クロスバイクやロードバイクでより効率の良い走りをするために必要不可欠なパーツと言えばビンディングペダルです。
色々なメーカーから様々なタイプのビンディングペダルが販売されていますが、クロスバイクに乗っている人にとって最も身近なビンディングペダルはシマノのSPDペダルだと思います。
SPDペダルはシマノのビンディングペダルの種類の一つで、ロードバイク用の本格的なSPD-SLよりももっとカジュアルな感じのビンディングペダルになります。
本来はマウンテンバイク用に開発されたビンディングペダルでクリートの着脱がしやすいため、クロスバイクなどのライトユーザーや初心者に愛用されることが多く、ビンディングペダルのデビューを考えている人にもおすすめできるシステムです。
ビンディングペダルで自転車の世界が変わる
ビンディングペダルを一度使うと、普通のペダルでは出来ないような加速的な走りが出来るようになり、自転車に乗る楽しみも大きく変わります。
ビンディングペダルならではのグングンと加速する感じを一度覚えてしまうと、もう普通のペダルには戻れなくなってしまうのです。
僕のクロスバイクにもPD-M530と呼ばれるビンディングペダルが装備されています。
ただPD-M530は品番にMの文字が入っていることからも判るようにマウンテンバイク用のビンディングペダルで、ペダルの裏表にクリート受けが付いた両面タイプのSPDペダルになります。
両面タイプのSPDペダルはビンディングペダルとしては一般的なもので、ペダルの表裏どちらにもクリート受けがあるので非常に便利なのですが、重量が重く軽量化をしたい人にとってはどうにかしたい問題です。
また、個人的にはクロスバイクをロードバイク寄りに改造カスタマイズしていきたいこともあり、よりSportyなタイプのビンディングペダルへの交換を考えていました。
そこで候補に挙がったのが、片面にしかクリートのない片面SPDペダルです。
片面SPDペダルについては下記の記事で詳しくまとめていますので、興味のある方は参考にしてください。
片面SPDペダルのPD-A600(現行品はPD-ES600)
片面なのでSPDペダルとして最軽量
シマノの片面SPDペダルのPD-A600は、ULTEGRAグレードのロードバイク用のSPDペダルでシマノのSPDペダルの中で最軽量モデルになり、重量は左右合わせて286グラムという軽量さを誇るSPDペダルです。
僕が今ままで使用していたシマノのPD-M530というマウンテンバイク用の両面SPDペダルで左右合わせて455グラムであることを考えると、いかに軽量なSPDペダルであるかがお分り頂けるかと思います。
この軽量さですから「流石はULTEGRAグレードのSPDペダルです」と言いたいところですが、2021年現在はTiagraグレードになっています。(涙) しかもPD-ES600という新しいペダルが上位モデルで発売され、重量は更に軽量になり282gで最軽量の地位も奪われてしまいました。
いずれのペダルにしても、通常は両面にあるSPDクリートを片面だけにすることにより軽量化が実現できているというわけです。
現在の最軽量はPD-ES600
なので、現状で最も軽くてスポーティなビンディングペダルを選択するとなるとPD-ES600となります。
裏側には踏板が無いので注意
片面SPDは片面にSPD用のクリートがあり、その裏側には通常の踏板が備わっていると思っている人も多いかもしれません。
僕も長い間勘違いをしていましたが、クリートが付いていない面は通常のペダルのようにフラットになっているわけではなく、ペダルの骨組みだけがあります。
言わば、片面のみのSPDペダルなので、裏面でペダルを踏めないような構造になっています。
片面がSPDペダルでもう片面がフラットペダルになっている2Wayタイプのペダルももちろんあり、PD-EH500 というモデルが該当するペダルになります。
シマノ(SHIMANO) ペダル(SPD) PD-EH500 トレッキング 片面SPD/片面フラット SM-SH56クリート付属 EPDEH500
片面SPDペダルのPD-A600のレビュー
PD-A600のパッケージ
というわけでシマノの最軽量片面SPDペダルPD-A600の開封です。
