スポーツバイク、特にロードバイクを本格的に乗ろうと考えた際に、必ず必要になってくるものの一つがビンディングペダルかと思います。
フラットペダルからビンディングペダルへの交換は、自転車のカスタマイズの中でも違いが分かりやすく、人気の高いカスタマイズです。
そんなわけで、ビンディングペダルの導入を検討している人の参考になればと、クロスバイクやロードバイクをビンディングペダル化するメリットとデメリットについてまとめてみました。
ビンディングペダルは必要?
ロングライドや坂道の多い場所では必要性が高い
ビンディングペダルは、ロードバイクやマウンテンバイクに乗る人が使用するイメージがあるかもしれませんが、クロスバイクでもビンディングペダル化している人は多いですし、キビキビしたロードバイク的な走りを目指すには、ビンディングペダルへの交換はおすすめのカスタマイズの一つです。
ビンディングペダルを使用することで、「ペダルを踏む」以外の筋肉も使えるようになり、筋肉への負荷の具合も変わってくるため、長距離や坂道などを走行する際に、その恩恵を感じることが多くなります。
街乗り用途にビンディングペダルは必要か?
そんなビンディングペダルですが、「ビンディングペダルをやめてフラットペダルに戻してしまおうか」とを考えたりもしています。
というのも、「街乗り用のクロスバイクやロードバイクに、ビンディングペダルは必要か?」という根本的なところに疑問を持つようになったからです。
ビンディングペダルが街乗りでは不便と感じることも多く、諸手を上げてビンディングペダル万歳!とはならない部分があるのです。
このあたりは、人それぞれの用途や走行する場所の条件にもよるところではありますが、ビンディングペダルのメリットとデメリットを考えながら、街乗りクロスバイクやロードバイクに、ビンディングペダルは必要なのかどうかを考えてみたいと思います。
ビンディングペダルのメリット
ビンディングペダルにすると加速が違う
ビンディングペダルにすると、ペダルを踏むだけではなく、ペダルを引き上げる「引き足」も使用できるようになります。
引き足を使うと、フラットペダルとは違って、グイグイと力強い加速ができるようになります。
走り出しの際のロケットスタートのような加速力や、前を走行する自転車を追い抜くなどで加速が必要な場合にビンディングペダルの有り難みを感じることが多いです。
ビンディングペダルを使うと長距離走行で疲れが違う
ビンディングペダルを使用することによって、フラットペダルとは違ったペダリングになります。
フラットペダルのようなペダルを踏むだけの単純なペダリングではなく、引き足などを含めた「ペダルを回す」ようなペダリングが出来るようになります。
結果として、より多くの筋肉を使えることにもなるので、脚の筋肉への負担が分散され、疲れづらくなります。
短い距離のサイクリングでは、違いが実感できないと思いますが、ロングライドなどの負荷の多いサイクリングになればなるほど、その違いがはっきりと分かるようになります。
ビンディングペダルは坂道に強くなる
初心者でもビンディングペダルの恩恵を感じることの出来るポイントは、坂道でしょう。
フラットペダルで苦労して登っていた坂道も、ビンディングペダルならギア数段分くらいは軽く感じるくらいに、楽に登れるようになります。
ビンディングペダルのペダリングは、ペダルを踏むというよりは、「ペダルを使ってクランクを回転させるイメージ」などとよく言われますが、なんとなくそれが理解できるのもきっと坂道だと思います。
ビンディングペダルで平均速度のアップに効果がある
最高速度に関しては、脚力の問題が大きいと思われるので、ビンディングペダルでもフラットペダルでも大きな違いは出ないと思いますが、ビンディングペダルにすることで、ロケットスタートや速度の落ちる坂道などで速度を維持しやすくなるので、平均速度のアップには大きな効果が期待できます。
ビンディングペダルにするデメリット
自転車に乗るのが面倒になる
ビンディングペダルにすると、当たり前ですが、ビンディングシューズが必要になります。
ビンディングシューズには、底面にクリートと呼ばれる突起があり、普通の靴のように歩くことができない自転車専用のシューズです。
専用のシューズになるだけですが、気分的には「さぁ自転車に乗るぞ!」とスイッチを入れる必要があり、フラットペダルの時のような気軽さで自転車に乗れなくなります。
ハイブリッドタイプのビンディングペダル
ビンディングペダルとフラットペダルの両方で乗りたい人のために片面SPDペダルと呼ばれる、片面がSPD、もう片面がフラットになったハイブリッドタイプのペダルもあります。
街乗りの気軽さも残しつつ、ビンディングペダルの本格的な走りも出来るという、欲張りタイプのビンディングペダルです。
自転車から降りるのが面倒になる
ビンディングシステムを活用するためには、専用の靴(ビンディングシューズ)が必要になります。
サイクリングをしようと思うと、このビンディングシューズを履かなくてはいけなくなるのですが、ビンディングシューズの底面にクリートが装備されているため、非常に歩きづらくなってしまうのです。
そもそもが「ビンディングシューズは自転車に乗るための靴」なので、歩くことはほとんど考えられていないのです。
なので、自転車に乗ってどこかに出かけた際に、気になるお店など見つけても、降りるのが面倒だったりして気軽に立ち寄れなくなります。
アスファルトの上を歩くたびにガリガリと音がして調子が良いものではありませんし、スパイクのようなものなので、お店の床を傷つけてしまうことにもなります。
そんなわけで、ビンディングシューズでは、基本的に自転車から降りずに目的地までひたすら自転車に乗り続けるようになってしまい、ポタリングのような気軽なサイクリングがしづらくなってしまいます。
要するに、ポタリングなどのお散歩間隔のサイクリングではなく、ひたすら自転車に乗るストイックなサイクリングになってしまうのです。
逆に言えば、あちこち立ち寄らずにサイクリングに集中するためのストイックなシステムでもあります。
ビンディングペダルだと立ちゴケする
立ちゴケは、自転車を停車させようと思った際に、ビンディングシューズとビンディングペダルが離れずに、足を着くことができないまま転倒してしまうことで、ロードバイクに乗る人なら誰でも経験する通過儀礼などと言われたりします。
慣れてしまえば、立ちゴケしなくなりますが、急な飛び出しなど慌てる場面ではうまく外せなかったりすることもあり、ビンディングペダルを使用する以上は立ちゴケしてしまうリスクは常にあると思った方が良いでしょう。
また、立ちゴケすることで、怪我や骨折をしてしまったという話もよく聞く話ですし、自転車自体もダメージを受けることがあります。
僕自身も慣れない時は、何度か立ちゴケしてしまったことがあります。
幸い骨折などはしませんでしたが、痛い思いをしたこともあり、その恐怖心から今では余裕を持って早めに外すような乗り方をしています。
ビンディングペダルは必要か?
