GIANT社のクロスバイクのESCAPE Airのハンドルをフラットバーからブルホーンバーに変えた結果、見た目は勿論のこと、性能面や乗り心地でも思っていた以上にいろいろ変化がありました。
クロスバイクをブルホーン化するとどうなるのか、その違いをまとめてみたいと思います。
ブルホーン化してポジションが変わりました
深い前傾姿勢で乗れるようになった
ハンドルが変わったのでポジションが変わります。フラットバーの時には深い前傾姿勢をとりたいがために、角度のきついステムを逆付けしたりしてハンドル位置をなるべく低くしようとしていましたが、そんなことをしなくても、より深い前傾姿勢がとれるようになりました。
乗車姿勢としては、骨盤を立てて腹筋で支えて、というようないわゆるロードバイク的な自然な前傾姿勢が実現できた感じがします
僕がクロスバイクをフラットバーからブルホーン化する際に最も期待していたのがこの点でした。なんとかしてクロスバイクでもロードバイク的な乗り方が出来るようになれば・・・と考えたわけです。
ブルホーン化はにはデメリットもあるわけですが、この問題をクリアできたことで他のデメリットを帳消しにして有り余るくらいのメリットをブルホーン化することで感じることが出来ています。
しかし、そのままではハンドル位置が遠くなってしまうので、ステムの長さを短くするなどの調整が必要だと思います。
背筋と腹筋の筋肉痛が出た
ポジションが変わると同時に使う筋肉が変わったせいだと思いますが、クロスバイクに乗った後に背筋と腹筋が筋肉痛になりました。
フラットバーの時には長距離を走っても背筋と腹筋に筋肉痛が出ることはありませんでしたからブルホーン化することで現れた明確な違いの一つだと思います。
ブルホーン化するとシフトチェンジの操作性が悪くなる
ブルホーンバーのシフトレバー
ブルホーンバーに取り付けるシフターの選択肢はいくつかありますが、よく選択されるのが次の二つです。
いずれにしても、フリクションと呼ばれるタイプのシフトレバーが基本になるため、操作感覚はフラットバーで使用されるラピッドファイヤーと比べると全く違います。
ラピッドファイヤーはシフトレバー1つで狙ったギアへ確実に変速できるデジタル的なシフターですが、フリクションは自分の感覚で狙ったギアに変速するアナログ的なシフターなのです。
当然、ラピッドファイヤーに比べるとフリクションタイプのシフターは不便ではありますが、あくまでラピッドファイヤーとの比較をすると変速の利便性が落ちると言うだけの話で、昔の人は全てフリクションでやってたわけですから全く使えないモノというわけでは当然ありません。
街中を適当に走行することだけを考えるのであれば、もともと頻繁にシフトチェンジするような乗り方はしないと思いますので、慣れの問題以外は全く問題ないと思います。
下調べの段階では「フリクションタイプのシフトレバーの場合は10速や11速だと位置調整がシビア」だとか「調整が面倒」などの評判が多くて使用するまで不安もありました。
実際に使用してみてもラピッドファイヤーに比べれば不便で面倒なのは間違いありません。逆に言えばラピッドファイヤーが素晴らし過ぎるとも言えると思います。
シフトチェンジのシビアさに関しては一昔前の7速などと比べれば10速、11速とギア数が増えている関係でシビアになっていると思いますが、ミリの微調整が必要・・・というモノでは全くありませんし、適当に変速してもどこかのギアにハマりますから実用上で不便に思うことはあまりありません。
繰り返しますが、シティライドで変速にこだわりがなければ問題が無いというお話ですが、頻繁にシフトチェンジを行なうような走行がしたいと思う場合にはそれなりの熟練が必要だと思います。
シフトレバーの調整
シフト調整に関しては、一段一段正確な調整が必要なインデックス方式とは違い、あっけにとられるほど簡単に調整が終わります。ローのレバーの位置さえ決めてワイヤーさえ張れば終了で、あとはレバーを倒してワイヤーのテンションを緩めていけば適当に変速できるようになります。
シマノ(SHIMANO) シフトレバー SL-R400 1台セット (Wレバー) ISLR400F CLARIS(クラリス)
ブルホーン化するとブレーキの制動が緩くなる
ブルホーンバーのブレーキ
フラットバーからブルホーンバーへ変更する際に、最も気掛かりだったのがブレーキの効きです。
というのもクロスバイクのESCAPE AirのVブレーキとブルホーンバー用のブレーキレバーとの間には互換性があるかどうかが不明だったためです。
後日メーカーに確認したところ、僕が使用しているプロファイルデザインのエアロブレーキに関してはキャリパーブレーキ用に設計されたブレーキレバーなので本来はクロスバイクなどで使用されているVブレーキとの互換性はありません。
しかし、ESCAPEシリーズなどに標準で装備されているミニVブレーキなどであればワイヤーの引き幅はキャリパーブレーなどと同じ程度ですし、ブレーキケーブルアジャスターを使用すればV互換性はある、との回答を得られています。あとは調整次第という感じなので、使用に関しては問題ないことが判っています。
シマノ(SHIMANO) Vブレーキ BR-T4000 リア用 S65Tシュー フィキシングボルト:16.0/25.0mm アーチ長:90mm シ...
