電動アシスト自転車のバッテリー容量の表記について（ボルト・アンペア・ワット）

電動アシスト自転車はバッテリーを使用しますが、使用されているバッテリーのほとんどはリチウムイオン電池です。

電動アシストのアシスト能力やアシスト機能の持続時間は、このバッテリーの性能によって変わってきます。

電動アシスト自転車の機能や性能はどのメーカーも似たり寄ったりなので、購入判断の決めてになるのはデザインとバッテリーの容量やスペック次第というところになります。

バッテリーのスペック

バッテリーの性能はVボルトやAアンペアなどで表され、電動アシスト自転車のスペックには必ず表記されています。中学校の時に理科の時間で習った気もしますが、それぞれの意味について忘れていたりもするので、改めて意味をまとめてみました。

VボルトやAアンペアの意味

電動アシスト自転車のスペックを確認すると、バッテリーの容量欄には「25.5V-15.4Ah」などの数値が書かれています。

V（ボルト）

VはVolt（ボルト）の頭文字を表す記号です。
電圧を表す単位で「電気を押し出す力」を意味します。
川で例えると川の流れの強さになり、電圧が大きいほど、電気の流れる勢いが強くなります。

A（アンペア）

AはAmpere（アンペア）の頭文字を表す記号です。
電流の軽量単位であり、「電気の流れる量」を意味します。

Ah（アンペア・アワー）

Ahはバッテリーの「容量」を表し、A（アンペア）と１時間（アワー）が組み合わさった単位です。
15.4Ahであれば、「1時間に15.4A（アンペア）を取り出せる容量」を表します。
同じ電圧、同じ速さで自転車を走らせた場合、Ahの値が大きいほど、バッテリーが長持ちする（長距離を走行できる）ことになります。

ワット時定格量（Wh）

バッテリーのスペックを読み込むと「ワット時定格量」というものがあります。

ワット時定格量はワットアワー（Wh）と呼ばれ、ワットとアワーが組み合わさった単位で「電力量」を表します。
リチウムイオン電池などのバッテリーが理論上、蓄えたり取り出したりできる電力量（完全に充電された状態から完全に放電されるまでの電力量）です。

ワット時定格量は下記の計算式で求めることができ、ワット時定格量が大きい方が電池の持ち時間が長く、長距離を走れるということになります。

定格容量（Ah） x 公称電圧（V） = ワット時定格量（Wh）

例えば、電動アシスト自転車のバッテリーで主流の「25.5V-15.4Ah」であればワット時定格量は下記の数値になります。

25.5 x 15.4 = 392.7Wh

一方で、より多くのパワーを必要とするスポーツタイプの電動アシスト自転車などには、より電圧の高い36Vのバッテリーが使用されていることが多く、ヤマハのスポーツタイプの電動アシスト自転車「WABASH RT」のバッテリーは「36V-13.1Ah」となっています。

パッと見て、普通の電動アシスト自転車のバッテリー容量は15.4Ahなので、スポーツタイプの電動アシスト自転車のバッテリー13.1Ahよりも要領が大きいので、普通の電動アシスト自転車のバッテリーの方が長い距離をアシストできそうに思えます。

しかし、ワット時定格量を計算してみると下記の数値になります。

36 x 13.1 = 471.6Wh

表向きのバッテリーの容量は普通の電動アシスト自転車で一般的なバッテリーよりも少ないものの、実際に走れる距離はスポーツタイプの電動アシスト自転車で多く使われているバッテリーの方が長くなるということになります。

このあたりは分かりづらさもあるので、メーカーのスペック表記の部分は、25.5V換算でAhを併記していることが多いです。

電動アシスト自転車のバッテリー容量と走行距離の目安

電動アシスト自転車のバッテリーのスペックの見方と考え方

バッテリー容量は大きければ大きいほど、充電なしで長距離を走ることができます。また充電が必要になる頻度も少なくなるので、毎回充電をしなければいけない煩わしさがなくなります。

なので「容量の小さなバッテリーよりも、容量の大きなバッテリーを選択した方が良い」ということになります。

しかし、容量と価格は比例の関係にもあるので、要領が大きなバッテリーになればなるほど価格は高くなっていきます。

予算の都合が許すのであれば、有無を言わさずバッテリー容量の大きな方を選択すれば良いわけですが、結構な価格差があるので悩むところでもあります。

バッテリー容量は15Ahあたりで頭打ち感

以前は、バッテリーの性能は日進月歩で変化していて、新モデルが出るとバッテリー容量が一気に増えたりしていたので、新しいモデルの出るタイミングを間違えるととても損した気分になっていましたが、ここ5年くらいはバッテリー容量に大きな変化がありません。

大きさ的にも、性能的にも何か新しい技術が生まれない限りは、現状のままという感じがしますね。
実際のところでバッテリーは盗難されることも多いので、容量が大きくても自宅に自転車を停める際にはバッテリーは取り外して室内に持ち帰ることになり、毎回バッテリーを充電するためにつけ外ししているのと大差がない状態になります。

小さめのバッテリーでも10km以上は余裕で走れますから、そういうことを考えても無理して、容量の大きいバッテリーを大金を出して買う必要はなく、小さめのバッテリーでも十分だと思います。