クロスバイクと言えば、その代名詞的な存在として長らくGIANT社のEscape R3が君臨していましたが、現在はGIANT社のクロスバイクのラインナップも多様化したこともあり、クロスバイクですらも、一体どのモデルを選べば良いのかがわかりづらくなっています。
そこで、GIANNT社のクロスバイクの各モデルが想定している自転車の乗り方を、スペックを紐解きながら、解説してみます。
多様化するGIANT社のクロスバイク
GIANT社のクロスバイクと言えば、昔は定番モデルのEscape R3と、ロードバイク寄りのEscape RXシリーズしかなく、非常にさっくりとした棲み分けになっていて、街乗りメインの人はEscape R3を、もう少しスポーティーな走りをしたい人はEscape RXを選択すれば良かったのですが020年あたりから、クロスバイクの仕様も細かく分けられるようになり、2023年現在では、何種類ものクロスバイクがラインナップされています。
GIANT社のクロスバイク
2023年現在では下記のシリーズが展開されています。
FASTROAD
ESCAPE RX
FORMA
ESCAPE R
CROSTER
さらにシリーズの中で細分化されていて、少しずつ仕様が異なっています。
スペックによって想定されている乗り方も違ってくるので、クロスバイクを選ぶ際には、どのように自転車に乗りたいのかを具体的にして、その理想に近いモデルを選択するのが、ベストな自転車の選び方になります。
一昔前はESCAPPE R3かESCAPE RXしかなかったので、クロスバイクを購入したあとは、自身でいろいろとカスタマイズして自分好みのスペックに仕上げていくというようなことをしていましたが、今はこれだけ細分化されているので、あえて自分でカスタマイズをするなてことをしなくても、目的に適ったスペックの自転車に乗ることができるようになっています。
GIANT社のクロスバイクのシリーズ解説
FASTROAD
モデル:FASTROAD AR 2
一昔前なら「フラットバーロード」とも呼ばれていたと思うようなスペックの自転車で、コンポーネントにはロード用のSORAが採用されていることや、ストレートタイプのカーボンフォーク、ロード寄りなフレームなどから、走行性能を高めたモデルであることが考えられます。
一方で、700x40Cという太いタイヤが選択されていることから、完全なオンロードだけを走行する専門の自転車というわけではなく、未舗装で凸凹した道を走ることも想定されているモデルで、いわば、フラットバーシクロクロス的な自転車だと思います。
このあたりは、フラットバーロード仕様のEscaepe RX1との棲み分けでしょうね。
参考 FASTROAD
ESCAPE RXシリーズ
GIANT社のクロスバイクの中で完全にロードバイク寄りの仕様になっているのがESCAPE RXシリーズですね。
ESCAPE RX 1 DISC
ハイエンドモデルの「RX 1 DISC」はロード用コンポーネントのTiagraを搭載し、GIANT社のロードバイクのエントリーモデルであるCONTENDシリーズの「AR 2」とほぼ同等のスペックになっていることから、フラットバーハンドルであること以外はほぼロードバイクと考え良いようなモデルで、圧倒的に走り優先のスペックになっています。
ESCAPE RX 2 DISC と ESCAPE RX 3
ESCAPE RX 2 DISC と ESCAPE RX 3は、一般的な軽快車にも搭載されることの多いコンポーネントであるALTUSが採用されていて、フラットバーロードというよりは、スポーティーなクロスバイクという印象です。
ESCAPE RX 2 DISC の方が ESCAPE RX 3よりのm2万円ほど高いですが、ESCAPE RX 2 DISCにディスクブレーキが搭載されていることの差で、それ以外に大きな違いはありません。
FORMA
スペック的には最もロードバイクに近いモデルで、ロード用コンポーネントのClarisを搭載し、キャリパーブレーキが採用されています。
エアロ形状のフレームやフォークなど、見た目も最もスポーティーなクロスバイクと言って良いでしょう。
コンセプトとしては、RXシリーズのように長距離のライドを意識したモデルではなく、街中を快適、そしてスタイリッシュに走り抜けられるような自転車ですね
ディスクブレーキでもないので、カスタマイズのしやすさや、ホリゾンタルなフレームも良い感じなので、クロスバイクをロードバイク寄りにカスタマイズしたい場合は最初に候補に挙げたいモデルでもあります。
参考 FORMA
ESCAPE Rシリーズ
ESCAPE R DROP
クロスバイクを魔改造していくと、最終的にロードバイクと同じドロップハンドルにしてしまうというのが、クロスバイクの魔改造の象徴的なカスタマイズでもありました。
しかし、フレームの設計などがクロスバイクとロードバイクとでは全く異なることから、一部のロードバイク愛好家の方などにとっては超邪道なカスマイズであり、馬鹿にされたり、批判されたりすることもありました。
ところがスポーツバイクの世界最大手のGIANT社が、まさかのドロップハンドル化したクロスバイクを発表したことから、ドロップハンドル化されたクロスバイクも市民権を得るようになりました。
