ビンディングペダルは、クロスバイクやロードバイク、マウンテンバイクに乗る際に、より快適で、よりスポーティーな走りをするために必要不可欠とも言えるパーツの1つです。
しかし、初心者にとっては「立ちゴケ」の不安もあったりで、導入になかなか踏み切れない人もいるようです。
特に、本格的なロードバイクなどで使われることの多い「SPD-SL」などになると、敷居が高くなり、クロスバイクでSPD-SLを使用している人はかなり少数になると思われます。
クロスバイクでビンディングペダルを使用したい場合には、初心者でもビンディングペダル導入の敷居が低く、ビンディングペダルデビューしやすいマウンテンバイク用に開発されたという「SPD」と呼ばれるビンディングペダルがおすすめになります。
シマノSPDペダルのクリート
クリートを合体させると、基本的には外さないで走り続けることを前提としたロードバイク用のSPD-SLに対して、オフロード走行で頻繁に付け外しを行なうことを想定しているのがSPDです。
オフロード走行時は、バランスを崩しやすいので、クリートの付け外しがしやすく設計されているのがその理由ですが、付け外ししやすいというところが、初心者にも安心なビンディングペダルというポイントにもなるのです。
シングルクリートとマルチクリート
SPDペダルには、性格の異なる2種類のクリートがあります。
シングルクリート(SM-SH51)
とマルチクリート(SM-SH56)
と呼ばれる2種類のクリートが用意されています。
シングルクリートとマルチクリートの違いが、初心者にとっては解りづらいのが実際のところです。
そこで、ビンディングペダルのSPDの「シングルクリート」と「マルチクリート」の違いをまとめてみます。
SPDのクリートのシングルクリートとマルチクリート
シマノのビンディングシステムの1つである「SPD」で使用するクリートには、シングルクリートとマルチクリートの2種類があります。
「シングルクリート」と「マルチクリート」の二つは、外見はほとんど一緒なので、素人目には同じに見えてしまいますが、よく見ると、あちこち細かな部分が違っています。
SPDシングルクリート
シングルクリートは、シマノ製品のSPDペダルを購入すると、標準で同梱されているクリートで、シングルモードクリートと呼ばれます。
見た目でマルチクリートと区別しやすくするためだと思いますが、クリートはブラックに塗装されています。
品番はSM-SH51。
SPDマルチクリート
マルチクリートは、ビンディングペダルとは別売パーツになっているクリートで、マルチモードクリートと呼ばれます。
色は、シルバーとゴールドで、クリート本体には、マルチを意味するMの文字が入っています。
品番はSM-SH56。
SPDシングルクリートとマルチクリートの違い
クリートの表面
クリートの表面。
表から見た場合は、シングルクリートが黒、マルチクリートがシルバーでMの文字が入っています。
また、それぞれの品番が刻印されています。
クリートの裏面
クリートの裏面です。
裏面も基本的には同じ形状をしています。
クリートの先端の方に、シングルクリートではOL、マルチクリートではPDという刻印がありますが、意味は解りませんでした。
クリートの側面
続いて側面です。
シングルクリートとマルチクリートの二つを横からみると、その違いが初めて理解できます。
シングルクリートは角が立っているのに対して、マルチクリートは角が取られて、丸みを帯びた形状になっています。
この違いが、ビンディングにクリートの外れやすさの違いとなるようです。
SPDシングルクリートとマルチクリートの名前の由来
シングルクリートは、かかとを外側に捻った時にクリートが外れるようになっているもので、SPDの標準タイプのクリートです。
クリートが外れる方向が一方向しかないので、シングルクリートと呼ばれます。
一方、マルチクリートは、外側に捻るだけでなく、上方向や斜め上方向に引っ張っても外すことのできるクリートで、マルチ方向に外れるため、マルチクリートと呼ばれます。
SPDシングルクリートとマルチクリートの一長一短