実際の制動テストについては下記の記事で実験しています。
ブルホーン化するとハンドル持ち手のバリエーションが増えた
ハンドルの持ち手の位置を変えられる自由さ
フラットバーからブルホーンバーに交換すると、ハンドルの持ち方のバリエーションを増やせます。特に角の先端部分を持つとドロップハンドルの持ち方とほぼ同じになり、フラットバーを持つよりも手や腕の関節に無理の無い姿勢でハンドルを持つことができるようになるらしく、長時間のライディングの際に疲労度が違ってくるようです。
僕の場合はそれほど長距離を走らないのでその恩恵は感じられていませんが、持ち手の位置を変えられると、上体が起きたアップライトな姿勢や前かがみに前傾姿勢を深くした姿勢をとれたり、その時の走行状態や気分に応じて好みの体勢がとれるようになりました。
ブレーキ位置によって基本的ポジションが決まる
ハンドルの持ち手の位置のバリエーションは増えますが、走行中は基本的にはブレーキのある場所に手を置くようになりますから、自分が一番使用すると思われる位置にブレーキを設置できるような改造カスタマイズにしておくのが良いと思います。
ブルホーン化してスピードがアップした
フラットバーからブルホーンバーにしてスピードがアップしました。
ポジションが変わって、より効率的にペダルを踏む力を動力に変えることができるようになったこともあるでしょうし、深い前傾姿勢が取れるようになり空気抵抗が減ったおかげもあるとは思いますがスピードがアップしました。
フラットバーの時は無理なく長時間維持できるようなスピードは24km/h〜27km/hくらいだったのですが、同じような感覚でペダルを踏んでいるにも関わらず30km/h程度のスピードで走れるようになりました。
ブルホーン化で車体重量が増えた
ブルホーン化した後では重量が増えました。要因としてはフラットバーよりもブルホーンバーの方が素材が多いため重量が重いという点。僕の場合はフラットバーではカーボンハンドルを使用していたのですがブルホーンバーではアルミになったことが一番の原因だと思います。
シフトレバーも重くなりましたが、僕が使用していたフラットバー用のシフトレバーはアルテグラモデルのシフトレバーで、かなり軽量なものでした。しかし現行モデルのシフトレバーはそれほど軽くはないのであまり差が出ないものと思います。
ブルホーン化するとお尻の痛みがなくなった
ブルホーン化に伴ってESCAPE Air純正の白いサドルをやめて別のサドルに交換したため、フラットバーの時との正確な比較はできませんが、サドルが薄くなりクッション性が低くなったにも関わらず、走行中のお尻の痛みがほとんどなくなりました。
新しいサドルが身体にフィットしているという感じがするので、サドルとの相性が良かったというのが痛みが無くなった要因としては大きいでしょうが、ハンドルが変わってポジションが変化したことで、お尻への負担が減ったことも理由の一つと思います。
クロスバイクをフラットバーからブルホーン化して変わったことのまとめ
ブルホーン化したクロスバイクの特徴
クロスバイクのESCAPE Airをフラットバーからブルホーンバーにしたことによって、クロスバイクの最大の利点である気軽に乗れるスポーツバイクというところが消えて、ロードバイクのように乗る前の準備をしっかりして・・・というような自転車になった気がします。
例えば、近所のスーパーや書店まで買い物に出かける、といったような日常使い的な用途であれば、明らかにフラットバーの時の方が便利で使いやすいクロスバイクであったのは間違いありません。
しかしながら、僕の場合は20km〜40km程度の走行がメインで、フラットバーの時は30kmを越えてくると少々しんどいと思えるような距離でしたが、ブルホーンバーにしたことでそれほどしんどいとは感じなくなりました。そんなことからブルホーンバーはフラットバーよりも長距離向きな自転車だと思います。
つまりは、クロスバイクがロードバイクとマウンテンバイクの中間の自転車であるならば、ブルホーンバーにしたクロスバイクはクロスバイクとロードバイクの中間のような自転車になり、クロスバイクをロードバイク寄りに改造カスタマイズしたいと考えている僕の狙いとしては、しっかりと目的にハマったものとなりました。
正直なところ、フラットバーからブルホーンバーに交換した当初は、しばらく乗ったらまたフラットバーに戻してしまおうかと思ったりしたのですが、ポジションを調整して、乗り馴れてくるとフラットバーの時以上に快適に乗れるようになり、ブルホーンバーに変えて良かったなあと思えます。
さらに55kmほど走って来たので追加の感想です。
フラットバーよりもブルホーンバーの方が、明らかに楽に走れるようになったと思います。
55kmを長距離とは言わないとは思いますが、普段の僕の走行距離からすると長めの距離で、ストップ&ゴーの多い都心でそのくらいの距離を走ると後半は少々疲れ気味になり、惰性で走っている感じがありました。
しかし、今回は目的地に辿り着いてもまだまだ走れる感じで遠回りして帰ろうかなと思えるくらいの余裕がありました。サイクリングロードなど条件の良い道を走れば100kmも楽に走れるかもしれません。
クロスバイクのブルホーン化がお勧めできる人
クロスバイクのブルホーン化は下記のような人におすすめできる改造カスタマイズです。
● スピードアップしてより軽快に走りたい人
● 愛車の見た目を個性的にしたい人
● クロスバイクからさらに一歩進んだ感じの自転車の変化を楽しみたい人
● クロスバイクにこだわりたいけどスピードをもっと出したい人
● クロスバイクで長距離をもっと乗りたい人
ブルホーン化がお勧めできない人
逆に、下記のような乗り方をする人にはブルホーン化はあまりおすすめできません。
● ご近所へのちょっとした用事に使えるお気軽自転車としてクロスバイクに乗っている人
● 現状よりもシフトチェンジを不便にしたくない人