クロスバイクやロードバイクのハンドルの高さは前傾姿勢に慣れるとともにどんどん低くセットしたくなります。
コラム部分のスペーサーとステムの位置を入れ替えることでハンドルの位置は下げられますが、ステムの位置を下げるとステムの上にお団子のようにコラムが突き出た状態になってしまいます。
クロスバイクやロードバイクの見た目としては、コラムが突き出た状態は非常にカッコ悪いとされているため、ポジションに変更が無いようであれば、さっさとコラムカットしてスッキリさせてしまうのが常道です。
僕が愛車のクロスバイクのコラムをカットしようと思った時は充分下調べしたにも関わらず、思わぬ落とし穴がいくつもあり、かなり悪戦苦闘しながらコラムカットしたという過去があります。
参考 → クロスバイクのescape airのコラムを長ネジを使った方法でカットする際に必要な準備物と失敗しない方法|Escape airと自転車ライフ
上記の記事でもコラムカットの方法についてはまとめていますが、失敗談も含めた作業記録になるため、今回はクロスバイクやロードバイクのコラムをカットする方法について淡々と情報をまとめてみたいと思います。
なので純粋にコラムカットをしたい人にとってはこの記事を読めば大まかな作業内容や注意するポイントが理解できるようになっていると思います。
コラムカットする代表的な方法について
素人が自分自身でクロスバイクやロードバイクのコラムカットをしようとする際の最もポピュラーと思われる方法が、フォークの股の間の穴から長ネジを差し込んで、コラムに圧入されているスターファングルナットを所定の位置まで引っぱり下げる方法になります。
今回の記事でもこの方法についてまとめています。
この作業のポイントとして、自転車を逆さまにして前輪とブレーキを外すだけで作業出来る手軽さで、叩いて圧入するなどの作業がないため、音が出ずアパートやマンションなどの集合住宅などでも作業しやすい点や、少しずつ確実にスターファングルナットを引き下げられるので失敗しづらいという特徴があります。
スターファぐるナットを引き下げる方法の図説
コラムカットに必要な道具
■ M6の長ネジ
M6とは直径が6mmの意味でネジの太さの規格の一つです。コラムの中に圧入されているスターファングルナットと呼ばれる星形の部品の中央に空いているネジ穴と同じ規格になり、この長ネジをスターファングルナットに通して引き下げることになります。長さは285mm以上のものを選ぶ必要があります。(理想は300mm以上です)。この長さよりも短いとコラムよりも短くなってしまうためスターファングルナットを引き下げることができません。
■ M6のナット
■ ワッシャー(直径35mm以上)
ワッシャーは直径が35mm以上のものを選択すること。内径はM6以上になります。M6程度のワッシャーになると外径が22mmのものが一般的ですが、それだとフォークの又の部分に空いている穴よりも小さくなってしまうためストッパーとして使用できません。
■ ミニサイズのスパナ(レンチ)
■ パイプカッター
■ 金ヤスリ
■ サインペン
コラムカットする手順
コラムのカット位置を決める
コラムをカットする位置を決めるために、所定の位置にステムをセットします。
ステムの上に一枚薄いコラムスペーサー(5mm)を残しておくのがセオリーのようですので、5mmのコラムスペーサーをステムの上に乗せておきます。
コラムスペーサーの上面をコラムにマーキングします。
一番上のコラムスペーサーを一旦外して、最初にマーキングした位置よりも3mmほど下に改めてマーキングします。この位置がカットする位置になります。
コラムスペーサーの上面よりも3mmほど下がった位置をカットするのには理由があります。コラムの長さがステムやコラムスペーサーの高さよりも長いとコラムキャップをセットした時に浮いてしまい、ヘッドセットパーツで圧着させることができないからです。
しっかりと圧着させるためには、コラムとコラムスペーサーの高さがコラムよりも高くなる必要があるのです。そのためコラムはコラムスペーサーの上辺から3mm程度下がった位置でカットすることになります。
スターファングルナットを引き下げる
長ネジを使ってスターファングルナットを引き下げる
コラムの中をのぞき込むと、星形のパーツが見えます。これがスターファングルナットと呼ばれるパーツです。
自転車を購入した時点のステムの位置でスターファングルナットの圧入位置が調整されているため、最初の位置よりもステムの位置を下げるなどしている場合はコラムをカットする前にスターファングルナットを圧入する必要があります。
ステムの位置が当初よりも低い位置にセットされているにも関わらず、スターファングルナットを引き下げずにコラムをカットしてしまうと、コラムの中にスターファングルナットが入った状態でカットされてしまうことになります。
スターファングルナットを引き下げるには通常は、スターファングルナット圧入のための道具であるスターファングルナットセッターと呼ばれる道具を使用するのですが、スターファングルナットセッターは滅多に出番が無いので、わざわざ購入するのも少しもったいない工具です。
確かにあれば重宝する道具ではありますが、今回はフォークの股の部分に空いている穴から長ネジを差し込んでスターファングルナットを引き下げる方法で所定の位置まで移動させます。
フォークの又から長ネジを差し込む
前輪を外した自転車を裏返しにして作業開始です。
カンチブレーキやキャリパーブレーキの場合はブレーキも外す必要があるそうですが、クロスバイクで標準的なVブレーキの場合はそのままで作業ができます。
フォークの又の間の穴に長ネジを差し込んで、スターファングルナットの中央に空いている穴に挿入します。
長ネジがスターファングルナットに挿入できたら、ワッシャーを長ネジに通します。ワッシャーはフォークの穴よりも大きいものを使用してフォークの穴の部分でストッパーの役割をさせることになります。
次にM6のナットを長ネジに通します。このナットを締め上げていくことで長ネジがどんどん引き上げられることになりスターファングルナットを移動させることが出来るのです。
図説すると上記のような並びになります。
この際に、フォークとワッシャーの間にはそれなりに大きな力がかかるため、フォークとワッシャーの間にはゴムプレートや厚手のタオルなどを挟み込むとフレームを傷つけなくて済みます。
スターファングルナットを引き下げる位置
スターファングルナットを引き下げる位置は、カットする位置の上面よりも約15mm下の部分になります。
スターファングルナットの位置の確認は目視では難しいのでコラムの上からペンなど差し込んでコラムの上辺の位置をマークして、コラムから取り出してコラムの横に並べると確認できます。
スターファングルナットは引き下げすぎると元に戻せなくなるので、慌てず慎重に少しずつ引き下げてマメに確認することが大切です。
この作業が終われば、コラムカットの作業はもう8割程度は終了したも同然です。
コラムをカットする
スターファングルナットが所定の位置まで引き下げられたら、次はコラムカットをします。
コラムをカットするのはパイプカッターで行なえます。ハンドルをカットする際に使用するような普通のパイプカッターで十分です。
コラムはハンドルよりも太いのでハンドルをカットする時よりも時間は掛かりますが、慌てず少しずつカットすれば良いでしょう。
コラムをカットできた後は、バリを金ヤスリで落として綺麗にします。
バリを取った後はステムとヘッドセットパーツとヘッドキャップを取り付けてコラムカットの作業は完了となります。
カーボンフォークについて
フルカーボンのコラムなどは今回のような長ネジを使用した方法でやると割れてしまう可能性があるのでやめましょう。またコラムをカットする際にもカーボンカット用の専用のカッターなどが必要になるので普通のパイプカッターではカットしようとしないでください。
ちなみにコラムにはスターファングルナットではなくネジを締めてコラムの側面に圧着させるプレッシャーアンカーと呼ばれるものが使用されます。
以上、クロスバイクやロードバイクのコラムカットの方法についてのまとめでした。
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