SPDのシングルクリートとマルチクリートの大きな違いは、一方向にしか外れないのか、多方向に外れるのかというところになります。
一般的には、クリートが外しやすいマルチクリートの方が、ビンディングペダル初心者には安心と言われています。
但し、マルチクリートの方が外しやすくて安心な反面、力強いペダリングをした際に予期せぬタイミングで外れてしまうこともあるというわけで、ビンディングペダルに慣れて本格的に走りたい人にとっては、シングルクリートの方が適しているようです。
いわゆる「引き足」と呼ばれる、ペダルを引き上げるようなペダリングをする場合、マルチクリートは外れやすさが裏目に出て、不向きになることも考えられます。
ビンディングペダルと言えば「引き足」と言えるくらいに、ビンディングペダルの恩恵が感じられるのは引き足を使う時だったりするので、その点が使いづらくなることを思うと、やはりマルチクリートよりもシングルクリートを選択した方がデメリットが少なくなると考えることができます。
また、予期せぬタイミングで外れてしまうということは、バランスを崩してしまい危ない目に遭う可能性も考えられるので、普通に考えれば、なるべくクリートが不意に外れてしまわないシングルクリートを選択した方が良いようにも思えます。
そんなわけで、マルチクリートを使用するのは、ビンディングペダルに不慣れな初心者くらいと言えるのかもしれません。
SPDのクリートのシングルクリートとマルチクリートどっちを選ぶ?
SPDのクリートは「シングルクリートとマルチクリートのどっちを選べば良いのか?」というところになりますが、個人的にはシングルモード一択で良いように思います。
理由は下記の通り。
マルチクリートが安全というわけではない
シングルクリートをやめて「マルチクリートにしたい」と考える人理由のほとんどは、クリートが外れずに立ちゴケしてしまうリスクをなるべく減らしたいからと思います。
しかし、立ちゴケするタイミングは速度が落ちてバランスを崩してしまったりした時が圧倒的に多いわけですが、シングルクリートやマルチクリートは関係なくバランスを崩した時にはクリートは外しにくいものなので、結局は立ちゴケしてしまうのです。
また、両方のタイプのクリーを使用してみた感想として、あまり大きな違いが感じられないというのもあり、それであれば、SPDタイプのビンディングシューズを購入した時に、一緒に同梱されてくるシングルクリートのままでも良いのだろうなと思います。
シングルクリートでもマルチクリートでも、立ちゴケしてしまう時はしてしまうものなので、クリートの種類を変えるよりもまず、立ちゴケしないような対策を考える方がより安全だと思います。
シングルクリートでも外しやすさを調整できる
ビンディングペダルには、締め付け具合を調整する機構があります。
シングルクリートでも、締め付けを緩めておけば、マルチクリートほどではないにしても、外しやすくすることができます。
ちなみに、ビンディングペダル出荷時には、最強になっているようです。
最強にした方がクリートを嵌めた時に「カチッ!」という音がするので気持ち良いと言えば気持ち良いんですけど、不安な人は、緩めてクリートを外しやすくしておくというのも解決策の一つです。
初心者向けのビンディングペダルはクリッカーCLICK'R
実はシマノには、「クリッカーCLICK'R」と呼ばれる、ビンディングペダルの初心者向けのビンディングペダルがあります。
従来のSPDよりも、更にに外しやすくなったビンディングペダルで、軽く足を捻るだけでクリートを外すことができる機構になっていて、より気軽にビンディングペダルを導入しやすくなっています。
なので、ビンディングペダルの導入に不安がある人は、まずはクリッカーCLICK'Rに対応したペダルとシューズを選択するのが良いと思います。
クリッカーCLICK'Rに対応しているペダルとシューズは、初心者を意識しているため、シューズの底も柔らかかったりで、快適さを優先したビンディングペダルになっていて、どちらかと言えばカジュアルなシティライドを対象としたモデルが多いようです。
クリッカーCLICK'R対応のペダルやシューズでも、通常のSPDクリートも使用できるのでステップアップも問題ありません。