との機能を切り分ける機構、電動アシストバイクと自転車の切り替えの機構、停車時のみ切り替えができる機構など、日本の交通法に則ったカスタマイズが必要になりそうなので、積極的に参入する企業も少ないような気がしますし、すでに普及している中国などの海外から輸入するにしても日本仕様にカスタマイズが必要になるので参入のハードルは高そうです。

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