自転車の事故でも多額の賠償金が命じられる判決が下されるケースが増えて、自転車の保険の加入義務化などの流れがある昨今ですが、2020年11月に神奈川県鎌倉市で起きた自転車事故で、自転車を運転していた無職の女性に対して、横浜地裁で判決公判が開かれ、禁錮1年4月、執行猶予3年(求刑禁錮1年4月)が言い渡されました。
自転車と歩行者との事故で執行猶予付き禁固刑の判決
事故の概要
● 発生日時 2020年11月
● 発生場所 鎌倉市県道 丁字路交差点
● 事故の状況
横断歩道中の女性に信号を無視した子供載せ電動アシスト自転車が衝突し、女性は転倒、脳挫傷で約7ヶ月の重症を負わせた。信号機は事故発生10秒前に黄信号、3秒前に赤信号であったとされる。
判決
● 判決公判 2021年7月15日 横浜地裁
「過失は重大。被害結果も重い」として禁錮1年4月、執行猶予3年(求刑禁錮1年4月)
参考 電動アシスト自転車で重傷事故 被告に判決「過失は重大」|カナロコ
私的メモ
電動アシスト自転車は重い
電動自転車の走行速度は15km程度だったようで、自転車としては極端に速いスピードではなく、ゆったりと走っているレベルの速さかと思います。
ただ、子載せ自転車(いわゆるママチャリ)で5歳の子供を載せていたらしいので、総重量としては車体30kg+運転者45kg+子供15kgで90kg程度にはなっていたのではないかと思われ、衝突の際のエネルギー量としてはかなり大きいものと思います。
これがもし普通のシティサイクルなどであれば、まだいくらか軽量なので、重大事故にはならなかったかもしれません。
丁字路の信号無視問題
またこの事故のポイントとしては丁字路というところで、いわゆる十字の交差点以外では、信号が赤でも信号を守らない自転車は山程います。むしろ丁字路で信号を守る自転車の方が少ないというのが実情でしょう。
横断歩道を渡ろうとした途端、目の前を自転車が横切って危ない思いをしたという人はきっと多いはずです。
本当はきっちりと取り締まりをして欲しいところですが、現状として野放し状態になっている感じです。
野放しになっている理由として、交通ルール的にグレーな部分もあることが挙げられるかと思います。車道を走行していても、信号が赤になれば、その手前で歩道走行に切り替えれば信号を無視して直進しても問題がないような状況なのです。
厳罰化の流れを感じる
以前は自転車の事故の場合はそれほど責任を問われることがなかったようですが、2015年あたりから自転車でも事故を起こせば厳罰化されるようになり、今までにない高額な賠償金の支払い命令などが下されるようになりました。
そんな流れの中で、自転車でも保険に加入する人が増え、また自治体でも保険の加入を義務化する動きが見られます。
そして、今回の判決では、執行猶予付きながらも禁固刑が言い渡されるなどで、自転車であっても重大事故に対しては甘い処分ではなくなってきているという厳罰化の流れを感じます。
もちろん、ルールを守らない人が一番悪いので、罰せられて当然というのが僕個人の考えてもあります。
鎌倉市では市営駐輪場の定期利用者に自転車保険が無料で付帯するキャンペーン展開中
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● 期間 2022年3月31日まで
● 指定の駐輪場の6か月定期契約
神奈川県ではで自転車損害賠償責任保険の加入が義務化
神奈川県で自転車損害賠償責任保険の加入が義務化された流れの中での周知の目的のためのキャンペーン
参考 市営駐輪場における自転車保険の無料付帯キャンペーンの実施について(pdf)