売れているかどうかは別の話ですが、クロスバイクの在り方に衝撃を与えた歴史的なモデルでもあります。
ESCAPE R DISC
定番のクロスバイクであるESCAPEシリーズ初のディスクブレーキ採用モデル。
基本的な仕様はESCAPE R3とほぼ同じですが、ディスクブレーキ化された分、今風な見た目になって、悪天候の日でも走りやすい自転車になりました。
ただし、ディスクブレーキになった分、改造カスタマイズで自由度が少なくなった部分もあるので、改造カスタマイズを考えているのであれば、ESCAPE R3の方が断然おすすめです。
ESCAPE R3
GIANT社のクロスバイクの定番中の定番モデル。
自転車選びに迷ったらESCAPE R3を購入しておけば間違いないと言われるほど、完成度とコストパフォーマンスの高いモデルです。
2023年現在は値上げされt、以前ほどの安さは感じられませんが、それでも他メーカーの同程度のスペックの自転車と比較すれば、まず第一の選択肢になるのは変わらないところです。
スペック的には必要最低限といった感じになっていて、特に特徴がないのですが、それだけに、一からカスタマイズして自分好みのクロスバイクに仕上げていくという、カスタマイズ前提で購入する人もきっと多いのではないでしょうか。
とは言え、GIANT社のクロスバイクは、このページでも紹介している通り、細かく仕様が別れた状態でラインナップされるようになってきているので、以前のようにコンポーネントを丸ごと取り替えするような大掛かりなカスタマイズをする必要がなくなってきていますね。
前述したように、クロスバイクをロードバイク化したいのであれば「FORMA」あたりを購入した方が、圧倒的に望んでいるスペックの自転車が手に入ると思います。
参考 ESCAPE R
CROSTAR
価格やスペック的に「GIANT ESCAPE R3」と比較されることの多いのがこのCROSTARです。
ESCAPE R3をさらに街乗り用途にしたようなクロスバイクで、2×8ドライブトレインになっていることで、軽量化もされています。
軽量化されているので、信号待ちなどでストップ&ゴーの多い、街中や都心部ではスタート時の負担が少なくESCAPE R3よりも快適に乗ることができるだろうと思います。
また、ESCAPE R3同様にカスタマイズする楽しさもあるクロスバイクだと思います。
参考 CROSTAR
GRAVIERシリーズ
GRAVIER DISC
街乗りを意識したマウンテンバイク寄りのクロスバイクで「GIANT ESCAPR R3」をマウンテンバイク寄りのスペックにした感じで「CROSTAR」の対極にあるようなクロスバイクです。
ディスクブレーキが搭載されて、タイヤもマウンテンバイク寄りで太いので、通勤や通学などで、天気やパンクなどを心配しなくても済むようなタフなスペックになっています。
GRAVIER
基本的な仕様は「GRAVIER DISC」とほとんど同じですが、ブレーキがVブレーキなのと、フォークがクロモリ製という違いがあります。
「ESCAPER R3」のマウンテンバイクカスタム版といった感じのスペックですね。
参考 GRAVIER
SNAP
クロスバイクながらフロントサスを備えており、かなりマウンテンバイクの仕様に近いクロスバイクで、「FORMA」の対極にあるような仕様になっています。
本格的なマウンテンバイクほどのゴツさはないものの、フレームもマウンテンバイク寄りの設計がされていて、マウンテンバイクの入門機としては十分なスペックを備えている感じで、オンロードを走るロードバイクよりも、荒れたオフロード走行などを楽しみたいと考えている場合などには候補に挙げたいモデルです。
参考 SNAP
GIANT社のクロスバイクまとめ
GIANT社のクロスバイクは、冒頭にも書いたように、以前はスポーティーなESCAPE RXシリーズと、ノーマル版のESCAPE R3しかありませんでした。
ユーザーはいずれかのクロスバイクを購入して、自身が目指したいスペックになるようなパーツを選んで、カスタマイズしながら、ロードバイク寄りにしたり、マウンテンバイク寄りにしたりをおこなっていました。
しかし、ディスクブレーキが主流になってきたあたりから、ブレーキ周りのカスタマイズのハードルが上がるなどして、以前よりもカスタマイズに取り組む人の数も少なくなってきたような印象です。
大掛かりなカスタマイズをしなくても、最初から自分の乗りたい目的に応じたスペックの自転車が選べるようになっていて、従来まではユーザーがおこなっていたカスタマイズした仕様のクロスバイクを製品化して、ユーザーの需要に答えようとしている感じが伺えます。
ロードバイクやマウンテンバイクもジャンルが細分化されていますし、クロスバイクの多様化も当然の流れなのかなとも思いますね。
種類が増えた分、どのクロスバイクを選べば良いのか、悩んでしまうようにはなりますが、そもそも対面販売が基本なので、ショップのスタッフと相談しながら選べば何の心配もないのかなと思います。
かなり細かく細分化されたので、今後種類が増えることはないでしょうが、こうして自転車自体の進化や新しいジャンルが生まれたりするわけで、自転車ファンとしては、今後どのように変化していくのかにも注目しておきたいなと思います。