いつものシマノのパッケージですね。
マレーシアで製造
化粧箱の裏面にはPRODUCT OF MALAYSIAの文字が。
シマノにはマレーシア他アジア諸国に工場でを持っていますから、そのうちの1つの工場で作られたものというのが判ります。
PD-A600の梱包物
梱包物は、ペダルとSPD用のクリートと固定用のボルトです。
ペダルの上の黄色い紙には重要注意事項としてクリートは、シマノ製のSM-SH51かSM-SH56を使用するように書かれています。
マルチクリートとシングルクリートの違いや特徴については下記の記事で解説しています。
PD-A600の本体
シマノの片面SPDペダルのPD-A600の色はかつてのULTEGRA SLのベースカラーでもあったグロッシーグレーになっています。
しかし、シマノの最軽量片面SPDペダルPD-A600をパッケージから出した時の最初の印象は「あれ?色が薄い!?でした。
Photo via:https://amzn.to/2IoFrKn
というのも、見慣れたPD-A600の色は上記のような濃いめの青みがかったグロッシーグレーだったのですが、実際のペダルはかなり薄く青みがかったグロッシーグレーだったからでした。
カタログなどでは上記の写真よりも青みがかった濃いグレーですが、実際は淡い青みがかったシルバーと言った方が近いかもしれません。
但し、見る角度や環境によっては濃く見えることもあるので、カタログの色が間違いというわけでもない感じです。
ちなみに、この塗装は非常に剥がれやすいという評価が多く、クリートで擦ると簡単に傷ついてしまうことでも有名です。
SPDペダルとしてはかなりコンパクトなサイズ
PD-A600最大の特徴はコンパクトさで、現在使用しているPD-M530よりも一回り小さな印象です。
スペックのサイズだけなで判断すると、驚くほどの小さいという感じではありませんが、ペダル全体の塊としての印象はかなり小さく思えます。
せっかくなので、僕が初めてSPDペダルを手に入れた際に使用していたPD-T700と比べるとかなりスポーティーなフォルムでコンパクトなペダルというのがお分かり頂けるのではと思います。
PD-A600の裏側を踏めるか?
PD-A600は片面SPDペダルなので、裏側はペダルとしての機能はありません。
上記の写真の通りで、裏側はフラットではなくペダルの軸の部分が出っ張っていて、見るからに踏みづらそうな形状です。
軸とクリート受けの調整用のバネがむき出しになった状態で、ペダルとしての踏むための機能は全く無い純然たる片面ペダルになっています。
例えばスニーカーなどで乗る場合でも、裏面を踏むよりはSPD面を踏んだ方が調子が良いと言えるでしょう。
ペダルの厚みは自転車の印象を大きく変えてしまう要素だと個人的には感じていて、よりスポーティーな見た目にするためにはペダルの厚みが薄い方が良いと思っています。
その点で、シマノの片面SPDペダルのPD-A600は片面のみのペダルというだけあって、かなり薄く僕好みのスポーティーな印象のペダルです。
ボックス型のペダルと大きさを比較すると、かなりコンパクトです。
シマノの片面SPDペダルのPD-A600の感想
スポーティーでコンパクトなSPDペダル
実際にシマノの片面SPDペダルのPD-A600をクロスバイクのESCAPE Airに取り付けてみると、コンパクトでスッキリとした印象で、さすがはロードバイク用のSPDペダルの最高峰というだけあって、かなりスポーティーな見た目になったと思います。
PD-M500とPD-A600の見た目の違い
今まで使用してきた両面SPDペダルのPD-M500との見た目の違いです。
大きさ的にはそれほど大きく変わらないのですが、軽量化を意識されたデザインの違いはハッキリと見て取れます。
使用済みと新品という差を差し引いて考えても、ペダルの佇まいと言いますか、高級感なども全く違います。価格的に倍以上違うのも納得できる感じです。
現行品のPD-ES600だとなおさらスポーティな印象で、ロードバイクなどでも似合いそうなデザインになっています。
シマノの片面SPDペダルのPD-A600の使用感
ペダルの向き