基本的にはビンディングペダルのメリットが大きい
ビンディングペダルのメリットとデメリットはそれぞれありますが、一般的にロードバイクやクロスバイクで本格的にサイクリングを楽しみたいと考えれば、ビンディングペダルを導入するメリットが大きいです。
特に、ロングライドやヒルクライムなどでは、圧倒的にビンディングペダルのメリットの方が大きく、ビンディングペダル無しでは乗れないと思う人も多いと思います。
今現在も多くの人がビンディングペダルを使い続けているということは、間違いなくビンディングペダルを使用するメリットの方が、デメリットよりも大きいからでしょう。
しかし、街乗りとなると少し事情が違ってきます。
街乗りの条件でのビンディングペダルはストレスが大きい
信号が多い市街地ではでストップ&ゴーを繰り返す
街乗りでは信号が多いので「ストップ&ゴー」を繰り返します。
つまり、何度もクリートの着脱を行なわなくてはいけません。これがどんどん面倒になってきます。
クリートをハメたと思ったら、また次の信号ですぐに外さなくてはいけないなんてことが頻繁にあります。
それが繰り返されるとどんどんストレスに感じるようになります。
市街地は自動車や歩行者も多い
クロスバイクやロードバイクで街中を走ると、意地悪なドライバーに幅寄せされたり、歩行者や自転車の急な飛び出しがあったりで、常に危険と隣り合わせで、咄嗟の判断が必要な場面が多いです。
そのため、常にビンディングペダルであることを意識しておかないと、咄嗟の時にクリートを外せずに、立ちゴケなんてことにもなりかねません。
なので、僕は市街地で交通が混み合っているような状況下では、常にクリートを外した状態で走るようにしています。
とてもじゃないですが、怖くてクリートを装着したままでは走れたものではありません。
街乗りは郊外のサイクリングに比べてかなり過酷
上記のような感じで、街乗りは郊外のサイクリングに比べてかなり過酷な条件で走行しなくてはいけません。
市街地でビンディングペダルで走ることは、非常に神経を使いますし、ストレスが多く、自転車自体を楽しめなくなってしまいます。
どう考えても、メリットよりもデメリットの部分の方が大きいと感じてしまうのです。
街乗り用の自転車ビンディングペダルは要らない
僕個人としては、街乗り自転車にはビンディングペダルは要らないという結論です。
街乗りの場合は、ビンディングペダルにすることで、メリットよりもストレスに感じる場面が多くなってしまい、ビンディングペダルじゃないほうが純粋に自転車を楽しめる感じがするからです。
頻繁なクリートの付け外しに加えて、歩行者や他の自転車を意識して、常に緊張状態のサイクリングは精神的に疲れてしまいます。
それでもビンディングペダルをやめられない理由
夜のサイクリングだと市街地でもデメリットはあまり気にならない
今現在僕が自転車に乗るのは真夜中がほとんどです。
夜中のサイクリングは、交通量も人通りも少なくなることや、信号の変わるタイミングも長くなります。場所によっては点滅式になるなどで、頻繁に停車する必要がなくなります。
結果として、日中と比べるとストレスがかなり少なくなるので、ビンディングペダルで市街地を走行しても、それほどストレスに感じることがないのです。
なので、夜中のサイクリングを基本にしているような人であれば、ビンディングペダルでも快適に自転車に乗れる可能性が高いです。
普通の靴でも乗れる
日中に市街地で自転車に乗る場合は、ビンディングシューズではなく、普通の靴を履いてクロスバイクに乗ります。
クリートの突起に多少の違和感は感じますが、スニーカーなど底面が柔らかい靴の場合は、ほとんど気になるレベルではありません。
むしろ靴底に引っかかりがあるので、すり足が使える感じがgoodだったりします。
普通の靴でも乗れるのであれば「フラットペダルに戻す必要もないかな」というところで、ビンディングペダルを使用し続けています。
街乗りクロスバイクにビンディングペダルは必要かのまとめ
街乗りに関しては、デメリットな要素が多いビンディングペダルですが、ビンディングペダル自体は素晴らしいものだというのは間違いがありません。
一度使ってみれば、その快適さから、ビンディングペダル無しでは乗りたくないと思ってしまうほどです。
しかしながら、条件や目的によってメリットやデメリットはかなり変わってくるものなので、これからビンディングペダルの導入を考えている人は、その点をよく考えて検討するのが良いかと思います。
ちなみに、ペダルの交換自体は簡単に出来るものなので、ロングライドなど必要な時だけビンディングペダルにして、普段はフラットペダルに戻すというのも一つの方法だと思います。