3Dプリンタでチタンパーツを作って自転車フレームを作ったというニュースです。
個人的にちょっと興味深い話題なので、備忘録的に3Dプリンタで出力されたロードバイク「DFM01 OUSIA(ディエフエム01・オージア)」についての情報をまとめておきます。
3Dプリンタでチタンパーツを制作、DMM.make AKIBAとTripleBottomLineの自転車フレームがミラノサローネに出品
DMM.com が支援する秋葉原のものづくり拠点「DMM.make AKIBA」が、英国のデザインスタジオ Triple Bottom Line と共同でロードバイクフレーム「DFM01」を開発、発表しました。
http://japanese.engadget.com/2015/04/14/3d-dmm-make-akiba-triplebottomline/
3Dプリンタ・ロードバイクのDFM01
Photo via:http://www.triplebottomline.cc/dc2015/dfm.html
3Dプリンタで主要パーツをチタンで造形している
Photo via:http://www.triplebottomline.cc/dc2015/dfm.html
ヘッドクラスタ、シートクラスタ、ボトムブラケット、チェーンステーの部分をチタン焼結による3Dプリントで出力しています。
その他のフレーム部分はカーボンとのこと。クラスタとはそれぞれのフレームを結合している部分ですね。
3Dプリンタで出力された部分のデザインが特徴的で、3Dポリゴンを彷彿とさせるフォルムになっています。
3Dポリゴン風な立体物を製作するN&R Foldings Japanがデザインに関わっているからのようですが、一般的なロードバイクの流線型的なフォルムとは違って未来的でクールなアクセントになっています。
個人的にはこのようなチャレンジは非常に好きです。
世界初の3Dプリンタで造形された実用可能なロードバイク
Photo via:http://www.triplebottomline.cc/dc2015/dfm.html
3Dプリンタで出力し造形されたロードバイクは過去にもあったようにも思いますが、人が乗っても大丈夫という実用レベルのものは初めてなのかもしれませんね。
しかも単に乗れるから「実用」というわけではなく、UCI(国際自転車連盟)の定める競技用車両規則に適合しているとのことですから素晴らしいの一言に尽きます。
完成車重量は約7kg フレーム重量は1kg
Photo via:http://www.triplebottomline.cc/dc2015/dfm.html
完成車重量は約7kgとのこと。他社のトップモデルのカーボンフレームと同等レベルの軽量化がされています。フレーム重量は1kgなのでパーツ構成を考えれば7Kgを切るのは余裕でしょう。
フレームジオメトリ自動生成システムなども開発中らしい
情報が出た2015年4月時点での情報では乗る人の身体情報を入力すると、自動でフレームのジオメトリを生成するシステムなども開発していたようでしたが、その後に続報が無いので現在も開発が続いているかは不明です。
3Dプリンタを利用する最大のメリットは、従来のフレームなどとは違い、オーダーメイドでサイズが調整しやすい点になるかと思うので、こういったシステムとの連携は実際に販売になった暁には強力なアドバンテージになるように思います。
製品化を目指す
この3Dプリンタで造形されたロードバイクは、イタリア・ミラノで開催された「ミラノサローネ」で展示するために製作したプロトタイプでしたが、2015年内に実証実験を行い製品化を目指すとのことでした。市販モデルは3Dポリゴンのようなデザインは消えて、滑らかなデザインになっています。
インダストリアルデザインをメインに手がけていると思われるデザインスタジオがデザインした関係なのでしょうが、出展されているのが、自転車のイベントではないところも興味深いところです。
ミラノサローネとは
毎年4月にイタリア・ミラノで開催される、国際家具見本市の通称。
いくつかの主催団体がありますが、市街で開催される「フォーリサローネ」と、郊外で行われる「イ・サローネ」が代表的です。特に「フォーリサローネ」は、 著名デザイナーを起用した企業がブランドPRのために数多く出展することで知られ、世界中のデザイン界から毎年高い注目を集めています。
http://www.daikin.co.jp/salone/about/index.html
スマートバイクORBITREC(オービトレック)
その後、ラスベガスで開催された国際家電ショー『2016 International CES』でスマートバイクの『ORBITREC(オービトレック)』として商品化され2016年春より市販されるようになりました。
販売形態は完全オーダーメードで
ト技術とカーボンファイバーチューブを組み合わせた構造を開発しました。本格的なレースで使える軽量フルオーダーメイド・フレームです。
ORBITRECの購入者の全身をくまなく採寸し、その数値をもとにフレームを設計、3Dプリンターで製造します。そして世界にふたつとない購入者だけのためのロードバイクを約1ヵ月で作り上げます。(*)
とのこと。
価格は1,500万円とのことで、一般的なものとは言えませんが、3Dプリンタでの造形だけでなくIoTの要素も盛り込んだのはなかなか興味深いところです。
参考 3Dプリントを利用したセンサー内蔵高級IoTロードバイクORBITREC
3Dプリンタで造形したロードバイクDFM01 OUSIAに思うこと
3Dプリンタで造形したロードバイクDFM01 OUSIAのポイントは自転車メーカーが作ったフレームではない点、3Dプリンタの造形の技術立証、生産テストなどを目的として作られたモデルという点かと思います。
良い悪いは別にして、今までのメーカーにない新しい視点でのモノ作りがされたロードバイクフレームで、しかもUCI(国際自転車連盟)の定める競技用車両規則に適合させているというところが重要だと思われます。
また、出展したのが国際家具見本市ということで、この技術をインテリアなどにも流用したり売り込むことも視野にいれているんじゃないかと思われます。
ミラノサローネは一応家具の見本市でありながら、家具の他にも工業製品なども展示されるようですし、技術のアピールを目的とした展示もあるようなので、このロードバイクDFM01 OUSIAもそういった技術面のアピールがメインになるのかもしれません。
何はともあれ、日本の企業が共同でこのような興味深いものを製作するというのは、とても嬉しいですし、今後どのように展開されていくのかを考えるだけでもワクワクしてしまいますね。
関連リンク
参考 → DMM.make AKIBA
参考 → N&R Foldings Japan
参考 → Mipox
参考 → ミラノサローネ
参考 → 3Dプリントを利用したセンサー内蔵高級IoTロードバイクORBITREC