シマノの片面SPDペダルのPD-A600についてよく言われる感想として、信号待ちなどでクリートを外した際に、ペダルの向きに慣れる必要があるという点です。
実際にペダルを取り付けてみると、何もしない状態だと上記の写真のようにペダルの裏面が正面を向いてしまいます。
また、SPDシューズの状態だとSPD面を踏んでいるのか裏面を踏んでいるのかが感覚的に分りづらく、走行中に目視での確認が必要だという意見も聞いたことがあります。
実際に乗ってみると、確かに表裏の判断に関しては、上手くクリートが嵌められなかった場合などは「あれ?裏面かな?」などと確認したくなる場面もありました。
これは両面SPDペダルの時には無かった感覚です。
ペダルの向きに関しては、裏面が正面を向いてしまった状態からスムーズにクリートを嵌めるためには、つま先で一旦ペダルの上部を前方向に押し倒してから嵌めるという作業が必要になります。
これに慣れるまでに少しだけ練習が必要となりそうです。
SPDペダルに慣れている人の場合は、それほど苦労無く対応出来そうですが、初めてのSPDペダルがPD-A600の場合には、いくらか戸惑ってしまっても仕方がないのかなと思います。
また、このペダルを一旦前に倒してという作業があることや、表裏の判断に迷うことなどで足さぐりしてしまうことになり、なおさらペダルを傷つけてしまうようになるのだなと思いました。
クリートの付け外し
PD-M530と比べるとPD-A600のクリートの付け外しは、やや硬くてしっかりと固定されている感じがしました。
同じSPDなので基本的には同じと思うのですが、PD-A600は一応ハイグレードなロード用SPDペダルなので、剛性などが高くてロスを少なくしている可能性も考えられます。
その点が付け外しの際に硬く感じてしまう原因かもしれません。
ペダル自体に固定力の強弱を調整する機構がありますが、個人的にはあまり大きく変わる印象は無いので、初めてでSPDペダルが不安な人は、基本のシングルクリートではなく、クリートを外しやすくなるマルチクリートに変えて使用するのが良いかもしれません。
乗り心地
個人的に期待していたのは、軽量化による乗り心地の違いでしたが、そのへんをプラッと走ったレベルでは違いが全く理解できませんでした。
恐らく、このあたりの違いは100kmほど走った際に感じられるものと思います。
ボクシングで言うところのジャブのように、あまり効いていないように感じても、それが繰り返し蓄積されてくると大きく効いてくるようになるのと同じです。
百数グラムの重量差や、ベアリングなどの機構の差は、長距離走行した場合に大きな差になって出てくるものなのです。
なのでまぁ、僕のように走っても20km~30km程度の使用範囲でパーツの違いを実感するのは、実際問題でなかなか難しいことなのかもしれません。
シマノの最軽量片面SPDペダルPD-A600のまとめ
PD-A600は僕が購入した当初はULTEGRAグレードでしたが、シマノのコンポーネントのラインナップが刷新されたのを切っ掛けにしてPD-A600Gとなり、グレードが105に格下げになりました。
さらに105グレードによりスポーティなSPDペダルとしてPD-A600を改良したようなPD-ES600というモデルが登場して、Tiagraグレードに格下げになった可愛そうなペダルでもあります。
現在ではPD-ES600の方がよりスポーティなデザインですし、平均重量も279gなので、PD-A600よりもわずかですが軽量化されています。
そんなわけで、クロスバイクのSPDペダルとしてはPD-ES600の方が定番になっているかと思います。
僕自身もPD-ES600に交換しようと考えたこともありますが、僕が購入したPD-A600はあくまでもULTEGRAグレードということもあり、わざわざダウングレードするのも変な話なので、今現在もPD-A600を使用しています。
シマノ的にはきっとPD-A600Gはディスコンにする予定なのだろうなと思っていましたが、2021年12月現在で予想通り取り扱いをしているショップがなくなっていて、現在では入手できるのは中古のみとなり、軽量で片面のSPDペダルの選択肢はPD-ES600のみとなっています。